AIの計算基盤を支える半導体メーカーと製造装置メーカーを集めたリストです。
AIブームの恩恵を最も直接受けるとされる企業の一つに、意外なつまずきが生じました。AIデータセンター向けに電源・冷却設備を手がけるVertivが発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比24%増と力強い伸びを示し、通期の業績見通しも全面的に引き上げられました。 決算説明会に登壇した経営陣の言葉も、一貫して強気でした。ジョルダーノ・アルベルタッツィCEOは事業の現状を振り返り、「今日ほど自社の進む軌道に自信を深めたことはない」と述べています。 それでも市場の視線は、好調な数字の傍らにある違和感に注がれました。受注環境は加速しているにもかかわらず、この四半期の売上はある事情から市場の期待を下回ったのです。原因は、需要の弱さではありませんでした。
AI投資の恩恵といえば、GPUをはじめとする半導体を思い浮かべる人が多いはずです。しかしその陰で、古参の記憶装置が記録的な業績を残しました。HDD世界大手のシーゲイトが発表した2026年4〜6月期決算は、売上高36億ドル(前年比48%増)と、成熟産業とは思えない伸びを示しています。 ウィリアム・モズレーCEOは2026年6月期を「傑出した1年だった」と総括しました。そのうえで、2027年6月期の増収率は今期を上回るとの見通しを示しています。強気の背景として同氏が語ったのは、データを巡る需要の質の変化でした。 けん引役はクラウド企業向けの大容量HDDです。AIの活用が広がるにつれ、データを長く保存し、繰り返し使う動きが強まっているといいます。追い風はクラウドにとどまらず、全ての事業分野で増収となりました。 折しも半導体メモリの値上がりも重なり、記憶装置を巡る需給は引き締まっています。それにしても、パソコンから姿を消したはずのHDDは、なぜAI時代の主戦場に返り咲いたのでしょうか。
Intelが2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は会社計画を大きく上回り、成長率は約15年ぶりの高水準に達しています。生成AIブームの恩恵は画像処理半導体GPUを握るNVIDIAに集中し、CPUの王者だった同社は「過去の巨人」と見られてきました。その通説が、いま揺らぎ始めています。 リップブー・タンCEOは決算説明会で「新しいIntelが形になり始めている」と述べました。就任から1年あまり、業績の上振れは一度きりの追い風ではなく、四半期を重ねるごとに続く常態へと変わりつつあります。再建の物語が「守り」から「攻め」へ局面を変えた点に、今回の決算の新しさがあります。 追い風の中心にあるのは、意外にも祖業のCPUです。データセンター向けの需要はかつてない勢いで積み上がり、いまや供給が追いつかないことが最大の悩みになっています。逆風のはずのパソコン市場の減速さえ、経営陣はまったく別の意味で捉えています。 なぜGPUの時代に、CPUへ注文が殺到するのでしょうか。鍵は、AIの「使われ方」に起きている静かな地殻変動にあります。そしてこの熱狂は、王者がひそかに温めてきた次の賭けの行方まで左右しようとしています。
TSMC(台湾積体電路製造)と言えば、半導体の受託製造(ファウンドリー)を手がける世界最大手です。特に最先端プロセスでは他社を寄せつけないシェアを握り、AI向け半導体の大半が同社の工場から生まれています。本拠地は台湾ですが、米国、日本、ドイツへと生産拠点を広げています。 そのTSMCが7月16日、2026年4〜6月期の決算を発表。売上高は402億ドルとガイダンスの上限に達し、通期の成長見通しを前年比40%強へ上方修正しました。設備投資計画の増額と、米アリゾナ州への1000億ドルの追加投資も打ち出しました。AIが半導体産業を急速に組み替えている実態が語られています。 エージェントAIが起こす「CPUの復権」
オランダのASMLと言えば、半導体の回路パターンをウェハに焼き付ける露光装置の最大手企業。最先端チップの製造に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置を量産できる世界で唯一の企業として知られます。 顧客はTSMC、サムスン電子、インテルをはじめとする半導体メーカー各社です。同社の受注と出荷の動向は、半導体産業全体の設備投資を映す先行指標として注目されてきました。そのASMLが7月15日、2026年4〜6月期決算を発表しました。 売上高は93億ユーロとガイダンスの上限を上回り、純利益は29億ユーロ、売上高純利益率は31.3%でした。同社はあわせて2026年の売上高見通しを430億〜450億ユーロに引き上げています。決算説明では、AI投資の裾野が広がる構造変化と、2028年分まで積み上がり始めた受注の状況が語られました。
マイクロン・テクノロジーは、米国を代表するメモリ半導体メーカーです。データを記憶するDRAMと、電源を切っても情報が残るNANDフラッシュの2つを主力とし、世界で数社しかいない大手の一角。近年は、AIの計算処理に欠かせない高帯域幅メモリ(HBM)でも存在感を高めています。 スマートフォンやデータセンター、自動車など幅広い分野に製品を供給する同社が、2026年3〜5月期の決算を発表しました。AIによるメモリ需要の拡大は、すでに広く知られています。決算説明会で経営陣が語ったのは、メモリ事業の仕組みそのものが変わりつつあるという話でした。 キャンセル不可の長期契約が広がる
Applied Materialsが、AIをめぐる投資の最前線で見えている景色を明かしました。同社は、半導体(チップ)そのものではなく、それを作るための製造装置を世界で手がける大手で、東京エレクトロンの競合にあたります。AIブームでは、どのチップ企業が勝っても装置が売れる立場にあり、需要の最前線を最もよく見通せる位置にいます。 同社のブライス・ヒルCFOによれば、AIの普及を縛っているのは、投資マネーでもGPUの供給でもないといいます。巨額の資金が流れ込んでも、需要がそのまま供給に変わるわけではありません。最前線には、お金では一足飛びに解けない別の壁があるとのことです。 AIといえば計算を担うGPUに目が向きますが、その裏では別の半導体の需要も静かに膨らんでいます。半導体は過去、作りすぎては価格が崩れる循環を繰り返してきました。ところが今回は、その教科書通りの展開になっていないといいます。
米国の半導体大手、ブロードコムが、2026年2〜4月期の決算を発表。総売上高は前年比48%増の222億ドルで、過去最高を更新しました。 急拡大しているのは、AI関連の事業です。2026年2〜4月期の総売上高は222億ドルとなり、前年比48%増の過去最高を記録。けん引役はAI半導体で、売上高は108億ドル、前年比143%増となりました。 ブロードコムの特徴は、特定の顧客向けに専用のAI半導体を設計する点にあります。同社は、この独自半導体を「XPU」と呼びます。汎用品を幅広く売るのではなく、巨大IT企業の要望に合わせて個別に作り込むモデル。ホック・タンCEOは「XPUでは大きな知的財産と実行力の優位がある」と述べました。
AIの主役といえば、NVIDIAに代表される高性能なGPUを思い浮かべる人が多いはずです。ところが、AIブームの果実を最も急な角度で受け取っている企業の一つは、そのGPUをつなぐ部分を作る半導体メーカーでした。Credoが発表した2026年4月期通期決算は、売上が前年の3倍を超える急成長となりました。半導体業界でも例の少ないこの伸びは、AIインフラに新しい制約が生まれていることを映しています。 ウィリアム・ブレナンCEOは、AIを動かす計算機の群れが巨大になるほど、勝負どころがずれてきたと指摘します。問われているのは、もはやチップ単体の速さではないという見立てです。性能競争とは別の次元で、顧客が本当に欲しがるものが入れ替わりつつあります。その変化が、同社の決算を押し上げました。 この急成長は、一度きりの現象ではなさそうです。Credoは、こうした流れが当面続くとの見方を示しています。しかも、需要を支える担い手は、これまでの一握りの巨大IT企業だけにとどまりません。AIインフラを支える顧客の顔ぶれが、広がり始めています。
HDD(ハードディスクドライブ)を専門に手がける米国企業、ウエスタンデジタル(WD)が株式市場での期待を高めています。同社は2025年2月にフラッシュメモリ事業(サンディスク)を切り離し、HDD一本に絞ったメーカーになりました。 4月30日に発表された2026年1〜3月期の決算で、売上高は前年比45%増の33億ドル。1株当たり利益(EPS)は前年同期のほぼ2倍となりました。AIブームはGPU、CPU、メモリと様々な製品に供給不足を引き起こしてきました。それがストレージにまで波及している現況が、同社の決算には表れています。 「AIに消される技術」ではなかったHDD