マネーフォワード 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 3057億3200万 円
銘柄コード 3994(市場第一部(内国株))

2012年5月に設立。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げ、すべてのお金の課題解決を目指すFintech企業。個人向けお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』や事業者向けバックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』など、約30にのぼる多様なサービスを提供。2017年9月、東京証券取引所マザーズ市場に上場、2021年6月に第一部へ市場変更。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

マネーフォワードは東京都港区に本社をおく企業。2012年5月、辻庸介氏が高田馬場でマネーブック(株)として創業。同年12月に社名を変更し、自動家計簿・資産管理サービス『マネーフォワード』を公開。2013年11月には『マネーフォワード For BUSINESS』(現『MFクラウド会計・確定申告』)、12月にはお金のウェブメディア『マネトク』(現くらしの経済メディア『MONEY PLUS』)を公開。2017年9月、東証マザーズへ株式上場を果たす。2021年6月に第一部へ市場変更。

事業内容

マネーフォワードは、法人向けサービスを提供する「Money Forward Business事業」、個人向けサービスを提供する「Money Forward Home事業」、金融機関向けサービスを開発する「Money Forward X事業」、新たな金融ソリューションを開発する「Money Forward Finance事業」の4つのドメインで事業を展開している。

Money Forward Businessの事業内容・ビジネスモデル

Money Forward Businessドメインでは、主力事業である『マネーフォワード クラウド』を中心としたSaaS形態のサービスを提供している。『マネーフォワード クラウド』は、中小企業の経営とバックオフィス業務の効率化を目的とするクラウド型ERPのサービスプラットフォームである。

Money Forward Businessドメインでは、その他に『マネーフォワードクラウド会計・確定申告』、『マネーフォワードクラウド請求書』、『マネーフォワードクラウド給与』、『マネーフォワードクラウドマイナンバー』、『マネーフォワードクラウド経費』、『マネーフォワードクラウド勤怠』、『マネーフォワード会社設立』、そして『マネーフォワードクラウド資金調達』なども提供する。

ビジネスモデル

収益構造としては、主に収益がストック型で積み上がる月額課金モデルであり、サービスやプランによって異なる価格帯にて提供している。販売経路としては、ウェブサイトでの販売に加え、営業人員による会計事務所や事業者への販売、量販店での販売、商工会議所を含む代理店経由での販売を行っている。

ストック収入

下記フロー収入を除いた、『マネーフォワードクラウド会計・確定申告』『マネーフォワードクラウド請求書』『マネーフォワードクラウド給与』『マネーフォワードクラウドマイナンバー』『マネーフォワードクラウド経費』『マネーフォワードクラウド勤怠』『STREAMED』『Manageboard』等の会計事務所、事業会社等への販売収入を主な収入源とする。また、下記フロー収入を除いた、ウェブサイト、自社営業人員、量販店、代理店等のチャネルを通じての販売収入もある。

フロー収入

導入支援手数料、イベントの協賛金・参加費収入、ナレッジラボ社におけるコンサルティング売上、ワクフリ社における売上等がある。

プラットフォーム化・プラン改定

2019年5月からは『会計』『請求書』『給与』『経費』『マイナンバー』の5つのサービスを統合し、1つのプロダクトだけでなく複数プロダクトを利用しやすい新プランを導入した。なお、2019年11月現在、上記5つのサービスに『勤怠』を加えた6つのサービスを統合したプランを展開している。

BOXIL

マネーフォワードは2019年11月、SaaSマーケティングプラットフォーム『BOXIL』を提供するスマートキャンプ株式会社をグループ会社化した。今後は従来のバックオフィスSaaS領域に加え、SaaSマーケティング領域への事業領域拡大を進めている。

Money Forward Homeの事業内容・ビジネスモデル

Money Forward Homeドメインでは、個人向けアプリ『マネーフォワードME』を中心に、お金に関するサービスを提供している。『マネーフォワードME』は、複数の金融機関等の口座残高や入出金の履歴データを集約・分類して表示し、銀行、クレジットカード、証券、保険、年金、ポイントなど、利用者のお金に関する情報の一元管理を可能にするサービスで、PFM(Personal Financial Management:個人資産管理)ツールとも呼ばれる。

今後は『マネーフォワードME』による家計や資産の見える化に加え、貯金や資産運用のアドバイスなど、課題解決をサポートする新サービスの展開を計画している。既に2つの新規サービスとして、お金の相談ができるファイナンシャルプランナーとのマッチングができる『マネーフォワードお金の相談』、『マネーフォワードME』のデータを分析して最適な行動をアドバイスする『マネーフォワードおかねせんせいβ版』の提供を開始している。

ビジネスモデル

『マネーフォワードME』は、いわゆるフリーミアムモデル型のサービスであり、ユーザーは複数の口座残高の一括管理や、取引履歴を食費や光熱費等のカテゴリに自動で分類・グラフ化を行うなどの基本的な機能を無料で使うことができる。

無料機能に加えて、ユーザーはプレミアム会員として月額約500円の有料課金を行うと、詳細分析機能、金融関連サービス11件以上の連携、1年以上前の過去データの蓄積機能、将来シミュレーション機能、家計診断による節約ポイントの把握などの上位機能の利用が可能となる。また、より長期間プレミアムサービス利用を促すべく、2019年3月からは月額料金の約1ヶ月分がお得になる年額プランの提供を開始した。

収益構造としては、プレミアム会員への有料課金に加え、マネーフォワードグループが運営するくらしの経済メディア『MONEY PLUS』と連携した広告の販売などを中心としている。

プレミアム課金収入

PFMサービス『マネーフォワードME』におけるプレミアム会員に対する月額課金モデルによってストック収入を得ている。

メディア/広告収入

『マネーフォワードME』、くらしの経済メディア『MONEY PLUS』内における広告出稿に伴う広告掲載料のほか、イベント/セミナーの開催に伴う運営収入がある。

Money Forward Xの事業内容・ビジネスモデル

Money Forward Xドメインでは、『マネーフォワードクラウド』や『マネーフォワードME』の開発技術を活かし、アプリやwebサービスの企画・開発を行っている。主な提供サービスとして、自動家計簿・資産管理サービス『マネーフォワードfor〇〇』や、通帳アプリ『デジタル通帳』、そして法人用資金管理サービス『Business Financial Management』などがある。また、株式会社横浜銀行のポータルサイト『〈はまぎん〉ビジネスコネクト』を、株式会社NTTデータとの連携により共同開発している。

ビジネスモデル

収益構造は、『マネーフォワードfor〇〇』や『デジタル通帳』などのサービス提供によるストック型の月額課金モデルと、初期回月や私用検討、プロモーション支援などにより発生する一時的なフロー型の課金モデルの両輪で成り立っている。

フロー収入

金融機関等のサービス提供先からの初期開発や仕様検討収入並びに、プロモーション支援による収入がある。

ストック収入

上記以外のストック収入。主に、サービス利用に伴う月額課金モデル。ストック型の課金モデルでは提供サービスの利用者数増加に伴い収益が向上するプランもあり、継続的な収益向上が見込まれる。

Money Forward Financeの事業内容・ビジネスモデル

Money Forward Financeドメインでは、既存事業のデータを活用した新規事業を展開している。『MF KESSAI』では、企業の請求業務代行や売掛債権の買取りサービスを提供し、『Money Forward BizAccel』では中小企業・個人事業主向けにオンライン融資サービスを行う。また、マネーフォワードシンカ株式会社では、成長企業向けのフィナンシャル・アドバイザリーサービスを実施している。

ビジネスモデル

収益構造としては、企業間後払い決済サービス『MF KESSAI』の与信、請求、代金回収などの業務代行による手数料収入を中心に、請求代行サービス販売収入やオンライン融資による貸出金利収入、アドバイザリー収入などがある。

経営方針

マネーフォワードグループは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションのもと、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というビジョンを掲げている。

そして、「User Focus」「Technology Driven」「Fairness」を行動指針とし、「ユーザー中心主義」に基づいて、テクノロジーによってユーザーの人生や経営を少しでも前向きに進めるために貢献することを目指している。

マネーフォワードグループのビジネスモデルがサブスクリプションモデル中心のため、中長期的なキャッシュ・フローの現在価値最大化を最重要視し、経営の意思決定を行っている。

経営指標

マネーフォワードグループのビジネスモデルはサブスクリプションモデル中心のため、中長期的なキャッシュ・フローの現在価値最大化を最重視し、経営の意思決定を行っている。目標とする経営指標としては、売上高とEBITDA(営業利益+減価償却費・償却費+営業費用に含まれる税金費用)を重視している。

経営環境

マネーフォワードグループを取り巻く事業環境については、確定拠出年金制度やNISA導入などの政策の影響などから、個人の金融資産に対する自己責任での管理・運用への意識が着実に高まりつつあると考えられる。そして、人口減少(特に生産年齢人口の減少)という構造的で避けられないトレンドの中、今後ますます労働力確保が難しくなると見込まれ、中小企業の生産性向上、特にバックオフィス業務の省力化は急務の課題だ。

また、マネーフォワードグループのサービス領域である「Fintech市場」については、政府がFintech市場関連の政策を推進し、Fintechに対する金融機関や企業などの動向が活発化している。加えて、長期的には、資産管理や投資・運用などの、従来は金融機関等が提供してきたサービスを、Fintech企業が将来的に補完もしくは一部代替する可能性のある市場と考えられている。このことから、国内のFintech市場はさらに拡大を続けていくと予想される。

このような環境の中、マネーフォワードグループの継続的な成長のためには、『マネーフォワードクラウド』や『マネーフォワードME』などのサービスを通じて、「お金のプラットフォーム」としての地位を確立する必要がある。

さらに、サービス間のクロスセルやアップセルによるARPPUの向上や、無料会員から有料会員への転換を促進する取り組みなどによる収益基盤の強化に取り組む方針だ。

また、マネーフォワードグループは、個人と法人の両ユーザーに対して積極的な啓蒙活動を行い、結果としてFintech市場の拡大を目指している。具体的には、中小企業のITツール活用を促進する一般社団法人Business IT推進協会を設立・運営しているほか、個人向けセミナー「お金のEXPO」や、会計事務所や中小企業などへのITツール導入を後押しする「士業サミット」の開催などに取り組んでいる。

さらに、企業間後払い決済サービス『MF KESSAI』や、オンライン融資サービス『Money Forward BizAccel』など、既存事業のデータを活用した新しいサービスの開発に取り組む。そして、SaaSマーケティングプラットフォーム『BOXIL』を運営するスマートキャンプ株式会社の子会社化により、事業領域の拡大に努めるなど、より高い成長を目指していくとしている。

対処すべき課題

サービスの普及拡大・向上

マネーフォワードグループのユーザー基盤は、潜在市場の大きさに対してまだ十分な普及レベルに達していないとし、サービスの知名度向上とユーザー層の拡大が課題となっている。

ユーザーを意識したサービスの迅速な提供

常に技術革新が起こっているインターネット業界で、マネーフォワードグループが機能優位性及び価格競争力を維持していくためには、ユーザーを意識したサービスの迅速な提供も課題である。加えて、ユーザーにさらなる付加価値を提供していくため、蓄積したビッグデータを独自に解析していくための体制構築も課題として認識されている。

自立的運営体制の充実

マネーフォワードグループのサービスでは、販売、サポート及び開発という組織のコア機能を外部に委託することなく、自立的運営体制を構築し、維持することが競争優位性を確保する上で重要であると認識している。しかしながら、自立的運営体制を継続的に維持することは容易ではない。マネーフォワードグループは引き続き、スキルの高い人材の継続的な採用・育成により自立的運営体制の充実強化を行い、知識の集約と活用を図っている。

情報管理体制のさらなる強化

マネーフォワードグループが提供するサービスにおいては、顧客のお金に関する様々な情報を多く預かっており、その情報管理を継続的に強化していくことが重要であると考えている。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しているが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備などを継続して行っていくとしている。

新たな付加価値を生むためのビッグデータの蓄積・解析体制の強化

ユーザーのビッグデータは、日々データベースに蓄積されていく。マネーフォワードグループでは、ユーザーに更なる付加価値を提供するために、それらのビッグデータに基づき、より高度なデータ活用を行っていく必要があると考えてある。そのため、ビッグデータを独自に解析していくための体制構築に取り組んでいる。

様々なFintechサービスにおける情報レイヤーとしてのポジショニングの確保

『マネーフォワードクラウド』や『マネーフォワードME』などは、Fintechサービスで情報レイヤーと呼ばれているユーザーのお金に関する情報を正確に集約し、蓄積することを可能にできる機能を持っている。マネーフォワードグループは、この情報レイヤーが、将来的には決済、課金、取引所、融資、投資、そして不動産取引といった金融に関連する利用者の行動の起点、すなわちユーザーインターフェースになりうるものと考えている。

マネーフォワードグループは、今後も、サービス利用者の拡大並びに外部サービスとの連携の拡大を進めることで、情報レイヤーとしてのポジショニングを確立していくことを目指す。同時に、情報レイヤーを支える本人認証、セキュリティ、不正防止といった機能の確立並びに強化にも努めている。

人材の確保・育成

競争優位性を確保、保全しながら持続的に発展するために、優秀な人材を数多く確保・育成することはマネーフォワードグループの事業展開を図る上で重要であり、特にサービス利便性及び機能の向上のためには優秀なエンジニアの継続的な採用が課題であると認識している。また、サービスの販売を担当する営業担当者についても収益基盤の強化とあわせて適時に採用を行っている。これらの課題に対処するために、マネーフォワードグループは、知名度の向上、教育・研修の拡充、採用活動の柔軟化による適時な人材の確保・育成に努めている。

内部管理体制の強化

マネーフォワードグループは、今後も事業拡大を見込んでおり、求められる機能も急速に拡大している。経理、財務、法務、内部監査等、それぞれの分野でコア人材となりうる高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用するとともに、更なる内部管理体制の強化を図ることで、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に努めている。

新規事業立ち上げ

急速な進化、拡大を続けているFintech業界において、マネーフォワードグループが企業価値を向上させ、高い成長を継続させていくためには、事業規模の拡大と収益源の多様化を図っていくことが必要とされる。そのためには、積極的な新規事業の立ち上げが課題と認識している。

このような環境下において、マネーフォワードグループは法人・個人事業主向けオンライン融資サービスや成長企業向けのフィナンシャル・アドバイザリー・成長企業経営支援サービスなどの新たなサービス展開を随時開始しており、今後も次の柱となるビジネスの創出に積極的に挑戦している。


2019年11月期 有価証券報告書(提出日:2020年2月20日)