SaaS・ソフトウェア

業務ソフトをクラウドで提供する企業のリストです。大手からデータ基盤・開発ツールの専業まで含みます。

「AIはデータの側にやってくる」— Elasticが描くAI時代の基盤戦略

「AIはデータの側にやってくる」— Elasticが描くAI時代の基盤戦略

Elastic(NYSE:ESTC)は、検索エンジン技術を起点に、システム監視(オブザーバビリティ)やセキュリティの領域へ事業を広げてきたソフトウェア企業です。5月28日に発表した2026年2〜4月期決算では、主要な指標のすべてで自社見通しを上回りました。 AIはデータのある場所にやってくる アシュトシュ・クルカルニCEOは、業界の構造が変わりつつあると指摘しました。大規模言語モデル(LLM)が新しい基本ソフト(OS)のような存在になり、エージェントによる自動化が業務の前提になりつつある。AIの普及はあらゆる規模の組織に広がり、長期的な追い風になると主張しています。 CEOが繰り返し強調したのが「データには重力がある」という考え方です。ペタバイト級の自社データをわざわざ移動するのは、コストとセキュリティ、量のいずれの面でも現実的ではありません。だからこそLLMの方がデータのある場所にやってくる、というのが同社の主張です。

オクタ決算が映す、AIエージェント時代のID管理競争

オクタ決算が映す、AIエージェント時代のID管理競争

米オクタが5月28日に開いた2026年2〜4月期決算説明は、AIエージェント戦略に多くの時間が割かれました。同社は世界で2万を超える企業にID管理基盤を提供しており、多くのクラウドサービス(SaaS)にログインする際の入り口になっています。 全てのエージェントは「新しいID」になる トッド・マッキノンCEOは「テクノロジーの未来はエージェント型だ」と主張。企業内のすべてのAIエージェントを新たな「ID」(利用単位)として扱う考え方を示しています。人間の従業員を管理してきた仕組みを、AIエージェントにも同じように適用するという発想です。

MongoDB、「AIを狙っていなかった」会社がAIの本命に躍り出た理由

MongoDB、「AIを狙っていなかった」会社がAIの本命に躍り出た理由

MongoDBが発表した2026年2〜4月期決算は、売上が市場予想を上回りました。データベースを手がける同社にとって、規模が大きくなるほど成長率は鈍るのが通常です。ところが今回は、その成長率が前の期からむしろ加速しました。裏方に徹してきた地味なインフラ企業に、何が起きているのでしょうか。 チランタン・デサイCEOは、同社の事業を二つの軸で語ります。一つは企業の基幹業務を支える従来からの用途、もう一つはAI向けの新しい用途です。デサイCEOは「この二つは切り離せるものではなく、互いを補強し合っている」と説明しました。AIが一過性の追い風ではなく、本業と絡み合いながら成長を底上げしているという見立てです。 AI関連では、AIを開発する最先端の企業から、急成長中の新興企業、大企業まで、幅広い層での採用が報告されました。中でもデサイCEOが手応えを示したのが、AIに「記憶」を持たせる新しい使い方です。自律的に動くAIには、過去のやり取りを覚えておく仕組みが欠かせません。その置き場所をめぐる競争が、静かに動き始めています。

生成AIはRPAを置き換えない?AI時代に立ち向かう「UiPath」経営陣の主張

生成AIはRPAを置き換えない?AI時代に立ち向かう「UiPath」経営陣の主張

業務自動化ソフトを手がけるUiPathが、2026年2〜4月期の決算を発表しました。ARR(年間経常収益)は前年比12%増の19億ドル、売上高が17%増の4.2億ドル。初となる一般会計基準(GAAP)ベースでの四半期黒字も計上。 ダニエル・ダインズCEOは、AIエージェントが従来型の自動化を置き換えるという見方を明確に否定しました。ここでいう従来型の自動化とは、毎回同じ手順を機械的に繰り返す”決定論的”な処理。同社が手掛けてきた「RPA」のことです。 「生成AIが決定論的自動化を置き換えない」理由

Snowflake、製品売上が3四半期連続で加速——株価は一日で36%急騰

Snowflake、製品売上が3四半期連続で加速——株価は一日で36%急騰

Snowflakeの2026年2〜4月期決算は、消費課金型クラウドサービスの通常パターンから外れた数字となりました。製品売上は前年比34%増の13.4億ドル。成長率は前四半期の30%、1年前の26%から加速しました。NRR(純収益維持率)も126%へ上昇しています。 スリダー・ラマスワミCEOは、加速の構造を3層に分けて説明しています。第一に、AIが顧客のデータ活用価値を高めていること。第二に、エージェント型製品が独立した収益源として立ち上がったこと。第三に、それがコアプラットフォームの消費を二次的に押し上げていることです。 通期ガイダンスは前回の27%増から31%増へ引き上げられ、2027年1月期の製品売上は58.4億ドルを見込んでいます。第2四半期にあたる2026年5〜7月期の見通しは14.15〜14.2億ドル(前年比30%増)。非GAAP営業利益率の通期見通しも12.5〜13.5%へと引き上げられました。

AIブームの"勝者"の上流に、誰も知らない必須企業がいる

AIブームの"勝者"の上流に、誰も知らない必須企業がいる

Synopsysが発表した2026年2〜4月期決算は、売上・利益ともに会社の見通しを上回り、通期予想の引き上げにつながりました。半導体の主役はNVIDIAなどのチップメーカーに見えますが、そのチップを設計するソフトを握るのは、表に出ないこの会社です。AIがチップを複雑にするほど、設計の土台を担う立場の重みが増しています。AIブームの本当の受益者は誰か――その問いがここにあります。 サシーン・ガジCEOは決算説明会で、事業の底堅さに触れたうえで「いくつもの転換点がある」と述べました。安定した必須事業を抱えながら、その稼ぎ方を変えようとしている局面だという見方です。これまで安く価値を提供してきた会社が、いま何を変えようとしているのでしょうか。その答えは、AIがもたらす需要の変化と結びついています。 今回の四半期の売上は22.8億ドルでした。設計ソフトを扱う中核事業が前年比8%増と伸び、これまで低迷していた回路部品の事業も底入れの兆しを見せています。ただし、その伸びは半導体全体に一様なものではありません。

セールスフォースが描く「AIが働く」時代の輪郭 ― 2026年2〜4月期決算の4つの論点

セールスフォースが描く「AIが働く」時代の輪郭 ― 2026年2〜4月期決算の4つの論点

セールスフォースが2026年5月27日、2026年2〜4月期の決算を発表しました。売上高は前年比13%増の111億ドル、調整後営業利益率は34.8%でした。マーク・ベニオフCEOは決算説明で、AIエージェントが業務を担う「エージェンティック企業」への移行を前面に押し出しました。 業界では、生成AIが従来型のSaaSを脅かすという議論が広がっています。決算説明における質疑応答でも「SaaSpocalypse(SaaSの終末)」という言葉が繰り返し登場しました。ベニオフCEOはこの見方を否定せず、AIがソフトウェアを大きく変えているのは事実だと認めています。 そのうえでベニオフ氏は「AIによって当社のすべての製品がはるかに良くなっている」と主張。脅威ではなく追い風だという立場を取りました。その裏付けとして、ベニオフCEOは自社での利用実績を挙げています。

「顧客が買うのは、コードではなく安心」──AIに揺れるソフト業界で米インテュイットが貫く戦略

「顧客が買うのは、コードではなく安心」──AIに揺れるソフト業界で米インテュイットが貫く戦略

生成が急速に普及する中で、投資家のあいだではソフトウェア企業を厳しく評価する空気が強まっています。チャットに話しかけるだけで多くの仕事が片づくなら、ソフトウェアに対価を払う理由は薄れるのではないか。この問いにどう向き合うかは、業界に身を置く各社の経営姿勢を映す試金石になりつつあります。 その答えを探るうえで、参考になる会社が米インテュイットです。確定申告ソフト「TurboTax」や中小企業向け会計ソフト「QuickBooks」で知られ、40年にわたって個人や企業のお金まわりを支えてきた老舗。AIによる代替が最も語られやすい領域に身を置きながら、経営陣は独自の構えを崩していません。 先日の決算説明において、経営陣はAIをめぐる問いに正面から回答。そこには胸を張れる強さと、率直に認めた弱さが同居していました。好調を演出するのではなく、うまくいっていない部分にもはっきりと言葉を割いた点が、かえって説得力を持ちました。

AIが「攻撃側」に回る時代へ──Zscaler決算が映すサイバーセキュリティの転換

AIが「攻撃側」に回る時代へ──Zscaler決算が映すサイバーセキュリティの転換

クラウド型セキュリティ大手のZscalerが、2026年2〜4月期(第3四半期)の決算を発表しました。年間経常収益(ARR)は前年同期比25%増、非GAAP営業利益率は23%と過去最高を記録しました。 ジェイ・チョードリーCEOは「AIはサイバーセキュリティの本質をリアルタイムで変えている」と発言。自社を「AI時代のサイバーセキュリティ・プラットフォーム」と位置づけました。好調な数字以上に経営陣が時間を割いたのは、脅威の構図そのものの変化でした。 Anthropicの最先端AIモデル「Mythos」を引き合いに出し、ソフトウェアの脆弱性を機械の速度で発見し始めたと指摘しました。企業は数千という既知の脆弱性を抱え、その多くを修正できていません。最先端のAIが未修正の脆弱性を「最大10倍」に膨らませ、今後さらに強力なモデルが事態を一段と悪化させると語りました。 弱点の所在も移り変わると、CEOは説明します。「今日、最大の弱点はユーザーです。まもなく、AIエージェントが最大の弱点になります」。AIエージェントは人間よりはるかに速く動き、はるかに監視が行き届きません。一件の侵害が起きれば、情報の窃取まで数分で到達し、企業に壊滅的な損害を与えうるといいます。

半年で株価半減のワークデイ、AI時代の勝ち筋は「人とAIエージェントの協働」にあり

半年で株価半減のワークデイ、AI時代の勝ち筋は「人とAIエージェントの協働」にあり

いま、企業向けソフトウェアの世界で最もよく語られる言葉はAIです。ただ、その多くは将来への構想や期待にとどまっています。AIが実際にお金を生み、日々の仕事を変えているのか。その手応えをはっきり確かめられる場面は、まだ多くありません。 米ワークデイは、その答えが比較的見えやすい一社です。同社は、社員や資金にまつわる業務という、会社の土台を支えるソフトウェアを大企業向けに提供してきました。そこで扱うのは、人がどう働き、お金がどう動くかという、経営の根っこに近い情報です。 世界経済の先行きが読みにくいという事業環境もあります。コスト削減と成長の両立を迫られる企業にとって、何に投資するかの判断は、これまで以上に重くなっています。少ない人数で、より多くの成果を出したい。そんな空気のなかで、業務ソフトに求められるものが、はっきりと変わり始めています。 2025年2〜4月期の決算と、カール・エシェンバックCEOの言葉は、その問いに手がかりを与えてくれます。AIをどう稼ぎに変えるのか、人とAIが並んで働く職場をどう描くのか、そして不確実な時代に何を強みとするのか。足元の業績の奥には、これからの企業ソフトの姿が見えてきます。