今回のZoomの決算説明会には、ちょっとした仕掛けがありました。創業者のエリック・ユアンCEOによる冒頭のプレゼンは、本人ではなく、「Zoomカスタムアバター」と呼ばれる本人を模したAIのアバターが読み上げたのです。会議サービスの会社が、自社のAIにトップの言葉を語らせる。その演出自体が、いまのZoomが見せたいものを表していました。
Zoomはコロナ禍で、在宅勤務を象徴する名前になりました。ただ、ブームが落ち着いた今は、「会議をつなぐだけの会社」という見方もついて回ります。生成AIが働き方そのものを書き換えるなかで、ビデオ会議の会社はこの先も必要とされ続けるのか。これは、Zoomに投資する人だけの関心事ではありません。
ブームの後、Zoomはひたすら「AIの会社」への変身を急いできました。今回の決算では、その取り組みが業績にも表れ始めた、と経営陣は強調します。掛け声だけのAIではない、というのが彼らの言い分です。語り口には、これまでにない手応えがにじんでいました。
もっとも、本当に効いてくるのは、一つの四半期の数字そのものよりも、その奥で進む変化のほうです。Zoomは何を売る会社に変わろうとしているのか。競争の相手は誰で、料金の取り方はどう変わっていくのか。その輪郭は、経営陣自身の言葉のなかに見えてきます。