現代のビジネス環境において、DXは企業が競争優位性を確立し、持続的な成長を遂げるための最重要課題の一つです。クラウド、AI、IoTといった先端技術の急速な進化と普及を背景に、あらゆる産業でIT投資の戦略的重要性が高まっています。この変革期は、顧客企業のDXを支援するSIerにとって、大きな事業機会であると同時に、新たな価値提供モデルへの転換を迫るものでもあります。 特に大手SIer各社は、長年培ってきた知見やリソースを活かし、このDX市場をリードしようと独自の戦略を打ち出しています。本稿では、国内の大手SIer銘柄を取り上げ、各社がどのような事業モデルや技術戦略で臨んでいるのか、その特徴と将来性、課題について分析します。 “Fujitsu Uvance”を核に技術的プレゼンスを強化「富士通」 finboard
(前編のおさらい) 今やSalesforce、Adobeに続いて世界で3番目に売上が大きなSaaS企業となったWorkday。創業者のデイビッド・ダッフィールドはソフトウェア業界で圧倒的な実績をもつ人物でした。
マーク・ベニオフ氏率いる「Salesforce.com」(ティッカーシンボル: CRM)の2019年1月期3Q決算が発表されました。 (2019年1月期3Q決算説明資料)
ソフトバンクグループ傘下で半導体の設計図(IP)を世界に供給する英Armが、2026年4〜6月期決算を発表しました。売上高は前年比22%増の12.9億ドルと、第1四半期として過去最高を更新。ライセンスとロイヤルティがそろって記録を塗り替え、調整後EPSもガイダンスの上限を上回りました。 決算説明会でレネ・ハースCEOは「AIは、コンピューティングが起こる場所とその方法を変えつつあります。Armはその中心にいます」と語り、クラウドからPC、ロボットまで広がるAIの波が同社の追い風になっていると強調しました。 中でも際立つのがデータセンターです。同分野のロイヤルティ(チップ出荷に応じた使用料)収入は、再び前年から倍増しました。長らく他社の牙城だったサーバー市場で、Armベースへの移行が加速しています。
「真の優位性を届ければ、消費者はついてくる」——プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のアンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)は2026年4月24日の2026年6月期第3四半期決算の電話会議でそう語りました。 同四半期の組織売上は前年比3%超、コアEPS(1株あたり利益)は1.59ドルで前年比3%増。中国でのプレミアム品好調、Tideの大刷新、ドイツでの広告費削減、間接部門15%削減。 同社が示した4つの動きを整理します。
「AIエージェントの時代は、すでに来ている」——Cadence Design Systemsのアニルド・デヴガンCEOは、4月27日発表の2026年第1四半期決算でそう宣言しました。 Cadence Design Systemsは、半導体設計ソフトウェア(EDA)などを提供する企業。半導体設計の現場では設計1件あたりに必要なエンジニアが急増する一方で採用は追いつかず、これまで自動化が遅れていた領域まで含めてAIエージェントへの依存が高まりつつあります。 今回の決算から、AIエージェントが半導体設計のビジネスモデルをどう変えつつあるのか、課題も含めて整理します。
検索結果をクリックする代わりに、人間は生成AIに直接ものごとを尋ねるようになりました。企業のサイトへ流れ込んでいた訪問者が、静かに減り始めている。その波が、B2Bマーケティングの現場をも揺るがしています。HubSpotの2026年1〜3月期決算には、そんな一面が表れていました。 HubSpotは、中堅・中小企業向けにマーケティングや営業、顧客対応のソフトウェアを提供する米国企業。幅広い機能をCRM(顧客関係管理)を土台にした一つのプラットフォームに束ねます。創業およそ20年で約30万社が利用する巨大サービスですが、彼ら自身もAIとともに戦略を大きくシフトさせています。 2026年、顧客の検索流入は27%減 ヤミニ・ランガンCEOは、顧客企業のオーガニック流入(検索エンジン経由の自然な訪問)が2026年に入って約27%減ったと明かしました。検索からの流入が、ChatGPTやGeminiといったAIの回答に置き換わっているためです。
中南米のデジタル銀行Nu Holdings(NYSE:NU)の2026年1〜3月期決算は、四半期売上高が初めて50億ドルを突破しました。純利益は8.71億ドル(前年比41%増)。ブラジル、メキシコ、コロンビアで合計1億3500万人を超える顧客基盤を有しています。 経営陣が強く語ったのは、その先の事業戦略についてでした。Nuは「成長する顧客基盤×ARPAC拡大×低コストプラットフォーム」という収益創出の公式を10年以上機能させてきました。デビッド・ベレスCEOとギリェルメ・ラゴCFOの説明は、その土台が再定義されつつあることを示すものでした。 決算発表前から、市場では資産の質をめぐる懸念がくすぶっていました。信用損失引当金は前期比33%増。リスク調整後の純金利マージンは100bp低下と、悪化を示す指標が並びます。ラゴCFOは「資産の質が悪化したわけではなく、季節性、成長、商品ミックスによる」と分解しました。
BlackBerryが「ターンアラウンドは完了した。これからは成長の話だ」と宣言しました。 QNXのQ4売上は0.79億ドルで過去最高、通年成長率は14%。しかしP/L上の売上とは別に、ロイヤルティバックログの動きがこの決算のもう一つの焦点です。ロイヤルティバックログは、8.65億ドルから9.5億ドルへ、成長率は6%から10%に加速しました。 この記事では「まだ売上になっていない成長」の構造と、それを太らせつつある主要な成長ドライバーを整理します。
エリクソンが発表した2026年第1四半期決算は、為替の逆風を除いたオーガニックベースで前年比6%の売上成長となりました。報告ベースではスウェーデンクローナの急騰により10%減収の493億クローナでしたが、調整後EBITAは56億クローナ、営業キャッシュフローは59億クローナと堅調です。年間最大150億クローナの自社株買いプログラムも始動しました。 ボリエ・エクホルムCEOは「市場環境が変動する中でも健全な利益率を維持できる体質になった」と総括しました。最大市場である北米が減収に転じた四半期にもかかわらず、利益率が崩れなかったことへの自信がにじむ発言です。 セグメント別に見ると、クラウドソフトウェア&サービス事業の採算改善が目を引きます。5Gコア需要の取り込みが進んでおり、粗利率・EBITA率ともに過去最高圏です。エンタープライズ事業は2四半期連続のオーガニック成長ですが、14億クローナの赤字を計上しており、まだ投資先行の段階です。
ウェブサイト作成プラットフォームを手掛けるWix(WIX)が、2025年第4四半期および通期の決算を発表しました。第4四半期の売上高は5.2億ドル(前年比14%増)、通期では19.9億ドル(前年比13%増)となり、堅調な成長を続けています。フリーキャッシュフローは通期で6億ドルを突破しました。 成長をけん引したのは、2024年に買収したアプリ開発プラットフォーム「Base44」です。今年1月にローンチしたAI統合型ウェブサイト作成ツール「Wix Harmony」も好調なスタートを切りました。両プロダクトはそれぞれ異なるユーザー層を取り込み、市場機会を押し広げています。 Wixの株価推移=Finboard リオル・シェメッシュCFOは「2026年はカテゴリを定義するような革新を起こし、AIのリーダーシップを確立する」と強調。アヴィシャイ・アブラハミCEOも「今年ほど年初を心躍る気持ちで迎えたのは久しぶりだ」と述べ、攻めの姿勢を鮮明にしています。
AI時代における逆風──この言葉を最も頻繁に向けられているSaaS企業の一つが、HubSpotかもしれません。 LLMが商品・ブランド発見の起点となり、検索流入には逆風が吹いています。インバウンドマーケティングの代名詞として成長してきた同社のビジネスモデルは、その土台が揺らぎつつある領域と重なります。 その一方で、2026年2月に公表された2025年10〜12月期決算には、着実な業績が数値として表れています。四半期売上は為替中立ベースで前年比18.2%増、通期でも同18.2%増で31億ドルに到達。大口顧客向けの躍進が目立つ一方、取締役会は最大10億ドルの自社株買いプログラムを新たに承認しました。
自動運転車向けセンサー大手のHesaiが発表した2026年1〜3月期決算は、売上が前年比30%増と加速しました。同社の主力商品LiDARは光を使って周囲を3次元で把握するセンサーで、カメラと並ぶ自動運転車の「目」にあたります。世界の自動車市場が需要減速に揺れる中での成長で、業界首位の地位をさらに固めました。GAAPベース純利益も4四半期連続の黒字を維持しています。 イーファン・リーCEOは決算説明会の冒頭で、2026年を「変革の章」と位置づけました。「我々は空間認識から空間知能へと戦略的に転換する」と述べ、LiDAR事業の枠を超えた新領域への進出を予告しています。決算セグメントもこれに合わせて2本立てに再編しました。世界首位の頂点で打ち出された一手に、業界の関心が集まっています。 事業の広がりは具体的な形で現れています。先の北京モーターショーでは、24ブランド56車種にHesai製LiDARが搭載されていました。中国スマホメーカーHonorのヒューマノイドロボットには小型LiDARが組み込まれ、世界初の人型ロボット・ハーフマラソンで人間の世界記録を上回る走破を記録しています。 LiDARで世界一を取った会社が、その頂点で「目」だけでなく「脳」と「筋肉」を売る会社へと姿を変えようとしています。世界の自動車メーカーが続々と中国製センサーを採用し始めた構図の先に、何が見えているのでしょうか。
世界最大の物流不動産会社Prologisが、2026年第1四半期(1〜3月期)決算を発表しました。コアFFO(プロモート費用除き)は1株あたり1.52ドルと予想を上回り、リーシング実績は過去最高を更新しています。通期見通しも引き上げられました。 ダン・レターCEOは「より広く、より強靭なプラットフォームを構築している」と述べました。同氏が語る「プラットフォーム」の中身は、もはや物流倉庫だけではありません。 四半期の開発着工額は21億ドルで、その過半をデータセンターが占めました。市場賃料は2年半ぶりに上昇に転じ、本業の物流も底打ちの兆しを見せています。一方で、中東紛争に伴うエネルギー価格の上昇が新たな変数として加わりました。
中国のテック大手が一斉にAI事業を強化する中で、Baiduは独自の立ち位置を掴んでいます。検索最大手として広告収入で稼いできた一方、AIモデル「ERNIE」、自動運転「Apollo Go」、自社開発AIチップ「Kunlunxin」と、AI関連の技術スタックを早い時期から積み上げてきました。 こうした投資が業績に結実するには、想定以上の時間がかかってきました。生成AIブームの恩恵を最も早く受けるはずだった同社の売上は、ここ数四半期にわたって減収や横ばいが継続。市場ではBaiduのAI事業に対する評価が揺れる時期が続いていたのが実情です。 2026年1〜3月期の決算は、そうした評価を見直す材料となる内容でした。複数の事業領域で、市場の予想を上回る勢いが同時に確認されたためです。決算電話会議では、経営陣の口調にもこれまでとは違う手応えがにじみました。
Snowflakeの2026年2〜4月期決算は、消費課金型クラウドサービスの通常パターンから外れた数字となりました。製品売上は前年比34%増の13.4億ドル。成長率は前四半期の30%、1年前の26%から加速しました。NRR(純収益維持率)も126%へ上昇しています。 スリダー・ラマスワミCEOは、加速の構造を3層に分けて説明しています。第一に、AIが顧客のデータ活用価値を高めていること。第二に、エージェント型製品が独立した収益源として立ち上がったこと。第三に、それがコアプラットフォームの消費を二次的に押し上げていることです。 通期ガイダンスは前回の27%増から31%増へ引き上げられ、2027年1月期の製品売上は58.4億ドルを見込んでいます。第2四半期にあたる2026年5〜7月期の見通しは14.15〜14.2億ドル(前年比30%増)。非GAAP営業利益率の通期見通しも12.5〜13.5%へと引き上げられました。
2026年2月頃、米国を中心として「SaaS」に関連する銘柄の株価が急落しました。その背景にある要因は大きく二つです。一つは、LLMベンダー(主にAnthropic)が打ち出す製品やAIが、SaaSの競争力を長期的に毀損するリスクがあると見られるようになったこと。 もう一つの要因として、AIエージェントの登場によって所謂「シート型課金」の合理性が薄れると考えられることです。「シート型課金」とは一般に、SaaSを利用するユーザーの数に応じて料金が決まる体系。AIエージェントが丸ごとタスクを巻き取れば、シート型の従量課金はそぐわないケースが出てくるかもしれません。 今回取り上げるAsanaは、二つの条件が当てはまる銘柄の一つ。プロジェクト管理ツールのように「純粋な」ソフトウェア企業は、少し前なら高い期待が合理化されました。しかし今では、シリコンバレーの有力者が「急速に『投資不適格』になりつつある」と述べるなど、すっかり状況が変わりました。
どれだけ売れたか、ではなく、どれだけ食べられたか。2026年4月16日に開かれた米国の食品・飲料大手ペプシコの決算説明会で、経営陣が繰り返し口にしたのは、普段の業績報道ではあまり目にしない種類の数字でした。それはヘッドラインを飾ることはなく、しかしこの会社の現在地を示す鍵になっています。 主要セグメントの一つである北米スナック事業の四半期販売量は、前年同期比で2%増。決算短信に並ぶヘッドラインの数字はそう示しています。一方でCEOのラモン・ラグアルタ氏が決算説明会で繰り返したのは、この2%とは別の数字でした。「売れた袋やボトルの個数で見れば4%増」「商品が口にされた場面の数は3億回分の純増」。経営陣が本当に見ている指標は、ヘッドラインの外側にあります。 ペプシコはポテトチップスのLays、トルティーヤチップスのDoritos、スポーツ飲料のGatorade、そしてPepsiやMountain Dewを手がける米国最大級の食品・飲料企業です。Q1決算の全社売上は194.4億ドルで前年同期比8.5%増、1株当たり利益は1.61ドルと市場予想を上回りました。この規模の会社にとって「成長」とは何を意味し、どう測るのか。
ダウ工業株30種平均の構成銘柄でもある損害保険大手のトラベラーズが、2026年4〜6月期の決算を発表しました。株主のお金を利益に変える効率を示すROE(株主資本利益率)は、同社が長期目標に掲げる15%前後を約10ポイントも上回っています。企業にとって、儲かりすぎることは幸福なだけの出来事ではありません。目標を大きく超えた利益は、経営の哲学を試す問いへと姿を変えます。 アラン・シュニッツァー会長兼CEOは、自社の事業を「業界最高水準のリターンを、業界最低水準の変動で届けるよう調律されたエンジン」と表現しました。保険は派手さとは縁遠い業種です。それでも同社は、記録的な災害が続いた直近2年ですら、自社として過去有数の高いリターンを上げてきました。安定と高収益を両立させる何かが、この会社には組み込まれています。 決算説明会でアナリストたちが投げかけたのは、業績の良し悪しを確かめる質問ではありませんでした。これほど儲かっているのに、なぜ攻めないのか。膨らむAIの費用は本当に見合うのか。使い切れない資本をどうするのか。問いはいずれも、好調そのものではなく、好調の先にある選択へ向けられています。
リーバイ・ストラウスが発表した2026年度第1四半期(2025年12月〜2026年3月)決算は、オーガニック売上が前年比9%増、報告ベースで同14%増となりました。調整後EPSは0.42ドルで前年比11%の増益です。全セグメント・全チャネルで成長し、通期ガイダンスを売上・利益率・EPSのいずれも引き上げています。 ミシェル・ガスCEOは「戦略的な選択と集中がリーバイスブランドの潜在力を引き出している。以前よりも多くの勝ち筋がある」と総括しました。同社はデニムボトムスの会社から「頭からつま先まで」のライフスタイルブランドへの転換を推進しており、今期はその成果がトップスやウィメンズの2桁成長として明確に表れた四半期となりました。 LEVIの株価・出来高=Finboard 直営店・ECを合わせた自社販売事業は10%増で、既存店売上の前年比プラスは16四半期連続です。ホールセールも8%増と想定を上回り、ウィメンズやトップスといったライフスタイル商材が卸先にも浸透し始めています。粗利率は61.9%を確保し、関税下でも価格転嫁による需要減退は見られていません。