カードのポイントや特典を、AIに計算させて1つ残らず使い切る——。そんな「リワード・マキシング」という言葉が、American Express(アメックス)の2026年7〜9月期の決算説明会で、アナリストから繰り返し投げかけられました。あるアナリストは「最近までこの言葉は自分の語彙になかった」と前置きしたうえで、AIが会員の特典利用を最大化すればカード会社の収益は傷むのではないかと迫りました。
これに対するスティーブン・スクエリCEOの答えは、驚くほど落ち着いたものでした。その根拠は、アメックスの稼ぎ方が一般的なポイント事業と根本から違う点にあります。7〜9月期の売上高は過去最高の200億ドル(前年同期比9%増)。好調な数字の裏で語られたのは、AI時代のカード会社の稼ぎ方と、勝手に動くAIへの構え、そして絶好調の中での組織の作り直しでした。
「我々にはブレーケージ(失効)モデルがない。会員がポイントを使わなくても、我々は得をしない」。スクエリCEOはこう言い切りました。多くのポイント制度では、使われずに消えるポイントが利益の一部になっています。アメックスはそこを当てにせず、むしろ使ってもらうこと自体を競争力の源泉にしているため、AIに特典を最適化されても慌てる必要がないという理屈です。
この考え方は会計にも表れています。前回の決算説明会では、クリストフ・ル・カイエックCFOが、ポイントは付与した時点で費用に計上し、最終的に使われる割合を96%程度と見積もっていると説明していました。ほぼ全部が使われる前提で帳簿を組んでいる会社にとって、「使い倒される」リスクはもともと小さいのです。