AIの計算基盤を支える半導体メーカーと製造装置メーカーを集めたリストです。
「アナログ半導体は年5〜7%で成長する成熟市場」——業界で長く共有されてきた通説が、いま揺らいでいます。Analog Devices(ADI)の2026年5〜7月期決算は、売上高が40.2億ドルと前年同期比40%増え、創業以来初めて四半期40億ドルの大台に到達しました。 ヴィンセント・ロッシュCEOは今回のサイクルについて「その幅、深さ、そしてAIという重力場。これほどのサイクルは経験したことがありません」と語ります。一過性の追い風ではなく、AIが生んだ電力問題がアナログ半導体の役割そのものを書き換えつつある——それが同社の見立てです。 象徴はデータセンター事業です。通信部門売上の8割を占めるまでに拡大し、光通信・電源の両分野が前年比2倍超のペースで成長。同社は2030年時点の関連市場の想定を、わずか1年で2倍以上に引き上げました。
米アプライド・マテリアルズ(AMAT)は、半導体製造装置の世界最大手です。成膜、エッチング、検査など、チップ製造の幅広い工程をカバーする装置を手がけます。顧客にはTSMCやサムスン電子、インテルなど世界の主要チップメーカーが名を連ねます。装置販売に加え、納入後の保守・改善を担うサービス事業も収益の柱です。 同社は2026年8月13日、2026年5〜7月期の決算を発表しました。売上高は前年比25%増の91億ドルで、四半期ベースの増収額として過去最大を記録しました。調整後EPSは前年比41%増の3.5ドルです。AI向け半導体の生産投資が需要を押し上げており、決算説明会では経営陣が業界の構造変化を具体的に語りました。 顧客が「8四半期分の予測」を提出する
AMDは米国の半導体大手です。サーバー向けCPU「EPYC」、PC向けCPU「Ryzen」、AI向けGPU「Instinct」などを手掛け、CPUではインテル、GPUではNVIDIAと競合します。近年はデータセンター向け事業が急拡大し、AIインフラ市場の主要プレイヤーとしての存在感を高めています。 同社が発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比50%増の115億ドル。データセンター部門は前年比107%増の67億ドルとなり、全社売上に占める比率は1年前の42%から58%に上昇しました。リサ・スー会長兼CEOは「私たちはまだ複数年にわたるAI採用サイクルの初期段階にいる」と発言。7〜9月期の売上高は前年比41%増となる約130億ドルを見込みます。 AIブームでサーバーCPUが急回復
ソフトバンクグループ傘下で半導体の設計図(IP)を世界に供給する英Armが、2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は前年比22%増の12.9億ドルと、第1四半期として過去最高を更新。ライセンスとロイヤルティがそろって記録を塗り替え、調整後EPSもガイダンスの上限を上回りました。 決算説明会でレネ・ハースCEOは「AIは、コンピューティングが起こる場所とその方法を変えつつあります。Armはその中心にいます」と語り、クラウドからPC、ロボットまで広がるAIの波が同社の追い風になっていると強調しました。 中でも際立つのがデータセンターです。同分野のロイヤルティ(チップ出荷に応じた使用料)収入は、再び前年から倍増しました。長らく他社の牙城だったサーバー市場で、Armベースへの移行が加速しています。
クアルコムが2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は99億ドルと会社計画の上限で着地し、スマートフォン向け半導体最大手として堅調な業績を示しています。ただ、この決算で市場の視線が集まったのは、数字の外側で起きている変化でした。 決算説明会でクリスティアーノ・アモンCEOは「クアルコムの次の章、そしてエッジからクラウドまで広がるAIの次の局面における当社の存在意義に、大いに期待している」と語りました。スマートフォンなど手元の機器から巨大サーバーまで、AIが動くあらゆる場所に商機を見る姿勢です。ただ、同社を取り巻く環境には追い風と逆風が同時に吹いています。 焦点の一つが、長年取引を続けてきたAppleとの関係です。かねて縮小が見込まれていたApple向けの事業について、想定を上回る速さで転機が訪れることが明らかになりました。一方で、スマートフォンの外側では新たな柱が育ちつつあります。 折しも、メモリ価格の高騰が半導体業界全体を揺さぶっています。この環境下で、同社は何を失い、それをどう埋めようとしているのか。経営陣の言葉から、地殻変動の中身をたどります。
AIブームの恩恵を最も直接受けるとされる企業の一つに、意外なつまずきが生じました。AIデータセンター向けに電源・冷却設備を手がけるVertivが発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比24%増と力強い伸びを示し、通期の業績見通しも全面的に引き上げられました。 決算説明会に登壇した経営陣の言葉も、一貫して強気でした。ジョルダーノ・アルベルタッツィCEOは事業の現状を振り返り、「今日ほど自社の進む軌道に自信を深めたことはない」と述べています。 それでも市場の視線は、好調な数字の傍らにある違和感に注がれました。受注環境は加速しているにもかかわらず、この四半期の売上はある事情から市場の期待を下回ったのです。原因は、需要の弱さではありませんでした。
AI投資の恩恵といえば、GPUをはじめとする半導体を思い浮かべる人が多いはずです。しかしその陰で、古参の記憶装置が記録的な業績を残しました。HDD世界大手のシーゲイトが発表した2026年4〜6月期決算は、売上高36億ドル(前年比48%増)と、成熟産業とは思えない伸びを示しています。 ウィリアム・モズレーCEOは2026年6月期を「傑出した1年だった」と総括しました。そのうえで、2027年6月期の増収率は今期を上回るとの見通しを示しています。強気の背景として同氏が語ったのは、データを巡る需要の質の変化でした。 けん引役はクラウド企業向けの大容量HDDです。AIの活用が広がるにつれ、データを長く保存し、繰り返し使う動きが強まっているといいます。追い風はクラウドにとどまらず、全ての事業分野で増収となりました。 折しも半導体メモリの値上がりも重なり、記憶装置を巡る需給は引き締まっています。それにしても、パソコンから姿を消したはずのHDDは、なぜAI時代の主戦場に返り咲いたのでしょうか。
Intelが2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は会社計画を大きく上回り、成長率は約15年ぶりの高水準に達しています。生成AIブームの恩恵は画像処理半導体GPUを握るNVIDIAに集中し、CPUの王者だった同社は「過去の巨人」と見られてきました。その通説が、いま揺らぎ始めています。 リップブー・タンCEOは決算説明会で「新しいIntelが形になり始めている」と述べました。就任から1年あまり、業績の上振れは一度きりの追い風ではなく、四半期を重ねるごとに続く常態へと変わりつつあります。再建の物語が「守り」から「攻め」へ局面を変えた点に、今回の決算の新しさがあります。 追い風の中心にあるのは、意外にも祖業のCPUです。データセンター向けの需要はかつてない勢いで積み上がり、いまや供給が追いつかないことが最大の悩みになっています。逆風のはずのパソコン市場の減速さえ、経営陣はまったく別の意味で捉えています。 なぜGPUの時代に、CPUへ注文が殺到するのでしょうか。鍵は、AIの「使われ方」に起きている静かな地殻変動にあります。そしてこの熱狂は、王者がひそかに温めてきた次の賭けの行方まで左右しようとしています。
TSMC(台湾積体電路製造)と言えば、半導体の受託製造(ファウンドリー)を手がける世界最大手です。特に最先端プロセスでは他社を寄せつけないシェアを握り、AI向け半導体の大半が同社の工場から生まれています。本拠地は台湾ですが、米国、日本、ドイツへと生産拠点を広げています。 そのTSMCが7月16日、2026年4〜6月期の決算を発表。売上高は402億ドルとガイダンスの上限に達し、通期の成長見通しを前年比40%強へ上方修正しました。設備投資計画の増額と、米アリゾナ州への1000億ドルの追加投資も打ち出しました。AIが半導体産業を急速に組み替えている実態が語られています。 エージェントAIが起こす「CPUの復権」
オランダのASMLと言えば、半導体の回路パターンをウェハに焼き付ける露光装置の最大手企業。最先端チップの製造に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置を量産できる世界で唯一の企業として知られます。 顧客はTSMC、サムスン電子、インテルをはじめとする半導体メーカー各社です。同社の受注と出荷の動向は、半導体産業全体の設備投資を映す先行指標として注目されてきました。そのASMLが7月15日、2026年4〜6月期決算を発表しました。 売上高は93億ユーロとガイダンスの上限を上回り、純利益は29億ユーロ、売上高純利益率は31.3%でした。同社はあわせて2026年の売上高見通しを430億〜450億ユーロに引き上げています。決算説明では、AI投資の裾野が広がる構造変化と、2028年分まで積み上がり始めた受注の状況が語られました。