Apple Inc.【AAPL】 NASDAQ

1976年にスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックにより創業。 1977年に「Apple II」を発表。 1980年株式公開。 ジョブズ氏は1985年に会社を追われ、業績低迷するも1997年に復帰、その後iPod(2001年)やiPhone(2007年)などを発表、業績を大きく回復させた。

Apple Inc.【AAPL】 NASDAQ

1976年にスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックにより創業。 1977年に「Apple II」を発表。 1980年株式公開。 ジョブズ氏は1985年に会社を追われ、業績低迷するも1997年に復帰、その後iPod(2001年)やiPhone(2007年)などを発表、業績を大きく回復させた。

事業内容

沿革・会社概要

Apple Inc.(アップル)は、米国カリフォルニア州に本社を置く、『iPhone』などのデジタルデバイスの設計・製造・販売や『App Store』などのデジタルコンテンツプラットフォームを提供するグローバル企業。1977年設立。

事業内容

Apple Inc.(アップル)の事業は、「Products(製品)」と「Services(サービス)」から構成される。

Products

Productsでは、「iPhone」「Mac」「iPad」「Wearables, Home and Accessories」といったカテゴリーの製品を展開している。「Wearables, Home and Accessories」には、AirPods、AppleTV、AppleWatch、Beats製品、HomePod、iPodtouch、その他のAppleブランドおよびサードパーティのアクセサリーが含まれる。

なお、AirPodsはSiriと相互作用する、Apple社のワイヤレスヘッドフォンだ。

Services

Appleでは、顧客が本、音楽、ビデオ、ゲーム、ポッドキャストなどのアプリケーションやデジタルコンテンツを見つけてダウンロードできるようにするさまざまなプラットフォームを運営している。これらのプラットフォームには、iPhoneやiPadで利用可能なAppStore、Mac App Store、TV App Store、およびWatch AppStoreが含まれる。

また、AppleMusicを含むサブスクリプションベースでのデジタルコンテンツストリーミングサービス、電話サポートとハードウェア修理の『AppleCare』、クラウドバックアップサービス『iCloud』なども「Services」に含まれている。

会社の特徴

現在のアップルは、いわゆる「SaaS Plus a Box」と呼ばれるビジネスモデルでは世界屈指の企業だ。

彼らが販売しているのは、もちろんスマートフォンの「iPhone」だ。高価格にも関わらず世界中に根強いファンがおり、そのコミュニティは今も拡大を続けている。

MacやiPad、Apple WatchやAirPodsなどの製品も強力だ。価格に関係なく、定期的に商品を買ってくれる顧客のおかげで、アップルは世界でもっとも利益をあげる会社の一つとなった。

これに加えて、Appleをより強固にしているのが「App Store」経由での課金だ。App Store上でダウンロードしたアプリ(ゲームなど)に課金した場合、アップルに原則30%のコミッションを支払わなくてはならない。巷では「Apple税」とも呼ばれる悪名高いフィーだが、これによってAppleの収益性は大きく底上げされる。

近年は、App Store課金以外のサービス課金も展開している。筆頭とも言えるのは「Apple TV+」だ。Netflixなどとの競合サービスと言えるが、アップル側の強みは「動画配信サービス単体で利益を上げなくてもよい」ということだ。そしてもちろん端末を握っているため、一定のシェアは握れることはやる前からわかっていたとも言える。

動画配信だけでなく、音楽配信、それからニュース配信にも注力している。アップルにとっては、こうしたサービスを提供することでユーザーが少しでもアップルのエコシステム上にとどまってさえくれれば、十分に元が取れると言えるだろう。

ストーリー

Apple Computerの創業

1971年、スティーブ・ジョブズとウォズニアックの二人が出会う。

ジョブズはウォズニアックより4つも年下だったが、年齢の割に大人びている(ウォズはむしろ子供じみていた)こともあり、意気投合。

有名な「ブルーボックス」などのイタズラに興じた後、ジョブズが「プリント回線基盤を作って売り出そう」と提案した。

1976年4月1日、ジョブズはアタリのロン・ウェインも引き入れ、三人でアップル・コンピュータを設立。パートナーシップとして事業を開始した。(ウェインは創業して間もなくリスクを恐れ、アップルを去る)

法人が設立されたのは1977年1月3日。これを支援したのがもとインテルのマーケティング部長などを務めたマイク・マークラだ。マークラは若くして引退していたが、初代社長のマイケル・スコットを雇い入れるなど重要な役割を果たした。

最初のヒット製品となった「Apple Ⅱ」は1977年4月に発表され、当初から人気を博した。さらなるヒットのきっかけとなったのが1979年10月に発売された表計算「VisiCalc」だ。これが大ヒットとなり、Apple Ⅱに仕事用の需要が集まって販売数が急増した。

1980年12月、アップル・コンピュータは株式公開を行なった。フォードが1956年に行って以来最高となる大規模なIPOとなり、ジョブズをはじめとする初期メンバーは莫大な利益を得る。

長い低迷の歴史

上場後に開発していた「AppleⅢ」は雲行きが怪しく、株式公開から3ヶ月後に、41人の大量解雇を余儀なくされた。

1983年に招き入れたCEO、ジョン・スカリーとは関係性が悪く、スティーブ・ジョブズは1985年に事実上、アップルから追放される。この後も(後から振り返れば)長い低迷の時期が続いた。(もっとも、1994年までは比較的状態はよかった)

ようやく事態が好転するのは1997年、ジョブズのNeXT Computerを4億2900万ドルで買収、アップルに呼び戻してからのことだ。 同年にジョブズは暫定CEOに就任、その後は伝説に残る活躍を見せることとなる。

同じく1997年、有名な「Think Different」CMも放映した。その10年後の2007年に発表された「iPhone」は文字通り世界を変えた。

マイクロソフトと並び、今でも世界屈指のテクノロジー企業として君臨するアップル。しかし、その歴史は順風満帆とは程遠かったことがわかる。

伝説のスティーブ・ジョブズにしても、「Apple Ⅱ」より後は思うように成果を上げられずに終わった。彼がこれほど偉大になれたのは追放されてからの復活期があったからだといっても決して過言ではないだろう。

参考:意外と知らない?アップル・コンピュータの創業史

現CEOのティム・クック

2011年にスティーブ・ジョブズが亡くなった後、アップルのCEOに就任したのが現CEOのティム・クックだ。

言うまでもなくカリスマの後を継ぐのは非常に大変なことだが、実際にはクックがCEOになってから、アップルの企業価値は上がり続けている(2020年8月現在)。

ティム・クックは1960年にアメリカの南部、アラバマ州モービルで生まれた。1982年にオーバーン大学を卒業後、急成長していたIBMのPC部門に加わった。

IBMは、世界初のPCの一つを開発した企業として、トヨタ開発方式こと「ジャスト・イン・タイム」をいちはやく導入していた。このことは、クックのキャリア人生上も大きな影響を与えた。入社して数年で「ハイポ(高い潜在能力)」人材として目され、MBAの受講費用を社が負担してくれるなど、経営人材として育つための手厚い支援を受けた。

1994年にクックはインテリジェント・エレクトロニクス(IE)に転職。COOに就任した。IE社は1995年度に売上36億ドルまで拡大し、1997年に1億3,600万ドルでGEに売却。その後クック自身はコンパックに引き抜かれている。

コンパックに在籍した期間はわずか半年程度と長くなかった。間もなく、スティーブ・ジョブズがクックを「発見」し、アップルにおいてもジャスト・イン・タイム方式での製造を実現していくことになる。

ジョブズが復帰して間もない1998年、クックはアップルに入社した。経営危機下にあるアップルで、クックはアウトソーシングに力を入れた。品質や生産性を犠牲にせず、製造をなるべく外部のサプライヤーに移すようにしたのだ。

クックによるオペレーションの変革は功を奏した。ジョブズは高度に自動化された(魅力的な)工場を作っていたが、需要の変動に対応することは難しかった。特殊化された機械がただ余る結果になったのだ。

オペレーション変革の成果が評価され、ティム・クックは2005年にアップルのCOOに抜擢される。この頃からジョブズはクックを後継者として本格的に育て上げていく。

実のところ、ジョブズが亡くなる頃までにはクックは実務の多くを掌握していたようだ。2009年にジョブズが半年の治療休暇をとったとき、暫定CEOの役割を引き受けたのはクックだった。

懸念

アップルが非常に強力な企業であることには疑いの余地がない。しかしながら、懸念と言える点もいくつか存在している。

最も大きな一つは、サプライチェーンが中国にまたがっていることだ。近年、アメリカと中国の間では緊張が高まっている。アップルは製造拠点の多くを中華企業に拠っており、販売先自体にも中国が占める割合は小さくない。

そしてもう一つは、独占禁止法の懸念だ。前述した「アップル税」も含め、App Storeという仕組みはアップル側に非常に有利に働く。場合によっては競合のアプリ公開を阻止することも可能だ。会社としての影響力が絶大なものになるにつれ、政府機関からのこうした圧力はむしろ増していくのかもしれない。


参照 FORM 10-K(提出日:2019年10月30日)

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