ブラジルの決済サービスから中国レンディングまで!今年3月までの米国上場企業のうち10社をおさらい

IPO

今年(2018年)に入ってからアメリカに上場した企業をチェックしたいと思います。

Zuora」「Zscaler」「Pivotal Software」「iQiyi」「Bilibili」あたりは既に取り上げているので、それ以外から探します。

NASDAQのサイトを見ると、1月からの3ヶ月間で57社ほどがアメリカの主要市場に上場しています。

そのうち、白紙小切手会社やREIT、バイオ系などの分野を除くと、以下の10社が気になりました。

社名 概要 時価総額(USD)
PlayAGS, Inc. ゲーム関連機器メーカー
7.82億
PagSeguro Digital Ltd. ブラジルのデジタル金融企業 117.82億
ADT Inc. ホームセキュリティ 59.41億
Huami Corporation 中国ウエラブル 6.32億
One Stop Systems, Inc. 高性能コンピューティングシステム 5431.34万
Hudson Ltd. 旅行(イギリス) 14.72億
OneSmart International Education Group Limited 中国の教育系企業 17.51億
GreenTree Hospitality Group Ltd. 中国のホテルチェーン 12.95億
Sunlands Online Education Group 中国の教育系企業 14.28億
Golden Bull Limited 中国のP2Pレンディング 6547.50万

10社のうち、中国企業が5社と目立ちます。

時価総額が最も大きいのは、ブラジル企業の決済サービス「PagSeguro Digital Ltd.」で、118億ドル。

今回は、10社の事業概要と業績数値をざっくりチェックしていきたいと思います。この中に将来の掘り出し物があるかも。


PlayAGS, Inc. (時価総額7.82億ドル)

まず1社目は「AGS(PlayAGS, Inc.)」です。

AGSは、EGM(Electronic Gaming Machines)をはじめとしたゲーム関連機器のメーカーです。

具体的にはスロットゲームやビデオビンゴマシン、テーブルゲームなどを製造しています。

2005年に設立され、2014年の売上が7214万ドル、2015年が1億2329万ドル、2016年は1億6680万ドル。売上成長率は2年連続で35%を超えています。

2017年3Q時点での売上は1億5429万ドルで、前年同期から24%の拡大。


PagSeguro Digital Ltd. (時価総額117.82億ドル)

続いて、ブラジルの決済サービス企業「PagSeguro Digital」です。

2006年にブラジルのネット企業「UOL(Universo Online)」がデジタル決済サービスを提供するスタートアップ企業を買収し、「PagSeguro」のサービスを運営開始。

UOLはブラジル最大のインターネットコンテンツ企業で、2017年5月にユニーク訪問者数は8120万人。

PagSeguroは、Eコマースを導入する際の決済ソリューションとして2016年までにブラジル最大規模にまで成長。

2017年9月までのTPV(決済ボリューム)は248億ブラジルレアル(7974億円)で、前年の同時期は93億ブラジルレアル(2990億円)だったので、前年比で2.7倍近くに増加しています。

業績推移を見ると、2016年の売上は11.4億ブラジルレアル(366億円)で、前年から70%の成長率となっています。

2017年の9月までの売上は17億ブラジルレアル(546億円)、税引前利益は4.1億ブラジルレアル(131億円)にまで達しています。

かなりの高成長で、なおかつすでに黒字であることから、今回取り上げた10社の中では最も時価総額が高く、100億ドルを超えています。

ADT Inc. (時価総額59.41億ドル)

3社目は、アメリカとカナダでセキュリティ監視システムを提供する「ADT」です。

創業は古く、1874年に「American District Telegraph」として創業。

今では、同一ジャンルのプレイヤーとして圧倒的な存在となっています。

業績推移を見てみましょう。

今期3Qまでの売上高は30億ドルを超え、前年から69%の売上成長となっています。

Huami Corporation (時価総額6.32億ドル)

続いて、中国のウェアラブルメーカー「Huami」です。

Huamiの製品には、他の多くのウェアラブル機器と同様のアクティビティトラッカー機能がついており、「中国版Fitbit」という印象。

2013年の創業から2017年9月までに4530万台の機器を販売したとのこと。

2016年の売上は15.5億元(262億円)で、前年の9億元から72%の成長。

2017年は3Q時点で13億元近くを売り上げています。

このうち、11億2480万元は中国スマホメーカーの「Xiaomi」のウェアラブルパートナーとしての売上。

Fitbitの失敗をみているので、Huamiもどうかなと思ってしまいますが、今後のウェアラブル市場は大きく拡大するそうです。

One Stop Systems, Inc. (時価総額5431.34万ドル)

「One Stop Systems」は、高性能コンピューター(HPC: High Performance computing)システムを製造する企業。

世界の高性能コンピュータ(HPC)市場は2016年の356億ドルから2021年には439億ドルに成長する見込み(年平均4.3%)。

ビッグデータが拡大するにつれ必要となる高性能サーバーなどを販売するほか、「HPC As A Service」としてクラウドサービスも提供。

創業は1999年と古く、2016年にMission Technology Group, Inc. (“Magma”)と合併しています。

2017年3Qまでの売上高はすでに200億ドルを超えています。

Hudson Ltd. (時価総額14.72億ドル)

「Hudson」は、アメリカやカナダで旅行者向けの小売事業を展開している会社。

1987年にニューヨークの空港で5店舗から創業。

現在は空港やホテル、駅などで事業を展開しており、「The Traveler’s Best Friend」を標榜しています。

2017年9月時点で989店舗を展開。

2008年に、スイスに本拠をおく免税店などの小売グループ「Dufry」に買収され、同グループの傘下に収まっています。

なぜか本社がイギリスにあり、海外法人扱いなのはそのせいでしょうか。今回はちょっと分かりませんでした。

2016年の売上は16億8720万ドル(前年+20%)で、2017年3Q時点での売上は13億5210万ドル(前年+6.3%)。


OneSmart International Education Group Limited (時価総額17.51億ドル)

ここからは全て中国企業です。

まずは、中国の教育企業「OneSmart International Education Group」。今回のリストでももう1社ありますが、最近、中国で教育系企業の上場が目立ちます。

売上において、中国最大のK-12(幼稚園から高校まで)の放課後教育サービス企業であり、中国全体で2.4%のマーケットシェアを握っているとのこと。

これでシェアトップと言うのですから、中国の放課後教育市場はかなりの競争になっているのでしょう。


2017年の売上は20億元(340億円)ほどで、前年から35%の高成長。

営業利益率は14.8%に達しており、利益率も悪くありません。


 GreenTree Hospitality Group Ltd.(時価総額12.95億ドル)

次も中国企業ですが、今度はホテルチェーンです。

「GreenTree Hospitality Group」は、2017年末時点で263都市で2,289ものホテルを展開。

提供部屋数は19万、会員数は2000万人を超えています。

2017年の売上高は7億7813万元(131.5億円)とそれほど大きくはありませんが、営業利益率は49.8%と極めて高い収益性を誇っています。

利益率が高い理由は、全ての店舗をフランチャイズとして運営しているためで、ホテル予約の97%が会員からのものであることが強み。

Sunlands Online Education Group(時価総額14.28億ドル)

またしても中国の教育サービス企業です。

ただ、同じ教育系といっても先ほどの「OneSmart International Education Group」とは異なり、「Sunlands Online Education Group」は大人向けのオンライン教育に特化した会社です。

日本でいうと「TAC」などのイメージでしょうか。

2003年に従来的な教育企業として設立され、2014年よりオンライン教育事業に特化。現在では教員184名、学生40万7,960人を有するまでに拡大しています。

2017年2Q時点での売上は3億6146万元(61億円)と規模は小さく、営業赤字は2億3543万元にのぼっています。

しかし、売上は毎年2倍のペースで伸びているようです。


Golden Bull Limited (時価総額6547.5万ドル)

最後に取り上げるのは、中国のP2Pレンディング企業「Golden Bull」です。

提供されるローンは30日から90日までの短期間に設定されるのが通常であり、借り手の自動車を担保にするとのこと。面白いですね。

2016年の平均年間金利は11.64%で、中国のP2Pレンディングの平均である10.45%よりも高い水準。

ローンの累計取扱額は1億ドルほどで、創業は2015年11月。恐ろしいほど最近ですね。

2016年上期の売上は11億元(188億円)でしたが、2017年上期は28億元(473億円)と、1年で2倍以上に増加しています。

営業損失は7億8615万元(132億円)ほど。


中国のオンライン・レンディング業界はかなり競争が激化しているとのことで、そこに政府の規制が絡んで非常に先行きがみにくいですが、その中でGolden Bullがどのように成長していくのか楽しみです。