総合スーパー・ホームセンター・専門店チェーンなど、米国の小売企業のリストです。
ウォルマートは米国最大の小売企業です。世界で店舗網を展開し、年間売上高は約7500億ドルに達します。近年はEC、マーケットプレイス、広告、会員制プログラム「Walmart+」などを組み合わせたオムニチャネル戦略を推進しています。 同社が2026年8月20日に発表した2026年5〜7月期決算は、売上高が恒常為替ベースで前年比5%増、調整後営業利益が同17.4%増(関税還付金の受け取りによる押し上げを含む)でした。グローバルECは前年比23%増と高成長を維持し、通期ガイダンスも引き上げました。決算説明会では、店舗の役割の再定義、利益構造の転換、AIエージェントの実売への寄与など、小売業の変化を示す発言が相次ぎました。 店舗内売上はマイナス、それでも店舗は「過去最も重要」 ウォルマート米国事業の店舗内既存店売上は、低一桁のマイナスでした。この傾向は2025年11月〜2026年1月期の後半から続いています。一方で米国事業のEC売上は前年比24%増で、ECは10四半期連続で20%超の成長を記録しました。ECが米国事業の売上に占める比率は23%を超え、5年前の2倍の水準です。
米TJXは、「T.J. Maxx」「Marshalls」「HomeGoods」などを展開する世界最大のオフプライス小売企業です。ブランド品の余剰在庫を安く仕入れ、定価より大幅に安い価格で販売するビジネスモデルを持ちます。創業から約50年で、現在は10カ国に店舗網を広げています。年間売上高は600億ドルを超え、米小売業界で有数の規模を誇ります。 同社は2026年8月19日、2026年5〜7月期の決算を発表しました。既存店売上高は前年比4%増で、会社計画を上回りました。調整後の希薄化後1株利益は1.22ドルで前年比11%増です。好調な業績を受け、通期(2027年1月期)の利益ガイダンスも引き上げました。 関税が「還付」される時代に
米ホームデポは世界最大のホームセンターチェーンです。米国、カナダ、メキシコに2364店舗を展開し、DIY顧客と建設業者などのプロ顧客の双方に建材や工具、家電を販売しています。近年は建材ディストリビューターのSRSやGMSを相次いで買収し、プロ向け流通事業を強化しています。 同社が8月18日に発表した2026年5〜7月期決算は、売上高479億ドル(前年比5.7%増)、調整後1株利益4.92ドル(同5.1%増)でした。既存店売上高は1.7%増と会社の想定を上回り、通期ガイダンスを据え置きました。決算からは、関税還付や即時配送、店内AIなど、米国の小売と消費の変化を示すトピックが浮かび上がります。 関税が「戻ってくる」7.3億ドルの還付金
Sprouts Farmers Market(以下、スプラウツ)は2002年、アリゾナ州に1号店を開いた健康志向スーパーです。生鮮野菜や果物を店の中央に配置し、「ファーマーズマーケット」の雰囲気を再現した売場が特徴。オーガニック食品やグルテンフリー食品、ビタミン剤などを幅広く扱います。 同社は2013年8月にナスダックへ上場。公開価格18ドルに対し、初日の終値は40.11ドルと123%上昇しました。「LinkedIn以来のIPOデビュー」と報じられるなど高い注目を集め、当時のダグ・サンダースCEOは「米国で1200店を展開できる」と豪語。先行するWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)に続く成長物語を市場から期待されました。 当時のホールフーズは売上高129億ドルを誇る自然食品スーパーの絶対王者。一方のスプラウツは8州160店、売上高20億ドルの地方チェーンに過ぎません。青果の価格はホールフーズより25〜30%安く、「健康的な暮らしをより安く」のコンセプトで対抗しました。
ロス・ストアーズは、ブランド品の余剰在庫やキャンセル品を安く仕入れ、割引価格で販売する「オフプライス」小売の米大手です。主力チェーンの「Ross Dress for Less」と低価格業態の「dd's DISCOUNTS」を展開。店舗数は全米で約2,200に上ります。 何が置いてあるか店に行くまで分からない「宝探し」型の売場が特徴で、ECは持たず、販売はすべて実店舗という徹底ぶりです。創業から40年、派手さはないものの堅実に成長を続けてきた企業です。 そのロスに今、異変が起きています。獲得が最も難しいとされる18〜24歳の若者が押し寄せ、既存店の顧客数は全体で2桁%の拡大。背景には、2025年に就任したジェームズ・コンロイCEOによる「守りから攻め」への転換があります。一体同社に何が起きているのでしょうか。
ケイシーズ・ゼネラル・ストアーズは、米中西部と南部の小さな町を地盤とするコンビニチェーンです。本社はアイオワ州アンケニーにあり、2026年4月末時点で19州に約2,950店を構え、従業員は約5万人。 燃料と食料品・日用雑貨に加え、各店で生地から焼く手作りピザを中心とする調理済み食品を売るのが特徴。店舗数ではセブン-イレブン、サークルK(クシュタール傘下)に次ぐ全米3位で純米国資本では最大手。ピザチェーンとしても全米5位に位置するユニークな企業です。 そんなケイシーズの業績が好調です。2026年4月期にも過去最高益を更新。2023年6月に掲げた3カ年計画を完遂し、3年間の新規出店は目標の350店を上回る500店超に達しました。直近の2026年2〜4月期は、燃料マージンの記録的な拡大を主因に純利益が前年比65.5%伸びるなど追い風も受けています。
Krogerが2026年2〜5月期決算を発表しました。全米最大のスーパーマーケットチェーンが、かつてWalmartの米国事業を立て直した人物を、創業143年で初めて外部トップとして迎えました。新CEOは就任から約100日のあいだに自社とライバルの店舗を歩き、収益の作り方そのものに手を入れ始めました。 グレッグ・フォーランCEOは「他のスーパーに勝つことと、業界をリードすることは同じではない」と述べ、現状維持を強く戒めました。同氏が見据えるのは、新しい設備や派手な拡大ではなく、すでに手元にある資産の使い方を変えることです。 今期の見どころは、決算の数字そのものより、利益の生まれる場所が静かに変わり始めた点にあります。長らく主役だった食品の売場の奥で、別の稼ぎ方が形になりつつあります。
米ペットEC大手のChewyが2026年6月10日、2026年2〜4月期の決算を発表しました。売上高は前年比7.7%増の33.6億ドル、調整後EBITDAは2.53億ドル。マージンは7.5%と、過去最高水準の収益性を達成しています。 一方で同社は、2027年1月期通期の売上見通しは引き下げました。その背景にあるのは、消費環境の悪化です。消費の中ではもっとも底堅いジャンルの一つである「ペット関連」の支出にも軟化の兆しが見えている。そんな中でもChewyは、動物病院やリテール広告といった、ECの枠を超えた打ち手を推進しています。 動物病院を「顧客獲得エンジン」に
ダラー・ゼネラルが2026年2〜4月期決算を発表しました。地方の小さな町に展開する激安雑貨チェーンに、いま思いがけない客層が押し寄せています。安い店は家計の苦しい人が向かう場所、という見方は揺らぎ始めています。誰がどの店で買い物をするのか——その地図が、静かに描き換えられています。 変化は客層だけにとどまりません。この会社は、ただ安く売る店から、稼ぎ方そのものを組み替える店へと姿を変えつつあります。売上の伸びと利益の伸びが、これまでと違う動き方を始めました。安売りという言葉だけでは、もうこの会社の輪郭はつかめません。 カギを握るのは、わずか1ドルの商品です。たった1ドルの一品が、いまの家計のなかで思いがけない役割を果たし始めています。さらに、全米に張り巡らせた店舗網そのものも、新しい武器に変わりつつあります。安さの裏側では、いくつもの仕掛けが同時に動いています。
コストコが発表した2026年2〜5月期決算は、ガソリンが業績の主役になった珍しい四半期となりました。原油高でガソリン価格が上がる局面では、小売各社は値上げで利益を取りにいくのが普通です。ところが年会費で稼ぐ会員制倉庫型小売のコストコは、逆に他社との安さの差を広げました。会員制ビジネスの稼ぎ方の常識を、改めて思い起こさせる一手です。 ただ、これは目先の利益を削る判断でもあります。普通の小売であれば、値上げの好機をわざわざ逃す理由はありません。一見不合理にも映るこの動きは、コストコ独特の収益構造を抜きには理解できません。 四半期の純利益は前年比15%増の21.92億ドル、純売上は同11.6%増の691.5億ドルと、いずれも伸びました。会員数の伸びそのものは鈍化したものの、年会費の高い会員層は全体を上回るペースで増えています。表面の数字だけでは見えにくい変化が、足元で進んでいます。