業務ソフトをクラウドで提供する企業のリストです。大手からデータ基盤・開発ツールの専業まで含みます。
セールスフォースが2026年5月27日、2026年2〜4月期の決算を発表しました。売上高は前年比13%増の111億ドル、調整後営業利益率は34.8%でした。マーク・ベニオフCEOは決算説明で、AIエージェントが業務を担う「エージェンティック企業」への移行を前面に押し出しました。 業界では、生成AIが従来型のSaaSを脅かすという議論が広がっています。決算説明における質疑応答でも「SaaSpocalypse(SaaSの終末)」という言葉が繰り返し登場しました。ベニオフCEOはこの見方を否定せず、AIがソフトウェアを大きく変えているのは事実だと認めています。 そのうえでベニオフ氏は「AIによって当社のすべての製品がはるかに良くなっている」と主張。脅威ではなく追い風だという立場を取りました。その裏付けとして、ベニオフCEOは自社での利用実績を挙げています。
生成が急速に普及する中で、投資家のあいだではソフトウェア企業を厳しく評価する空気が強まっています。チャットに話しかけるだけで多くの仕事が片づくなら、ソフトウェアに対価を払う理由は薄れるのではないか。この問いにどう向き合うかは、業界に身を置く各社の経営姿勢を映す試金石になりつつあります。 その答えを探るうえで、参考になる会社が米インテュイットです。確定申告ソフト「TurboTax」や中小企業向け会計ソフト「QuickBooks」で知られ、40年にわたって個人や企業のお金まわりを支えてきた老舗。AIによる代替が最も語られやすい領域に身を置きながら、経営陣は独自の構えを崩していません。 先日の決算説明において、経営陣はAIをめぐる問いに正面から回答。そこには胸を張れる強さと、率直に認めた弱さが同居していました。好調を演出するのではなく、うまくいっていない部分にもはっきりと言葉を割いた点が、かえって説得力を持ちました。
クラウド型セキュリティ大手のZscalerが、2026年2〜4月期(第3四半期)の決算を発表しました。年間経常収益(ARR)は前年同期比25%増、非GAAP営業利益率は23%と過去最高を記録しました。 ジェイ・チョードリーCEOは「AIはサイバーセキュリティの本質をリアルタイムで変えている」と発言。自社を「AI時代のサイバーセキュリティ・プラットフォーム」と位置づけました。好調な数字以上に経営陣が時間を割いたのは、脅威の構図そのものの変化でした。 Anthropicの最先端AIモデル「Mythos」を引き合いに出し、ソフトウェアの脆弱性を機械の速度で発見し始めたと指摘しました。企業は数千という既知の脆弱性を抱え、その多くを修正できていません。最先端のAIが未修正の脆弱性を「最大10倍」に膨らませ、今後さらに強力なモデルが事態を一段と悪化させると語りました。 弱点の所在も移り変わると、CEOは説明します。「今日、最大の弱点はユーザーです。まもなく、AIエージェントが最大の弱点になります」。AIエージェントは人間よりはるかに速く動き、はるかに監視が行き届きません。一件の侵害が起きれば、情報の窃取まで数分で到達し、企業に壊滅的な損害を与えうるといいます。
いま、企業向けソフトウェアの世界で最もよく語られる言葉はAIです。ただ、その多くは将来への構想や期待にとどまっています。AIが実際にお金を生み、日々の仕事を変えているのか。その手応えをはっきり確かめられる場面は、まだ多くありません。 米ワークデイは、その答えが比較的見えやすい一社です。同社は、社員や資金にまつわる業務という、会社の土台を支えるソフトウェアを大企業向けに提供してきました。そこで扱うのは、人がどう働き、お金がどう動くかという、経営の根っこに近い情報です。 世界経済の先行きが読みにくいという事業環境もあります。コスト削減と成長の両立を迫られる企業にとって、何に投資するかの判断は、これまで以上に重くなっています。少ない人数で、より多くの成果を出したい。そんな空気のなかで、業務ソフトに求められるものが、はっきりと変わり始めています。 2025年2〜4月期の決算と、カール・エシェンバックCEOの言葉は、その問いに手がかりを与えてくれます。AIをどう稼ぎに変えるのか、人とAIが並んで働く職場をどう描くのか、そして不確実な時代に何を強みとするのか。足元の業績の奥には、これからの企業ソフトの姿が見えてきます。
今回のZoomの決算説明会には、ちょっとした仕掛けがありました。創業者のエリック・ユアンCEOによる冒頭のプレゼンは、本人ではなく、「Zoomカスタムアバター」と呼ばれる本人を模したAIのアバターが読み上げたのです。会議サービスの会社が、自社のAIにトップの言葉を語らせる。その演出自体が、いまのZoomが見せたいものを表していました。 Zoomはコロナ禍で、在宅勤務を象徴する名前になりました。ただ、ブームが落ち着いた今は、「会議をつなぐだけの会社」という見方もついて回ります。生成AIが働き方そのものを書き換えるなかで、ビデオ会議の会社はこの先も必要とされ続けるのか。これは、Zoomに投資する人だけの関心事ではありません。 ブームの後、Zoomはひたすら「AIの会社」への変身を急いできました。今回の決算では、その取り組みが業績にも表れ始めた、と経営陣は強調します。掛け声だけのAIではない、というのが彼らの言い分です。語り口には、これまでにない手応えがにじんでいました。 もっとも、本当に効いてくるのは、一つの四半期の数字そのものよりも、その奥で進む変化のほうです。Zoomは何を売る会社に変わろうとしているのか。競争の相手は誰で、料金の取り方はどう変わっていくのか。その輪郭は、経営陣自身の言葉のなかに見えてきます。
ITインフラの運用ツールを手がける米Dynatrace(DT)が、2026年1〜3月期決算を発表しました。年間経常収益(ARR)は20億ドルを突破し、4四半期連続で前年同期比16%増の成長を確保。続く2027年3月期は成長率のさらなる加速を見込むガイダンスも示しました。 システム監視のためのObservabilityは一般に、企業のITシステムが正しく動いているかを把握する仕組み。クラウドやAIの普及でシステム構成が複雑化する中、その重要性は年々高まっています。Dynatraceは大企業向けの統合型プラットフォームとして地位を築いてきました。 リック・マコネルCEOが繰り返したのは、カテゴリの定義そのものが書き換わりつつあるという認識です。「システムを見張る」という従来の役割から、AIの普及により別の機能を求められるようになっている。具体的な事例を挙げながら、自社プラットフォームの位置づけが変質していることを説明しました。
Cloudflareが2026年第1四半期決算と同時に、従業員の約20%にあたる1,100人超の人員削減を発表しました。インターネットの裏側でウェブサイトの配信と保護を担う同社の売上は前年比34%増の6.4億ドルとガイダンスを上回り、営業利益・フリーキャッシュフローも市場予想を超える絶好調の決算でした。 マシュー・プリンスCEOは「これはコスト削減のためでも、個人のパフォーマンス評価でもない」と冒頭で繰り返し強調しました。業績が過去最高水準にあるタイミングで踏み切った判断には、これまでにない論理が用意されていたといいます。 売上の伸びだけでなく、最上位顧客の獲得ペースや営業案件の積み上がりなど、複数の指標が過去最高水準を更新しました。一方、決算発表と同時に浮上したのが、社内で起きていた「ある異変」です。
業務管理SaaSのmonday.comが、AI時代に向けた自社の再定義を進めています。同社が2026年1〜3月期決算で示したのは、業績数字よりも、製品と価格と組織のすべてを同時に組み替える経営判断でした。 売上高は3.51億ドル、前年同期比24%増と市場予想を上回りましたが、今回の説明会の主役は数字よりも構造転換の中身です。AIが業務SaaSの何を変えるのか、その輪郭が一段と鮮明になりました。 monday.comは2012年にイスラエル・テルアビブで創業。2021年に米ナスダックへ上場しました。プロジェクト管理を起点に、CRMやカスタマーサポートへと製品領域を広げてきました。AsanaやAtlassianなどと並び称される、コラボレーティブワーク領域の有力プレーヤーの一角です。
Datadogといえば、企業のクラウドインフラやAIアプリケーションを「観測(オブザーバビリティ)」するプラットフォームを運営する企業。顧客のシステム利用量に応じて課金が発生する構造です。AI関連の動きが本格的な本番運用にまで到達しているかどうかを、同社の数字から窺い知ることができます。 2026年1〜3月期の決算発表は、とりわけ示唆に富む内容となりました。電話会議での話題は、コード生成ツールの本番投入、AIエージェントの普及、地政学リスクの影響、競合との関係など。一連のやり取りからは、AI時代に企業ITで何が起きているのかが立体的に浮かび上がります。 本稿では、経営陣の発言を軸に4つの注目点を取り上げます。
AppLovinが5月6日に発表した2026年1〜3月期決算は、売上高が18.4億ドル(前年比59%増)、調整後EBITDAが15.6億ドル(同66%増)でした。フリーキャッシュフローは12.9億ドル。事業が勢いを増す中、10億ドル相当の自社株買いも実施しました。 アダム・フォロウギ共同創業者兼CEOは決算説明の冒頭「直近の数回とは少し違う形で始めたいと思います」と切り出しました。「株価についての前置きも、ショートセラーへの言及も、ノイズへの反応もしません」と発言。「私たちの視点から見れば、未来がこれほど明るく見えたことはありません」と同CEOは断言しました。 強気の発言の背景では、複数の構造変化が同時に進行しています。主力のゲーム広告事業では業界全体に大きな潮目の変化が起きており、立ち上げて間もない新規事業は想定を超えるペースで拡大。これまで貫いてきたビジネスモデルの根幹も大胆な変革に踏み込みました。