バフェットが投資した中で含み益が最大倍率となったのはどこか?バークシャーの過去41年からトップ6社をピックアップ!

「投資の神様」ことウォーレン・バフェットが会長を務めるバークシャー・ハサウェイは世界最大のコングロマリットであり、投資会社としての性質を強く持っています。

バークシャーは、会社ホームページで過去の「株主への手紙」を1977年以降全て掲載しており、どの年を見てもバフェットの考えを記した示唆に富むものとなっています。

情報量が膨大で何をピックアップするか悩みますが、今回は”手紙”の中に掲載された投資ポートフォリオの「含み益」をランキング化してみたいと思います。


どういうことかと言うと、「手紙」にはその年の主要な投資ポートフォリオを掲載した項目があります。

右のほうに「取得額(Cost)」と「市場価格(Market)」という項目があり、この差額が「含み益」というわけです。

また、市場価格を取得額で割ることで、投じた金額に対して何倍のリターンが出ているかを知ることができます。

今回のエントリでは、バークシャーの直近40年の歴史の中で最も高いリターン(含み益だけど)を記録した6社ついて、ランキング形式でまとめてみたいと思います。

本当は5社にしたかったのですが、1社は古くてあまり知られていない会社だったので、もう1社追加しました。


6位:The Procter & Gamble Company:13.9倍

第6位は、世界的消費財メーカーの「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)」です。


最初に投資した時にはP&Gではなく、髭剃りメーカーのジレットの株を買っていました。

「Gillete」の文字が最初に現れたのは1989年の報告書で、バフェットは次のように述べています。

意訳:ジレットの事業は我々が好きなタイプだ。チャーリーと私は会社の経済を理解でき、未来について合理的で賢明な推測を行うことができる。(もしジレットの新しい「センサー」カミソリを亜t目してないなら、すぐに行って買ってきなさい)


バークシャーは1989年6月、ジレットの8.75%の配当つきの優先株を6億ドルで2,400万株取得。

1991年にはジレットの優先株は普通株に転換され、その時点で評価額は135万ドルと、すでに取得額の2倍以上の価値に。

それから2004年まで、バークシャーはジレットの株を一株も売っていません。株数が増えているのは株式分割によるもののようです。

2005年にはジレットがP&Gに買収され、バークシャーの持分はP&G株に転換されます。

その後は徐々にP&G株を売却していき、2014年にはP&Gの電池事業「Duracell」を、P&G株式と引き換えに買い取ることに合意。バークシャーのP&G保有は終わることになりました。

Buffett's Berkshire Hathaway buys P&G's Duracell


バークシャーが保有していたP&G(ジレット)株式の評価額の推移を見てみましょう。

2007年の評価額は745万ドルに達し、取得額103万ドルの7倍以上の価値に。

その後は徐々に持ち株を売っているため評価額も減っていますが、取得額に対する倍率が最大化したのは2015年で、14倍近くにものぼっていました。


5位:The Coca-Cola Company:14.1倍

含み益の倍率が5番目に大きかったのは、バークシャーの投資先として代表的な存在であるコカコーラです。

コカコーラ株式を大きく買い始めたのは1988年のことで、初めから長期で保有するつもりだと宣言しています。

理想の株式保有期間は「永遠」であり「会社の調子がいい時に売って、悪い時に塩漬けにする」投資家とは反対だと皮肉り、著名投資家のピーター・リンチの例え話(「花を切って雑草に水をやるようなものだ」)を引き合いに出して同意しています。

さて、バークシャーによるコカコーラの保有株数の推移です。

1988年に142万株、1989年に233万株を買った後は、1994年にキリがよくなるように買い増しているだけで、一株も売却していません。

保有株数がところどころガツンと増えているのは、やはり株式分割によるもののようです。

バークシャーが保有するコカコーラ株の市場価値の推移です。

時系列で見ると、1988年に5億9300万ドルを投じ、翌年にはさらに追加して取得額は10億2400万ドルに。

1994年以降は一切買い増しておらず、全体の取得価格は13億ドルとなっています。それが、2017年には1835億ドルの価値に。取得額からの倍率は14倍以上で、P&Gよりも少し良い倍率です。


保有期間は実に29年で、その間「一株も」売っていません。さすが有言実行という印象です。


4位:Moody’s Corporation:14.7倍

第4位は、格付け機関として有名なムーディーズ。

ムーディーズは1900年創業で、バフェットは子供の頃から同社の「Moody's Manual」を愛読していたと言います。日本でいう会社四季報のような感じでしょうか。

ムーディーズは1962年に「Dun & Bradstreet」により買収され、2000年9月にスピンオフされて再び上場。

バフェットがムーディーズ株を買ったのはその直後の2001年のことで、2400万株を5億ドルで取得。

2005年には株式分割により保有株数は2倍になりますが、2012年までに半分ほどを売却していた様子。

バークシャーのムーディーズ株式の市場価値の推移です。

2007年に持ち株の半分を売却してからもMoody'sの株価は上がり続け、取得額からの倍率は14.7倍にまで膨らんでいます。


3位:Affiliated Publications, Inc:15.8倍

第3位は「Affilicated Publications」という会社です。聞いたこともない会社ですが、それもそのはずでバークシャーが保有していたのは1985年までのこと。

1979年時点でも既に取得額の3倍ほどの価値になっていましたが、そこから6年で取得額の15.8倍にまで上昇しています。


2位:GEICO Corp.:52.4倍

第2位は、バフェットやバークシャーについて詳しい方ならご存知の保険会社「GEICO」です。

バフェットは20歳の頃にGEICOを訪れ、後にCEOとなるLorimer Davidsonから保険ビジネスやGEICOについて聞く機会を得て、そのことが投資家として大きな体験になったと言います。

バークシャーによるGEICOの保有株数の推移です。

1979年には573万株を保有しており、1983年以降は685万株を保有していました。1992年に株数が増えているのは株式分割によるもののようです。

市場価値を取得額で割った値(含み益倍率)の推移です。

1995年には驚異の5236%、すなわち52倍に達しています。バークシャーがGEICOに投じた4570万ドルは23億9320万ドルに変わったわけです。

ビックリするのは、この投資の終わり方です。バークシャーはこの巨大な含み益を確定することなく、逆に完全子会社化してしまいます。

「これまでに享受してきた経済的な視点から言えば、1995年末時点に保有していたGEICO株式の51%の価値は、その二日後に残りの49%を獲得した時に大きく増大した。」

要するに、売るよりも全部買ってしまう方が税金その他の理由から得であると言いたかったようです。


1位:The Washington Post Company:154倍

そして栄えある第一位は新聞社の「ワシントン・ポスト」です。

まずは持ち株数の推移を見てみます。

1979年に倍増しているのは、やはり株式分割によるもの。1985年に少し株を売っていますが、それ以降はずっと173万株を保有していたようです。

その間に保有していたワシントン・ポスト株式の市場価値の推移です。

1,063万ドルで取得した株式の価値は、1977年には3,340万ドルと3倍以上に膨らんでいます。2004年にはさらに大きくなり、およそ17億ドル、取得額の154倍にまで達しています。

倍率ではバークシャー史上最大の含み益となったワシントン・ポストですが、絶対額としては大きくなかったため、2009年以降はバークシャーの報告書に記載されることはなくなりました。

ワシントン・ポストはその後、2013年8月にAmazonのジェフ・ベゾスにより2.5億ドルで買収されています。


まとめ

いかがでしたでしょうか。

バフェットは株を買ったら、ほとんど売らずに10年以上持ち続けています。

そのこと自体は「バフェット名言集」とかでよく聞く話ですが、実際に30年も株を売らないというのは並大抵の話ではありません。

今回のランキングではワシントン・ポストが第一位でしたが、それは同社が最も素晴らしかったからというよりは最も長い時間保有していたからという側面もあります。

「時間を味方に付けるのが投資だ」とはよく言われますが、それを長年愚直に続けてきたのがウォーレン・バフェットであり、バークシャー・ハサウェイです。


実際の事例を見ることで、バフェットがどのように投資を行ってきたのかを、よりリアルに感じられるのではないでしょうか。

今回は「含み益の倍率」をランキング化しましたが、絶対額で見るとまた違う企業が出てきそうです。

また、機会を見つけてまとめてみたいと思います。

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ウォーレン・バフェット特集