低迷と復活の日本マクドナルド。数字を追うことでほんとうの理由を探る!

こんにちわ!ぶんせき君です。本日は日本マクドナルド(2702)を紹介します。


テレビ東京のカンブリア宮殿っていい番組だと思います。見ているだけで、番組制作スタッフの信念や、一生懸命さが伝わってきます。


その番組でマクドナルドの復活が語られていました。社長であるカサノバがいかに従業員や顧客とコミュニケーションを取ったか、という点にフォーカスを当てていたように思います。


マクドナルドの復活。数字で表すと以下のようになります。

四半期売上高は、一時400億円と低迷していましたが、直近では658億円まで回復しています。


Stockclipでは「マクドナルドの低迷と回復」を数字でおつたえしたいと思います。

分析していく中で、マクドナルドの低迷は避けられたのではないかという疑問もある一方で、今はまじめにやっているなと思うに至りました。


では、まず同社の基本情報のおさらいをしてみましょう!


日本マクドナルドの基本情報

沿革

1971年設立。日本第1号店を銀座三越1階にオープン。「ハンバーガー」「チーズバーガー」「フィレオフィッシュ」「ビッグマック」「マックフライポテト」「マックシェイク」などを販売


1976年100号店、1981年300号店をオープン。

1989年に日本オリジナル商品のてりやきマックバーガーを販売。

1993年に1000号店、1996年に2000号店、1999年に3000号店をそれぞれオープン。

2001年にJASDAQに上場。

2004年原田泳幸が CEOに就任

2008年コーヒーを100円で販売開始。

2014年サラ L.カサノバが CEOに就任


業績の推移

売上高は06/12期に3,557億円でしたが08/12期にピークの4,063億円まで達したのち、減少傾向。問題が重なった15/12期には1,894億円まで落ち込み、その後ゆるやかに回復しています。


一方で営業利益は、06/12期は73億円でしたが、11/12期に281億円まで拡大。14/12期、15/12期はそれぞれ67億円の赤字、234億円の赤字を計上し16/12期には再度浮上しています。


売上高と営業利益の推移がバラバラなのは、同社の戦略的な閉店と、FC店舗の戦略が要因です。

業況の実情は利益の推移が表しており、11/12期までは順調だと判断できます。


店舗数の推移

店舗数の推移です。店舗数は07/12期に3,746店でしたが、10/12期から減少。16/12期には2,911店となっています。

また、中身についても直営店をFC店舗に転換し、直営店の比率を下げています。


会計上、直営店は全ての売上を売上高として計上できますが、フランチャイズに転換すると店舗からのロイヤリティ収入が売上高になるので、売上高が減少しているように見えます。


次は1店舗当り売上高の推移を見てみましょう。


07/12期から10/12期までは、100円のプレミアムローストコーヒー、クオーターパウンドの販売、テキサスバーガーなどの「BigAmerica」キャンペーンなどで店舗当たり売上を順調に拡大し、1.9億円まで拡大しています。


その後12/12期までおおむね横ばいで推移しますが、その後減少に転じます。中国食肉問題、チキンマックナゲットへの異物混入などのニュースが追い討ちとなり、最悪期の15/12期は1.5億円を割る水準まで低迷しました。


では、同社がどのように業績を回復させてきたのか一緒にみていきましょう。

業績回復の施策

15/1-3期は売上高を400億円、営業損益100億円の損失とひどい有様でしたが、直近の17/7-9期は659億円、営業利益も57億円まで回復しています。


業績回復のための施策は以下のとおりです。

1.既存店の設備投資

(2015年同社リバイバルプランから抜粋)

店舗開発の方針を大幅に変更。閉店を行いながらも、新店出店を抑えます。一方で、リモデルを加速させて既存店の活性化を狙っています。


(2015年同社リバイバルプランから抜粋)

既存店への投資を大幅に増加する計画になっています。確かに、店舗が一新され、清潔になると足を運びやすくなりますよね。


2.顧客とのコミュニケーション

同社は顧客とのコミュニケーションを円滑にするため、「KODO」をローンチします。

(2015年同社リバイバルプランから抜粋)

「KODO」とは、直接店舗に意見を伝えることも出来るスマートフォンアプリであり、顧客のニーズを吸い上げることに成功します。

(17年2Q時決算発表資料から抜粋)


各項目を数値化し、顧客のニーズに応えられているのか?を可視化したことに意味があるとおもいます。上図では、「スピード」、「おもてなし」、「清潔」といった項目を掲げており、改善傾向であることを示しています。


3.メニュー・食の安全・品質

中国食肉問題、食材の異物混入などもあり、食の安心・安全にも気を使っています。

(2015年同社リバイバルプランから抜粋)

使用している食材を顧客に開示するページをHP上に作りました。また、2015年7月から巨峰・桃などの国産食材を使ったシェイクなどを投入していました。


日本人は、国産食材に対する信頼感が高いためか、これらのメニューを投下した後に売上高は回復に転じました。


コストの推移

次はコストの推移を見てみましょう。

直営店の売上とコストを比較すると、材料費が35%前後、労務費が30%弱で推移しています。

また、本社費用、広告宣伝費は減少しており、売上高に対する比率は減少傾向にあります。


キャッシュフローの推移

あくまで結果論ですが、キャッシュフローの推移を見る限り、13/12期以降の低迷は経営判断のミスが招いた人災だったんじゃないかと思います。上図を見ると、09/12期から12/12期まで投資をほとんど行っていないことが分かります。


マクドナルドの顧客はファミリー層が多く、調理で油を多く使うことなどを考えると、店舗のメンテナンスに一定の投資を行う必要があります。それをやらなかったのは、必要な投資を怠ったと判断されても仕方ないと思います。


企業のサスティナビリティ(継続性)を鑑みれば、必要な投資はしっかり行う必要があります。このへんに、同社の業績が悪化した理由があるように思えてなりません。

近年では店舗のリモデルを中心に、リーマンショック前と同程度の投資を行っています。


まとめ

1.マクドナルドの業績低迷は、異物混入、中国の食肉問題などの報道も影響しています。しかし、本質的には09/12期-12/12期の投資を絞し過ぎたことが主因と考えられます。


2.カサノバがCEOになり、店舗の清潔感を意識し既存店の設備投資を積極化したこと、顧客とのコミュニケーションを活発化し、顧客のニーズを可視化する仕組みを作ったこと、食の安全を消費者に訴えたことで、業績は回復しました。


マクドナルドを分析し、特にキャッシュフローの推移を見たときは少し驚きました。業績が良かったにも関わらず、ほとんど投資を行っていなかったんです。これは経営判断を間違えたのでは?と思いました。

一方で最近は、既存店の設備投資や顧客のニーズに寄りそうといった基本的なことをしっかり行うことで、業績も回復しています。ただ、信頼を取り戻すには相応の時間はかかってしまいました。


私は調子の良い会社を見るといつも思うことがあります。

この経営者、会社は判断を間違えた時、どうするのだろう?

そういった意味では、マクドナルドは正しい戦略をとることができたのかなと思います。


私も調子がいいとき、気がゆるんでしまう傾向があるので、そのへんを気を付けながら、日々マジメに生きていこうと思った次第です。


ではでは!