BASE 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 1997億8100万 円
銘柄コード 4477(マザーズ(内国株))

事業内容とビジネスモデル

事業内容

BASE(ベイス)では、Eコマースプラットフォーム『BASE』を運営している。また、子会社のPAY株式会社でオンライン決済サービス『PAY.JP』および資金調達サービス『PAY ID』、BASE BANKでは資金調達サービス『YELL BANK』を中心としたその他事業を展開している。

略史

2012年12月、東京・六本木にてBASE(株)を設立。Eコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」の提供をスタート。

当時、専門的な知識や技術を持たない人がネットショップを開設する手段は豊富ではなく、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップが作成できる仕組みを提供することを目的に創業した。

BASEの沿革

2014年12月には、オンライン決済サービスを運営するピュレカ(株)を子会社化したことで、オンライン決済サービスを加速。主軸のBASE事業に加えて、決済サービス「PAY.JP」「PAY ID」の提供を開始した。

2018年1月にはPAY事業を分社化し、PAY(株)を設立。同じ時期、金融サービスに特化したBASE BANK(株)も設立している。

サービスの内容

BASEのメインサービスは、ネットショップを簡単に作成できるECプラットフォーム「BASE」である。

ネットショップを簡単に作成できるBASE

前述した通り、専門的な知識やスキルがなくても、提供されるデザインテンプレートを選ぶだけで、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できる。

また、ネットショップを始めるには「売上をどうやって受け取るか」も現実的なハードルになる。そこで、独自の決済システム「BASEかんたん決済」を提供。ネットショップの開設から決済機能の導入までをワンストップで提供する。

初期費用・月額料金は無料で、クレジットカード決済やコンビニ決済、Pay-easy、銀行振込、後払い決済、キャリア決済、PayPal決済という6つの決済方法を、最短で翌営業日から開始することができる。

これにより、時間や費用など、色々な理由でネットショップを作成するのが困難だった人でも、手軽にネットショップの開設・運営を始めることが可能。

オンライン決済サービス「PAY.JP」

PAY事業では、Webサービスなどにクレジットカード決済を簡単に導入できる「PAY.JP」を展開している。

Webサービスの開発スキルがあったとしても、クレジットカードの決済導入はハードルが高く、申請に時間がかかったり、使いにくかったりという課題が存在する。

PAY.JPはシンプルなAPIを特徴としており、スムーズに決済機能を組み込むことが可能。クレジットカードブランドはVisa、Mastercard、JCB、AMEX、Discoverに対応。Webサービス事業者が、クレジットカードを直接触れることなく決済を扱えるため、セキュリティ上のリスクも低減できる。

BASEのビジネスモデル

BASEのビジネスモデルは、2事業ともに「取扱金額」をベースとした「決済手数料」が中心となっている。

独自の決済システム「BASEかんたん決済」を利用する場合、取引金額に対して3.6% + 40円という手数料がかかり、このほかにサービス利用料として取引金額の3.0%が支払われる。

BASEのビジネスモデル

「BASEかんたん決済」は、BASE上のショップと買い物客が安心して取引できるよう、取引を仲介して安全性を確保する「エスクロー決済」でもある。

この他にBASEでは、クリエイターが考案したデザインテンプレートを販売できる「BASE デザインマーケット」も展開。クリエイターのオリジナルデザインを購入することで、より独自性の高いデザインを簡単に導入することができる。

また、BASEプラットフォームを拡張できる「BASE Apps」では、目的に応じて使いたい機能だけをインストール、自分のネットショップに追加できる。

ここでも一部、有料機能が提供。早期振込サービスなどを利用できる「振込申請プラス」や、BASEのロゴを非表示にする機能が存在する。

PAY.JPについても、基本的なビジネスモデルは「決済額の1.5~3.6%」程度の決済手数料となっている。

料金体系は現時点(2020年7月20日)で5種類あり、月額1万円の「プロプラン」を利用すると、決済手数料をベーシックプランよりも安く利用することができる。

その他、非営利法人(NPO)向けには手数料1.5%、旅行業・旅行代理業向けには1.5% or 3.3%という特別プランも存在。

EC支援サービスの競争環境

Eコマースは、インターネット上の商取引としては最大の分野であり、2018年時点での国内市場(BtoC-EC)は17兆9,845億円(前年比8.96%)にのぼっている。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(経産省)

同じく、世界のEコマース市場(BtoC)は、2018年時点で2.84兆ドル。およそ300兆円と非常に大きい。

ちなみに、2019年時点で世界のデジタル広告市場は3,333億ドル(前年比17.6%増)。日本は2兆1,048億円(同19.7%増)と言われる。

さて、このように巨大な市場であるから、Eコマース市場をめぐる競争は世界的に見ても熾烈である。

1990年代中盤から2000年代にかけて、世界では「eBay」や「Amazon」といった巨大プラットフォームが台頭した。eBayは買い手と売り手をつなぐネットワーク外部性を武器に、Amazonは圧倒的なスケールによるコスト優位性を武器に、他を圧倒する成長を実現した。

2000年代までのインターネットでは、前述したように小規模事業者がネット通販に参入するハードルはそれなりに大きかった。集客する際にはGoogleやAmazonといった巨大プラットフォームに依存するしかない状況であった。

2000年代の後半から2010年代に差し掛かると、そういった環境は大きく変化した。ソーシャル・ネットワークの普及である。 特にTwitterやInstagram、YouTubeといったメディアの台頭は、「影響力」に関して個人への猛烈なパワーシフトをもたらしている。

こうして、特に小規模なプレイヤーがインターネットで物を売ろうとした際、必ずしもGoogleやAmazonに頼らなくてもよい環境が育っていった。

そこに出てきたのが、海外では「Shopify」、日本では「BASE」などのEC支援プラットフォームである。 これらのサービスは、基本的に集客機能を持たない。そのため、販売者自身が何らかの形で集客を行う必要性が発生する。

特に相性が良いのは、やはりInstagramであろう。特にアパレルの場合、個人でも数千人から数十万人のフォロワーを持っているインフルエンサーは非常に多い。彼らが、自分のフォロワーに対して商品を訴求することで、一定の売上を立てることは以前より一層簡単になったと言える。

今後のEコマース市場では、Amazonをはじめとする巨大プラットフォームの成長と、無数の個人による販売という2つの方向性で多様化していくことになるだろう。BASEにとって重要なのは、後者の市場でいかに優良な売り手を掴み、違いに成長できるようにするかということになる。

BASEの事業戦略と競争優位性

つまるところ、BASEが戦略的に取り入れている特徴は以下の3点に集約される。

一つ目は、「初期費用がかからない」ということ。GMOペパボが運営する「カラーミーショップ」などのサービスは、月額定額制を敷いている代わりに、販売手数料がかからない。(取引手数料は別途必要)

クレジットカード会社による支払いの場合、決済手数料をゼロにすることは原理的に難しい。売り手の心理的負担を考えた時、販売手数料の大小よりも「初期費用・固定費がかかるか」に焦点があたるのは、必然的と言えるかもしれない。

二つ目の特徴は、「デザイン性の高さ」である。

InstagramやYouTubeにいる、いわゆる「インフルエンサー」は、自身の外見やトーク力など、エンターテインメント的な「魅力」をもとに、多くのフォロワー(=ファン)を掴んでいるケースが多い。そういう人たちにとって、ネットショップはなるべくオシャレな方がいい、と考えるのは必然的なことだろう。

BASEのトップページには、以前は元AKB48の小嶋陽菜さん、今は元SMAPの香取慎吾さんがサイトの「顔」となっている。一般にも人気のある著名人がサービスを訴求することで、サイト運営者から見た導入のハードルを下げる効果は一定、期待できるだろう。

その一方で、EC支援プラットフォームは一度使い始めると、他のものに移るのは簡単ではない。もともと「簡単」だからBASEを選んだ売り手にとって、他のサービスに移ったりすることは(不可能ではないが)一定のリスクがある点は確かである。

そして三つ目は、「EC事業者の支援」だ。

EC事業者にとっては、BASE側が手数料に足るプラットフォーム価値を提供してくれれば、使い続ける理由としては十分である。

「BASE Apps」での「振込申請プラス」では、早期振込サービスを選択した場合に最短で1営業日での振込、定期振込サービスを選択した場合には月最大6回の自動支払いを行ってくれる。事業者側としては、資金繰り上非常にメリットのあるサービスだ。一般に、決済サービスの振込は月一回であるケースも少なくなく、手数料を払ってなお使い続ける理由の一つとなる。

2018年12月には資金調達サービス「YELL BANK」も開始した。金融面での取り組みも、今後注視したいポイントである。

今後は、おそらく物流面での取り組みも本格化していくことになるだろう。 カナダの「Shopify」は、「Shopify Fulfillment Network」として自前の物流ネットワーク構築により、スムーズな配送網を実現しようとしている。

多くの方が知っている通り、Amazonの強さは一級の物流網による迅速な配達にある。個人が販売するShopifyやBASEのようなプラットフォームで、発展した物流ネットワークを作ることができれば、それは他のEC支援プラットフォームと一線を画する大きな強みになるはずである。

BASEの成長可能性

前述した通り、国内のEコマース市場は約18兆円(2018年)あるが、そのうち9兆2,992億円(前年比8.12%増)が「物販系分野」である。 EC化率は6.22%と、諸外国に比べて比較的低く、中でも中国は29.7%、韓国は22.7%にのぼると言われる。

このうち、BASEはSMB(中小企業)による販売をメインターゲットとして展開していくことになる。

新規上場時の「成長可能性に関する資料」によると、日本国内の小規模店舗(10人未満)は134.1万事業所。個人事業者は155.8万人、副業希望者は約2,200万人存在する。

これらの人々が、己が有する認知やネットワークを活用し、それぞれの「小さな経済圏」を築いていくというのが、大まかな成長ストーリーとなる。

図らずも、新型コロナウイルスの感染拡大は、BASEの流通額を2倍に押し上げるという、大変な追い風となっている。 背景にあるのは、これまでオンライン販売を積極的に行わなかった「食品」などの新カテゴリーの出店拡大と、同じく買い手側の大きなECシフトである。

これまで、BASEの出店者はアパレルなど比較的限られたカテゴリーに偏ってきた。今後の世の中のトレンド次第では、誰もがインターネットで商圏を持つ必要性はさらに増すであろう。BASEにとっては、確実にくる未来に向けて、いかに競争優位を保持し続けられるかが、大きな勝負所となりそうだ。