世界最大の運用会社BlackRockは、2026年7〜9月期の決算説明会で、創業者のラリー・フィンクCEOが「50年の職業人生で初めて、本物の資本不足を見ている」と語りました。顧客から預かる資産は15.5兆ドルに達し、四半期の資金流入は2,050億ドル。お金を集める側の企業が、お金が足りないと言い出したのです。
その言葉の裏には、国の借金とAI投資が同じ資本を奪い合う新しい構図があります。フィンクCEOはAI半導体を「住宅ローンのように」束ねて売る市場をつくると宣言し、ロバート・カピート社長は債券に「英雄的な相場は要らない」と語りました。資本が足りない世界で、BlackRockは何で稼ごうとしているのでしょうか。
フィンクCEOが資本不足を語る根拠は、借り手が一気に増えたことにあります。政府は歴史的な規模の財政赤字を抱え、企業は一世代に一度のAI投資を賄う資金を必要とし、個人は退職後の備えを求めている。この三者が同時に資本市場へ資金を取りに来たため、15兆ドルを預かるBlackRockから見ても資本は「足りない」側に回ったというわけです。
フィンクCEOは国の資金需要の大きさを、連邦政府の赤字の積み上がりで説明しました。「建国から232年で8兆ドルだったものが、その後の26年で40兆ドルになった」。一方で民間でも、AIやデータセンターに加え、直近でHumanaやAT&Tといった大企業向けの大型融資を相次いで発表しています。公的部門と民間部門が同じ資本を取り合う構図が、ここにきて鮮明になりました。