「『なんとなくすごい』をAIで」バベル杉山社長インタビュー

「『なんとなくすごい』をAIで」バベル杉山社長インタビュー

バベル

オンライン商談を自動で録画し、AIがテキスト化する商談解析クラウドサービス「ailead(エーアイリード)」を提供するスタートアップ、バベル(東京都渋谷区)。

動画を文字で検索可能にする新たな試みによって、裾野は商談に限らず、人材育成や優秀なビジネスパーソンのノウハウ共有にも広がってきた。

ビジネスモデルを解説した前回の記事に続いて、創業者の杉山大幹社長のインタビューを紹介する。

導入企業を「キーエンス水準」に

【経歴】すぎやま・たみき 中央大在学中の2013年からベンチャーキャピタルのEast Venturesでアソシエイトインターン。投資先企業に出向して新規事業の立ち上げなどに携わり、メルカリ子会社のソウゾウにも参加。2017年8月バベル創業

ーーaileadを開発した目的は?

バベルが掲げるミッションは、世界中の人々の役に立つ事業を創り続けること。AIとML(機械学習)で、生産性を飛躍的に向上させるサービスを作りたいという考えが基盤にある。

1994〜95年世代として生まれ、経済が成長する好景気は一度も経験していない。出生数も大幅に縮小するなか、解決策はSaaSによる業務の改善だ。AIによるオートメーションで効率化し、労働生産性の向上を後押ししたい。

aileadの利用画面イメージ=バベル

ーーaileadで何が実現できますか。

日本は営業の生産性の低さが特に指摘され、実際に営業パーソンが商談にかける時間は勤務時間の10〜25%と言われる。残り70〜90%は社内の情報共有や議事録作成、CRM(顧客関係管理)ツールの入力作業だ。

効率化でこの時間をなくせば、生産性は高まる。キーエンスの営業は40%を顧客のケアに充てていて、(aileadによって)どの企業でも同水準を目指せるようにする。

行動ベースでも営業を評価

ーーaileadならではの強みは?

日程調整や営業支援ツール(SFA)など商談の前後ではサービスがいくつもある。しかし、商談そのものに対する分析や自動化は一切できていなかった。

営業成績は、本人の主観的な報告と結果で決められてきた。プロセスや商談の進捗をデータで可視化することで、行動ベースのインセンティブも受けられるようになる。

データによる人材育成にも焦点を当てた。これまではトップセールスの周りの人が「一子相伝」のように良し悪しを学んできた。デジタル化でその機会が減り、(優秀な人材の)知見をアセットとして蓄積する方法が求められている。

ーー導入企業からの評価は?

「ワークフローを変更する必要がない」と喜ばれる声が多い。無料のSaaSでも、特に大企業ではワークフローを刷新するのに相当なエネルギーがいる。自動で既存のツールと連携するため、業務を邪魔しない点が価値になっている。

営業以外のユースケースも増えた。たとえば、採用の面談の記録、情報共有にも使われ始めている。

チームの動きも可視化されるため、カレンダーの予定だけでなく実際に誰が何にどれくらいの時間をかけているか分かる。トップセールスとそうじゃない人材の行動量を比較し、商談方法を改善する取り組みにもつながる。

腰を据えて事業を育成

バベルの会社ロゴ=Strainer

ーー創業の経緯は?

2013年からEast Venturesに参加し、(同社が出資する)メルカリBASEが入る六本木近くのシェアオフィスで住み込みで働いた。椅子の組み立てなど丁稚奉公のような仕事から始まり、投資先に出向して実務経験を積んだ。

今は評価されているメルカリも、当時は20〜30社の競合がいて「大丈夫か」と懐疑的な意見が多かった。海外展開に対しても「正しいのか」と最近まで言われ続けてきた。

(インターンの経験から)5〜10年かそれ以上の時間をかけても、社会にインパクトがある事業に腰を据えて取り組みたいと考えた。これが起業のスタートだった。

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