「AIとのパッチ競争には勝てない」Zscaler決算に見るセキュリティの前提転換

Zscaler, Inc.

Zscalerは、世界最大規模の分散型インラインセキュリティクラウドを運営する米セキュリティ企業。企業のユーザーや拠点、クラウド上のワークロード、AIエージェントを必要なアプリケーションへつなぐ「ゼロトラスト・エクスチェンジ」を提供しています。

同社は9月3日、2026年5〜7月期(2026年7月期第4四半期)の決算を発表しました。売上高は前年比25%増の8.98億ドル、年間経常収益(ARR)は同25%増の38億ドル。非GAAPベースの営業利益率は24.3%と過去最高を更新しています。2027年7月期の売上高ガイダンスは39.08億〜39.38億ドル(前年比16.6〜17.5%増)としました。

脆弱性は「直す」から「見えなくする」へ

ジェイ・チャウドリーCEOは、直近のAIモデルが「より強力で、より自律的で、サイバーセキュリティの観点ではより危険になった」と指摘。フロンティアモデルやオープンウェイトモデルが未知の脆弱性を高速で発見する能力が明白になった、との認識です。企業には、発見される脆弱性の数に対処する時間も人手も足りません。「AIとのパッチ競争には勝てない」とチャウドリーCEOは表現しました。

同社は過去数カ月で、グローバル企業を対象に数百件の「フロンティアAIリスク評価」を実施しました。その結果、90%超の組織がAIアプリケーションやモデル、サーバーをインターネットに露出させていました。3分の1超には、既知の悪用可能な脆弱性が存在しました。脆弱性の発見から悪用までの時間も短くなっている、とチャウドリーCEOは指摘しています。

この状況に対し、同社は「攻撃者は到達できないものには手を出せない」という考え方を打ち出しています。ゼロトラスト・エクスチェンジはアプリケーションやAIモデル、データを外部から見えない状態にします。ユーザーやエージェントをネットワークに置かず、必要なアプリケーションへ直接つなぐ構成です。侵害が起きても横方向への移動を遮断し、影響範囲を封じ込めると説明しました。

この考え方は「ゼロトラスト・エブリウェア」という製品群に反映されています。ユーザー、拠点、クラウドの3領域すべてを導入した企業は2026年5〜7月期末で950社超でした。2〜4月期末の700社超、2025年7月期末の350社超から増えています。工場や倉庫のOT環境を対象にした「ゼロトラスト・ブランチ」では、ヘルスケア機器メーカーが生産拠点向けに導入を決め、7桁ドルの新規契約となりました。

AIエージェントは「信頼できない存在」として扱う

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