AIの計算基盤を支える半導体メーカーと製造装置メーカーを集めたリストです。
ブロードコムは米カリフォルニア州に本社を置く半導体大手です。GoogleのTPUに代表されるカスタムAIアクセラレータ(XPU)と、データセンター向けのネットワーク半導体が主力。2023年にVMwareを買収し、インフラソフトウェアも収益の柱に加えました。ホック・タンCEOのもと、AI関連の顧客をフロンティアモデルを開発する6社に絞る戦略をとっています。 同社は9月2日、2026年5〜7月期の決算を発表。売上高は296億ドルで前年比86%増、営業利益は201億ドルで同92%増です。AI半導体の売上高は167億ドルと前年比221%増、前四半期比でも54%増えました。2026年8〜10月期は売上高348億ドル、AI半導体217億ドルと、いずれも過去最高を更新する見通しを示しています。 AnthropicがGoogleを抜いて最大顧客に
データセンターの床下を走るケーブルの中で、信号が一瞬だけ揺らぐ。その「まばたき」が、高価なGPUを丸ごと遊ばせてしまう——。AI向け接続部品を手掛けるCredoが発表した2026年5〜7月期決算は、売上高が前年同期比2倍余りに伸び、これで7四半期連続の「3桁成長」となりました。 牽引したのは演算チップではなく、ケーブルと小さな接続チップです。なぜ「配線」がAI投資の急所になったのか。銅で育ったこの会社は、なぜいま光に踏み込むのか。決算説明会の質疑から、AIインフラの見えない主戦場を追います。 リンクの瞬断がGPUの2割を奪う AIクラスタの生産性を最も脅かすのは、演算チップの不足ではなく配線の「まばたき」です。ウィリアム・ブレナンCEOは決算説明会で、リンクフラップ(接続の瞬断)が連鎖すると、顧客のGPU稼働率が1割超、時に2割近くまで失われると説明しました。Credoはこの瞬断を「起きる前に」検知する仕組みを、成長の中核に据えています。
AIブームの恩恵を語る企業は数あれど、規模を増しながら成長率まで引き上げる会社はまれです。8月27日に決算を発表したMarvellは、その少数派に躍り出ました。説明会で示されたのは、階段を一段ずつではなく、二段飛ばしで駆け上がる設計図です。 階段を支える材料は、GPUのような主役チップではありません。アクセラレーターの脇で働く専用チップ群や、チップ同士をつなぐ配線の技術です。かつて隙間産業のように見られたこの領域が、大手クラウド1社との包括契約だけで同社の年間売上を上回る規模に膨らみつつあります。 決算自体も加速しています。売上の約8割を占めるデータセンター事業は、今期の成長見通しを6割増へと引き上げました。マシュー・マーフィーCEOは「データセンター事業の強さは、我々の従来予想を上回り続けている」と語ります。
NVIDIAはAI向け半導体の世界最大手です。GPUを中核に、CPU、ネットワーク機器、ソフトウェアまでを一体で提供する「AIファクトリー」企業へと姿を変えつつあります。生成AIブームの中心に位置し、時価総額は世界最大級です。 そんな同社が8月26日、2026年5〜7月期の決算を発表。売上高は960億ドルで、前年比2倍超に達しました。成長率の加速は4四半期連続です。さらに2028年1月期の売上を約70%増とする見通しを初めて示しました。ただしこの数字は「供給制約付き」であり、需要ベースの成長は100%に達すると経営陣は説明しています。 AI利用の主役が「人間」から「エージェント」へ
「アナログ半導体は年5〜7%で成長する成熟市場」——業界で長く共有されてきた通説が、いま揺らいでいます。Analog Devices(ADI)の2026年5〜7月期決算は、売上高が40.2億ドルと前年同期比40%増え、創業以来初めて四半期40億ドルの大台に到達しました。 ヴィンセント・ロッシュCEOは今回のサイクルについて「その幅、深さ、そしてAIという重力場。これほどのサイクルは経験したことがありません」と語ります。一過性の追い風ではなく、AIが生んだ電力問題がアナログ半導体の役割そのものを書き換えつつある——それが同社の見立てです。 象徴はデータセンター事業です。通信部門売上の8割を占めるまでに拡大し、光通信・電源の両分野が前年比2倍超のペースで成長。同社は2030年時点の関連市場の想定を、わずか1年で2倍以上に引き上げました。
米アプライド・マテリアルズ(AMAT)は、半導体製造装置の世界最大手です。成膜、エッチング、検査など、チップ製造の幅広い工程をカバーする装置を手がけます。顧客にはTSMCやサムスン電子、インテルなど世界の主要チップメーカーが名を連ねます。装置販売に加え、納入後の保守・改善を担うサービス事業も収益の柱です。 同社は2026年8月13日、2026年5〜7月期の決算を発表しました。売上高は前年比25%増の91億ドルで、四半期ベースの増収額として過去最大を記録しました。調整後EPSは前年比41%増の3.5ドルです。AI向け半導体の生産投資が需要を押し上げており、決算説明会では経営陣が業界の構造変化を具体的に語りました。 顧客が「8四半期分の予測」を提出する
AMDは米国の半導体大手です。サーバー向けCPU「EPYC」、PC向けCPU「Ryzen」、AI向けGPU「Instinct」などを手掛け、CPUではインテル、GPUではNVIDIAと競合します。近年はデータセンター向け事業が急拡大し、AIインフラ市場の主要プレイヤーとしての存在感を高めています。 同社が発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比50%増の115億ドル。データセンター部門は前年比107%増の67億ドルとなり、全社売上に占める比率は1年前の42%から58%に上昇しました。リサ・スー会長兼CEOは「私たちはまだ複数年にわたるAI採用サイクルの初期段階にいる」と発言。7〜9月期の売上高は前年比41%増となる約130億ドルを見込みます。 AIブームでサーバーCPUが急回復
ソフトバンクグループ傘下で半導体の設計図(IP)を世界に供給する英Armが、2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は前年比22%増の12.9億ドルと、第1四半期として過去最高を更新。ライセンスとロイヤルティがそろって記録を塗り替え、調整後EPSもガイダンスの上限を上回りました。 決算説明会でレネ・ハースCEOは「AIは、コンピューティングが起こる場所とその方法を変えつつあります。Armはその中心にいます」と語り、クラウドからPC、ロボットまで広がるAIの波が同社の追い風になっていると強調しました。 中でも際立つのがデータセンターです。同分野のロイヤルティ(チップ出荷に応じた使用料)収入は、再び前年から倍増しました。長らく他社の牙城だったサーバー市場で、Armベースへの移行が加速しています。
クアルコムが2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は99億ドルと会社計画の上限で着地し、スマートフォン向け半導体最大手として堅調な業績を示しています。ただ、この決算で市場の視線が集まったのは、数字の外側で起きている変化でした。 決算説明会でクリスティアーノ・アモンCEOは「クアルコムの次の章、そしてエッジからクラウドまで広がるAIの次の局面における当社の存在意義に、大いに期待している」と語りました。スマートフォンなど手元の機器から巨大サーバーまで、AIが動くあらゆる場所に商機を見る姿勢です。ただ、同社を取り巻く環境には追い風と逆風が同時に吹いています。 焦点の一つが、長年取引を続けてきたAppleとの関係です。かねて縮小が見込まれていたApple向けの事業について、想定を上回る速さで転機が訪れることが明らかになりました。一方で、スマートフォンの外側では新たな柱が育ちつつあります。 折しも、メモリ価格の高騰が半導体業界全体を揺さぶっています。この環境下で、同社は何を失い、それをどう埋めようとしているのか。経営陣の言葉から、地殻変動の中身をたどります。
AIブームの恩恵を最も直接受けるとされる企業の一つに、意外なつまずきが生じました。AIデータセンター向けに電源・冷却設備を手がけるVertivが発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比24%増と力強い伸びを示し、通期の業績見通しも全面的に引き上げられました。 決算説明会に登壇した経営陣の言葉も、一貫して強気でした。ジョルダーノ・アルベルタッツィCEOは事業の現状を振り返り、「今日ほど自社の進む軌道に自信を深めたことはない」と述べています。 それでも市場の視線は、好調な数字の傍らにある違和感に注がれました。受注環境は加速しているにもかかわらず、この四半期の売上はある事情から市場の期待を下回ったのです。原因は、需要の弱さではありませんでした。