BJ's Wholesale Club(BJ's)は、米国で会員制ウェアハウスクラブを展開する小売企業です。会員から年会費を集め、その代わりに商品を低価格で提供するビジネスモデルを採用しています。クラブ本体に加えてガソリンスタンドを併設し、給油の安さも会員向けの価値提案の柱としています。2018年に上場し、近年はテキサス州など新市場への出店を加速しています。
同社が発表した2026年5〜7月期決算は、売上高61億ドル(前年比15.9%増)、調整後EPS1.36ドル(同19.3%増)と好調でした。ガソリンを除く既存店売上は3.1%増で、客数は18四半期連続の増加、市場シェアは15四半期連続の拡大となります。会員数は850万人の大台に到達しました。決算説明会では、この数字の背景にある米国消費の構造変化が、経営陣の口から具体的に語られています。

ロバート・エディ会長兼CEOは、米国の消費環境について「K字型経済が続いている」と述べました。K字型経済とは、富裕層と低所得層で景況感が二極化する状況を指します。同社は今四半期、すべての所得階層で既存店売上を伸ばしましたが、エディCEOは「成長の大部分は引き続き高所得会員が牽引しており、これはしばらく前から見られる傾向と一致している」と説明しました。低価格業態の成長を支えているのが、むしろ余裕のある層だという構図です。
その背景には、競合との価格差の拡大があります。エディCEOは「伝統的な食品スーパーは値上げを続けており、当社の価値提案にとってさらに有利な環境が生まれている」と述べました。コスト上昇局面で競合が値上げする一方、同社は後述する原資を使って値下げ投資を続けています。結果として価格ギャップは四半期を通じて改善しました。

シェアの中身にも変化が表れています。同社が展開する市場の業界データでは、市場全体の販売数量が減少する中、同社は数量ベースでもプラス成長を維持しました。エディCEOによれば、数量の伸びは市場を300ベーシスポイント以上上回っています。金額シェアだけでなく数量シェアを伸ばしている点を、同氏は「会員の選好を示すより明確なシグナル」と位置づけました。
象徴的な事例として挙げられたのが、建国250周年に合わせたスイカの販促です。多くの小売が5.99ドルで販売する中、同社は3.99ドルで大量に仕入れて販売しました。エディCEOによれば、この期間中に会員の約5人に1人がスイカを購入したといいます。「適切な商品を適切な価格で見つけ、本物の価値を届ける。当社が得意とすることのシンプルな例だ」と同氏は述べました。