SaaS・ソフトウェア

業務ソフトをクラウドで提供する企業のリストです。大手からデータ基盤・開発ツールの専業まで含みます。

【Adobe決算】AcrobatはChatGPTの中へ、マーケティングは「AIに引用されるか」へ

【Adobe決算】AcrobatはChatGPTの中へ、マーケティングは「AIに引用されるか」へ

アドビ(Adobe)は、PhotoshopやAcrobatなどで知られる米ソフトウェア大手です。AcrobatやExpressを中心とする「ビジネスプロフェッショナル&コンシューマー」と、Creative CloudやFirefly、Adobe Experience Platformなどを含む「クリエイティブ&マーケティングプロフェッショナル」の二つの顧客グループで構成。年間売上高は260億ドルを超え、全事業を合わせた月間アクティブユーザー(MAU)は10億人を上回ります。 2026年9月10日に発表した2026年6〜8月期決算は、売上高が67.6億ドルで前年比13%増(恒常通貨ベースでは12%増)、非GAAPベースの1株利益は6.13ドルで15%増でした。年初来の好調を受け、通期の売上高と1株利益の目標を引き上げています。 29年間在籍したシャンタヌ・ナラヤン会長兼CEOが12月1日付でCEOを退き、顧客体験オーケストレーション事業を率いるアニル・チャクラバルティ社長が後任に就くと発表しました。決算資料には、AI時代のソフトウェアがどこで使われ、どのように売られるかを示す具体的な数字が並んでいます。

4年落ちのGPUが2割高で再契約される オラクル決算に映るAIインフラの現在地

4年落ちのGPUが2割高で再契約される オラクル決算に映るAIインフラの現在地

オラクルは1977年創業の米ソフトウェア企業。主力のデータベースに加え、クラウドインフラ「OCI」、業務アプリケーション「Fusion」「NetSuite」、医療分野の「Oracle Health」を手がけています。共同CEO体制をとっており、マイク・シシリアCEOがアプリケーション事業、クレイ・マグワークCEOがインフラ事業を主に担当しています。 2026年6〜8月期の売上高は過去最高の193億ドルで、前年比30%増。6〜8月期の売上高が直前の3〜5月期を上回ったのは初めてです。クラウドインフラ売上高は74億ドルで前年比121%増となり、直前四半期の93%増からさらに加速しています。2027年5月期の売上高見通しを「少なくとも900億ドル」(前年比34%増)へ引き上げました。 受注残が260億ドル積み上がった意味 受注残を示すRPO(残存履行義務)は、2026年3〜5月期から260億ドル増加しました。マクソンCFOによると、新規契約の大半は顧客の前払いや、顧客がハードウェアを持ち込む形式で結ばれています。オラクルが追加で資本を投じる必要はなく、設備投資や売上への影響は2028年5月期以降。CEOはAI関連だけで300億ドル超の契約を、オラクルの追加資本なしで獲得したと説明しました。

「AIとのパッチ競争には勝てない」Zscaler決算に見るセキュリティの前提転換

「AIとのパッチ競争には勝てない」Zscaler決算に見るセキュリティの前提転換

Zscalerは、世界最大規模の分散型インラインセキュリティクラウドを運営する米セキュリティ企業。企業のユーザーや拠点、クラウド上のワークロード、AIエージェントを必要なアプリケーションへつなぐ「ゼロトラスト・エクスチェンジ」を提供しています。 同社は9月3日、2026年5〜7月期(2026年7月期第4四半期)の決算を発表しました。売上高は前年比25%増の8.98億ドル、年間経常収益(ARR)は同25%増の38億ドル。非GAAPベースの営業利益率は24.3%と過去最高を更新しています。2027年7月期の売上高ガイダンスは39.08億〜39.38億ドル(前年比16.6〜17.5%増)としました。 脆弱性は「直す」から「見えなくする」へ

「AIを使わない自動化」が売れる。UiPath決算に見る企業のAI活用の今

「AIを使わない自動化」が売れる。UiPath決算に見る企業のAI活用の今

UiPathは業務自動化のプラットフォームを提供するソフトウェア企業です。創業者のダニエル・ダインズCEOが経営を率いています。ダインズCEOによれば、同社はこの2年間でプラットフォームを業務オーケストレーション、エージェント、ソフトウェアテストの3領域を軸に再構築しました。 同社が発表した2026年5〜7月期決算では、年間経常収益(ARR)が前年比12%増の19.38億ドル、売上高が同13%増の4.1億ドル。為替影響を除いた売上高の成長率は16%です。非GAAPベースの営業利益率は22%で、前年から4ポイント以上改善。GAAPベースでも4四半期連続の黒字です。CFOを兼務していたアシム・グプタCOOがCOO専任となり、ヒテシュ・ラマニCFOが後任として昇格する人事も発表しました。 AIを使わない「トークンレス」の自動化を売る

Docusign、電子署名からAIエージェントの「契約レイヤー」へ。粗利を守りつつAI対応を推進

Docusign、電子署名からAIエージェントの「契約レイヤー」へ。粗利を守りつつAI対応を推進

Docusignは電子署名サービスを手がける米国企業です。2003年に創業し、2018年にナスダックに上場しました。顧客数は190万社を超え、売上高の31%を米国外が占めます。近年は電子署名に契約書の管理や分析機能を加えた「Intelligent Agreement Management(IAM)」プラットフォームを主力に据えています。 同社は9月3日に2026年5〜7月期の決算を発表。売上高は8.76億ドルで前年比9%増、非GAAPベースの営業利益率は31.6%でした。フリーキャッシュフローは2.96億ドルで、3.07億ドルの自社株買いを実施しています。IAMはARR(年間経常収益)の15.1%を占めるまでに拡大し、通期のARR成長率見通しを引き上げました。 AIエージェントが呼び出す「契約レイヤー」

Snowflake、成長率37%に再加速 商談相手は「CFO」に広がる

Snowflake、成長率37%に再加速 商談相手は「CFO」に広がる

米スノーフレークは、「AIデータクラウド」と呼ぶデータとAIの基盤を提供する企業です。顧客数は2026年5〜7月期末時点で1万4554社に達し、世界の大企業2000社のうち829社が同社の基盤を利用。近年はデータ基盤に加え、AIエージェントを構築・運用するための製品群を展開しています。 9月2日に発表した2026年5〜7月期決算は、製品売上高が前年比37%増の14.9億ドル。成長率は3四半期連続で加速し、2025年11月〜2026年1月期の30%から2四半期で7ポイント上昇しています。非GAAPベースの営業利益率は前年から400bp超改善し、15%となりました。会社は2027年1月期通期の製品売上高見通しを60.7億ドル(前年比36%増)に引き上げています。 買い手がデータ部門から経営陣へ

データが重すぎてAIへ運べない。Elastic決算が映す〈AIインフラの主客転倒〉

データが重すぎてAIへ運べない。Elastic決算が映す〈AIインフラの主客転倒〉

AIブームの主役は、華やかな言語モデルだと考えられがちです。ところが、検索エンジン技術のElasticが8月27日に発表した2026年5〜7月期決算で語られたのは、その逆の力学でした。企業のデータは重すぎてAIへ運べない。だから、AIの方がデータへ引っ越してくるというのです。 売上高は4億7,800万ドルと前年比15%増となり、成長は再び加速し始めました。動かせないデータ、機械速度になったサイバー攻撃、そして散らかったデータの逆転劇。検索の老舗は、AI経済のどの位置を押さえたのでしょうか。 AIがデータへ引っ越してくる AIに社内データを丸ごと読ませればいい、という発想は現実には成立しません。大企業が抱えるデータはペタバイト級に膨らみ、コストと機密性の壁で社外へ動かせないからです。そこで、モデルの方をデータの置き場へ呼び寄せる使い方が広がり、データの保管と検索を握るElasticに需要が集まっています。主導権は、モデルからデータの側へ移りつつあります。

SaaSの次は「エージェント労働」を売る。米Veeva決算が映す企業AIの転換点

SaaSの次は「エージェント労働」を売る。米Veeva決算が映す企業AIの転換点

米Veeva Systems(ヴィーバ・システムズ)は、製薬・ライフサイエンス業界に特化したクラウドソフトウェア企業です。営業支援(CRM)から臨床試験、薬事申請、品質管理まで、業界の業務プロセスを一気通貫でカバーするアプリケーション群を提供しています。 創業者のピーター・ガスナーCEOはセールスフォース・ドットコム初期のクラウド開発に携わった人物で、同社は米上場企業として初めてパブリック・ベネフィット・コーポレーション(公益企業)へ移行したことでも知られます。 同社が8月26日に発表した2026年5〜7月期決算は、売上高9.28億ドル、非GAAP営業利益4.16億ドルと会社計画を上回りました。ガスナーCEOは「CRMにとって過去最高の四半期だった」と総括し、AIエージェント製品「Veeva Falcon」の急速な進展を強調しました。

「SaaSを殺す」はずのAI企業9社が顧客に。Salesforce決算が映す滅亡論の誤算

「SaaSを殺す」はずのAI企業9社が顧客に。Salesforce決算が映す滅亡論の誤算

「AIがSaaSを殺す」——この1年、ソフトウェア業界を覆ってきた「SaaS滅亡論」の標的の筆頭がSalesforceでした。ところが売上高が過去最高を更新した2026年5〜7月期決算が映したのは、逆の光景です。滅亡論の震源であるはずのAI企業こそが、同社に最も深く依存しているという事実でした。 世界のAI企業上位10社のうち9社がSalesforceとSlackを利用し、その支出を大きく積み増しています。AIはソフトウェアを置き換えるのではなく、信頼できる業務データを握る基盤の価値をむしろ押し上げる——稼ぎ方の序列が静かに書き換わりつつあることを、この決算は示しています。 マーク・ベニオフCEOは決算発表のわずか数分前、Anthropicのダリオ・アモデイCEOとテレビ生放送に並び、共同製品「Claudeforce」を公表しました。「世界一のAIと世界一のCRMが初めて一つになる」。守勢に見えた同社が、脅威の本丸と手を組む側に回った瞬間です。

AIエージェントは数週間で50体から1,500体に。Okta決算が映す「管理なき増殖」

AIエージェントは数週間で50体から1,500体に。Okta決算が映す「管理なき増殖」

従業員を新しく雇ったわけではないのに、社内で働く「主体」が数週間で桁違いに増えている——。AIエージェントを導入した企業で、いま実際に起きていることです。人間の採用と違って稟議も辞令もなく、多くの企業は増えたことに気づく手段すら持ち合わせていません。 この増殖は、セキュリティの主戦場を静かに書き換えつつあります。エージェントの一体一体が認証情報と権限を持つ「新しいアイデンティティ」であり、増えるほど攻撃面が広がる。守りの中心が境界防御からID(アイデンティティ)管理へと移る構造変化です。 その追い風を受けるのが、ID管理大手のOktaです。2026年5〜7月期は、最需要期の第4四半期を除けば創業以来最高の受注を記録し、通期の売上成長率見通しも10〜11%に引き上げました。ところが、注目のAI関連製品そのものの売上貢献は、現時点では「僅少」にとどまるといいます。