カードブランド・決済代行・後払いなど、お金の流れを担う企業のリストです。
カード会社が銀行に売る商品といえば、決済の処理でした。Visaの2026年7〜9月期の決算説明会で、ライアン・マキナニーCEOが成長の柱として時間を割いたのは、銀行の口座を不正から守る「サイバー防衛」です。決済処理とは別に売る付加価値サービスは3年でほぼ2倍の規模になり、通期の売上高は15%増と、15年以上ぶりの高い伸びを記録しました。 同じ説明会で、CEOはカード会社の脅威とされてきた2つの技術についても語っています。AIが人の代わりに買い物をする「エージェント商取引」と、ステーブルコインです。守りを商品にする会社は、攻めてくる技術にどう向き合っているのか。サイバー防衛、AIエージェント、ステーブルコインの順にたどります。 守りを決済の瞬間から口座へ広げる Visaが銀行に売る次の主力は、サイバー防衛です。カードの決済処理とは別に、銀行や加盟店に売るデータ分析や不正対策などの「付加価値サービス」は売上が140億ドルに達し、30%増えました。2023年のほぼ2倍の規模です。マキナニーCEOによれば、顧客の上位3課題はAI、ステーブルコイン、そしてサイバーセキュリティで、サイバー関連の収益は付加価値サービスの中で「意味のある割合」を占めています。決済の網を貸す会社から、網の上で起きる不正を防ぐ会社へと重心が動いています。
カードのポイントや特典を、AIに計算させて1つ残らず使い切る——。そんな「リワード・マキシング」という言葉が、American Express(アメックス)の2026年7〜9月期の決算説明会で、アナリストから繰り返し投げかけられました。あるアナリストは「最近までこの言葉は自分の語彙になかった」と前置きしたうえで、AIが会員の特典利用を最大化すればカード会社の収益は傷むのではないかと迫りました。 これに対するスティーブン・スクエリCEOの答えは、驚くほど落ち着いたものでした。その根拠は、アメックスの稼ぎ方が一般的なポイント事業と根本から違う点にあります。7〜9月期の売上高は過去最高の200億ドル(前年同期比9%増)。好調な数字の裏で語られたのは、AI時代のカード会社の稼ぎ方と、勝手に動くAIへの構え、そして絶好調の中での組織の作り直しでした。 失効ポイントを当てにしない経営 「我々にはブレーケージ(失効)モデルがない。会員がポイントを使わなくても、我々は得をしない」。スクエリCEOはこう言い切りました。多くのポイント制度では、使われずに消えるポイントが利益の一部になっています。アメックスはそこを当てにせず、むしろ使ってもらうこと自体を競争力の源泉にしているため、AIに特典を最適化されても慌てる必要がないという理屈です。
米Affirm Holdingsは、EC・実店舗向けに分割払いサービスを提供するBNPL(後払い決済)の大手です。 購入時点で取引ごとに与信判断を行う融資モデルを核に、デビットカード型の「Affirm Card」、預金口座の「Affirm Money Account」、銀行向けに技術基盤を提供する「Affirm Edge」など複数の商品を展開しています。創業者のマックス・レブチンCEOが現在も経営を率いています。 同社が2026年8月27日に発表した2026年4〜6月期決算は、四半期として過去最高の利益となりました。レブチンCEOは「税評価性引当金の戻し入れを除いても最高益であり、中核事業はフル稼働している」と述べています。
ブラジル発のデジタル銀行Nu Holdingsは、支店を持たないテクノロジー主導の銀行として2013年に創業しました。現在はブラジル、メキシコ、コロンビアの3カ国で事業を展開し、顧客数は1.39億人に達しています。 同社が発表した2026年4〜6月期決算は、総収益が前年比39%増の59億ドル、純利益が同49%増の11億ドルでした。四半期純利益が10億ドルを超えたのは創業以来初めて。デビッド・ベレスCEOは「13年前の仮説が想定通りに実現し続けている」と述べ、足元の動きについて決算で語っています。 自社製の金融基盤モデル「NuFormer」
Visaは2026年7月28日、2026年4〜6月期の決算を発表しました。売上高は前年比14%増の116億ドル、EPSは同11%増の3.32ドルで、いずれも市場予想を上回りました。四半期の決済取扱高は恒常為替ベースで前年比10%増となり、Visa史上初めて4兆ドルを突破しています。 好調の一因として経営陣が言及したのがFIFAワールドカップです。クリストファー・スーCFOは、6月11日の開幕から6月30日までの影響に言及。米国の開催都市では試合日の対面取引が最大20%増加し、ボストンでは交通機関のタッチ決済が50%以上伸びたといいます。カンザスシティに至っては、試合日の越境対面取引が前年比1000%増を記録しました。 インバウンド消費への波及も明確です。開催都市への越境対面支出は6月11日から30日にかけて前年比25%近く増加し、牽引したのはノルウェー、ウルグアイ、エクアドルからのファンでした。開催国は米国だけではありません。メキシコとカナダのインバウンド越境対面取引も、対戦国からのファンによってそれぞれ70%超、35%増加しています。
米PayPalは、オンライン決済の草分けとして知られる決済プラットフォーム大手です。EC決済画面に表示される「PayPalボタン」を祖業とし、若年層向け送金アプリのVenmo、企業向け決済処理基盤のBraintreeを傘下に持ちます。 月間アクティブアカウントは2.28億にのぼり、200近い国と地域で消費者と加盟店をつなぐ「両面ネットワーク」を築いてきました。足元では、新たにCEOに就任したエンリケ・ロレス氏のもとで多年度の事業変革を進めています。 同社が2026年7月28日に発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年比5%増、決済総額(TPV)が為替中立ベースで9%増の4860億ドルでした。非GAAPベースの1株利益は1.38ドルと前年比1%減ながら会社側のガイダンスを上回り、2026年通期のトランザクションマージン(TM)と1株利益の見通しを引き上げています。
米アメリカン・エキスプレスと言えば大手クレジットカードブランドの一角。会員向けに旅行などの各種特典を提供し、加盟店、カード会員の両方と直接つながる「閉じたループ」構造を強みとしています。 カード発行に加え、加盟店獲得や決済ネットワークも自社で運営し、世界各国で消費者・法人向けの事業を展開。2017年に約300億ドルだった売上高は、今期約800億ドル規模に達する見通しです。 そんなアメックスが7月24日、2026年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比10%増、EPSは4.53ドルでした。為替調整後の決済額は9.4%増と、直近3年で最も高い伸びを記録しています。2026年の売上高成長率見通しを10%に引き上げる一方、EPS見通しは17.3〜17.9ドルに据え置きました。
中南米のデジタル銀行Nu Holdings(NYSE:NU)の2026年1〜3月期決算は、四半期売上高が初めて50億ドルを突破しました。純利益は8.71億ドル(前年比41%増)。ブラジル、メキシコ、コロンビアで合計1億3500万人を超える顧客基盤を有しています。 経営陣が強く語ったのは、その先の事業戦略についてでした。Nuは「成長する顧客基盤×ARPAC拡大×低コストプラットフォーム」という収益創出の公式を10年以上機能させてきました。デビッド・ベレスCEOとギリェルメ・ラゴCFOの説明は、その土台が再定義されつつあることを示すものでした。 決算発表前から、市場では資産の質をめぐる懸念がくすぶっていました。信用損失引当金は前期比33%増。リスク調整後の純金利マージンは100bp低下と、悪化を示す指標が並びます。ラゴCFOは「資産の質が悪化したわけではなく、季節性、成長、商品ミックスによる」と分解しました。
世界の決済を支えるカード大手Visaが2026年4月28日に発表した2026会計年度第2四半期決算は、売上17%増・1株当たり利益(EPS)20%増という、2022年以来の高い成長率を記録しました。決算電話会議では、米国から新興国まで主要市場の動向が次々と語られていきます。その中でライアン・マッキナニーCEOが、現金比率という具体的な数字を挙げて踏み込んだのが、日本市場でした。 マッキナニー氏が口にしたのは、「日本は支出の約50%が依然として現金で行われている国」という一言でした。Visaにとって日本は、デジタル決済に置き換えられていく余地の大きい市場と映っていることがうかがえます。そのVisaが日本市場のパートナーに選んだのが、月間4,000万人が利用するモバイル決済アプリ「PayPay」でした。 ただし、この決算で語られたのはPayPay提携だけではありません。英国ではTikTokがクリエイター向けデビットカードを発行し、AIエージェントが自律的に取引する世界でVisaは何で勝つのかをCEOが語り、ステーブルコインを使った銀行間清算は年間70億ドル規模に達したなど、「カード会社」という従来のラベルでは捉えきれない動きが、複数の戦線で同時並行に進んでいます。
アメックス(AXP)が4月23日に発表した2026年第1四半期決算は、売上高が前年比11%増(為替調整後10%増)、GAAPベースのEPSは4.28ドル(前年比18%増)と好調な着地となりました。カード会員消費は前年比10%増と過去3年で最も高い伸び率を記録し、マクロ環境の不安定さが語られる中での記録更新となっています。 株価・出来高チャート スティーブン・スクエリCEOは「プレミアム商品に対する強い需要とエンゲージメントが顧客層全体で続いている」と述べ、米コンシューマー・プラチナでは値上げ後もリテンション率を高水準で維持しながら消費成長が加速していると説明しました。 世界全体で新規カード獲得の7割超が年会費ありのプロダクトを選択し、国際部門(ICS)は為替調整後で前年比13%増と20四半期連続の2桁成長を維持しました。一方で足元の航空消費は中東情勢の影響で一時軟化するなど、マクロ環境の揺らぎも併存しています。