世界の主要な自動車メーカー販売台数の推移とテスラの展望

日本経済にとって自動車産業はとても重要な産業です。国内の時価総額トップはトヨタ自動車ですし、売上高1兆円を超える企業が8社あるというのも他の産業にはなかなかありません。

しかし世界のトレンドを見ると、電気自動車だったり自動運転車などに向かう流れが予見されます。果たして、その中で日本の自動車産業は強いポジションをキープできるのでしょうか。

未来のことはやはりわかりませんが、現在の状況を把握することはできます。そこで、今回は日米の主要な自動車会社について、自動車の販売台数などの推移を調べてみたいと思います。

どの自動車メーカーを調べるべきか

まず、どの自動車会社の販売台数を調べたらいいかを考えます。

国内であればトヨタと日産は入れておきたいですね。ホンダも入れたいですが、二輪の割合が多いため今回は除外しておきます。

海外はどこでしょうか。いい感じの記事を見つけました。

自動車メーカー販売台数ランキング【世界シェア2015-16年最新】

この記事によると、

1位:トヨタグループ

2位:フォルクスワーゲングループ

3位:GM(ゼネラル・モーターズ)

4位:ルノー・日産アライアンス

5位:ヒュンダイ

6位:フォード・モーター

7位:ホンダ

8位:フィアット・クライスラー

9位:プジョー・シトロエン

10位:スズキ

となっているようです。

今回は、データの集めやすさを考慮して「トヨタ」「フォルクスワーゲン」「ゼネラル・モーターズ」「フォード・モーター」の5社に絞って調べてみたいと思います。

トヨタ自動車

それではまず、トヨタ自動車からみていきます。地域別の販売台数と、ダイハツ・日野自動車を含めたグループ全体の販売台数の推移がこちらです。

ぱっと見なんとも言えないグラフですが、よく見ると次の点が観察されます。

・2006年3月期以降、日本より北米の販売台数の方が概ね多い

・欧州での販売は、2010年3月期以降100万台に達していない

・アジアでの販売は、2006年88万台から160万台前後に成長

・全体の販売台数は1000万台前後をキープ

「欧州での販売数量は復活するのか」「アジアでの販売はさらに成長しうるか」「全体での販売台数はいつまでキープできるのか」あたりがポイントになると思います。

日産自動車

続いて日産。

日産自動車の販売台数は400万台前後で推移しています。トヨタのおよそ半分程度の規模ということですね。売上高ではトヨタ27兆円に対し日産11兆円なので、それ以上の差がついています。トヨタの自動車の方が単価が高いということでしょうか。

その他、グラフでは次のことに気がつきます。

・一貫して北米の販売台数が一番多い(日本の4倍ほど)

・北米が増加傾向(2009年の105万台から2017年には216万台に)

・日本は減少傾向(70万台から53万台に)

・アジアは2014年に三分の一まで減少しているが、中国子会社を清算・連結除外したためと思われる

フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲングループの傘下には、アウディやポルシェ、ベントレーなど多くのブランドを抱えています。

全体の販売台数は600万台前後から1000万台にまで達しています。メインの一般向けフォルクスワーゲン(Volkswagen Passenger Cars)は、2012年に485万台を販売したあと、2016年時点で434万台と少し伸び悩んでいる一方、中国事業のVW Chinaは387万台にまで販売を伸ばしています。

アウディは安定して130万台前後、ポルシェは2012年の6万台から2016年には24万台へと急激に伸びています(それ以前がわからないですが)。

フォードモーターズ

続いてフォードモーターズ。全体の販売台数は665万台。そのうち北米が301万台とかなりの部分を占めています。続いてアジアが161万台で、欧州が154万台。アジア161万台のうち、111万台は中国での販売です。

ゼネラルモーターズ

ゼネラルモーターズの販売台数推移です。全体数では、2010年頃の838万台から2016年には1000万台を超えるまで成長しています。

興味深いのは、北米およびアメリカで安定して成長を続けている点です。北米での販売台数は2010年の262万台から2016年には363万台、そのうち米国は221万台から304万台へと増加しています。中国での成長も著しく、2010年の235万台から2016年には391万台となっています。米国よりも多い。

一方で、南米では100万台から58万台、ヨーロッパでも170万台から120万台へと販売規模を減らしています。

5社の販売台数比較

5社の販売台数を調べ終わったところで、いっぺんに比べててみます。

こうして見ると、トヨタとゼネラルモーターズ、フォルクスワーゲンの3社は販売台数でいうとほとんど変わらない規模であることがわかります。興味深いのはこの3社とも、傘下に多くの自動車ブランドを抱えている点です。トヨタはダイハツや日野自動車もありますし、GMはキャデラックやシボレー、フォルクスワーゲンもアウディやポルシェ、ベントレーなどの他ブランドを有しています。

フォードは少し下がって600万台規模ですが、韓国のヒュンダイもだいたいこのくらいの販売台数のようです。日産は400万台前後と、この中では一番小規模になっています。

正直、不満なのは「あんまり変化がない」ことですね。。

スマホの販売台数とかものすごい右肩上がりで気持ちいいくらいだったのですが、さすがに自動車産業となると単にシェアの奪い合いが続いているという印象です。

最後に、気を取り直してテスラの販売台数の推移をみてみましょう。

テスラの自動車販売台数は四半期ベースで2万台ちょっとの水準にまで増えています。直近だとModel Sが1.2万台、Model Xが1万台ということでほとんど半々になっています。

テスラが展開する車種を軽く復習しておくと、最初に出したスポーツカーが「ロードスター」、2012年に出したのが「Model S」、2015年に売り出したSUVが「Model X」で、2017年に発売予定なのが「Model 3」です。Model Sまでは一台1000万円以上する高級路線でしたが、Model Xで少しだけ価格を落とし、Model 3では一気に400万円程度まで価格を落として一般に普及させる戦略のようです。

ただ、上のようにテスラは新規予約分の納車予定を2018年中旬以降としています。需要があっても生産体制がなかなか追いつかないということでしょうか。

Tesla Says New Model 3 Reservations Won’t Arrive for Close to 2 Years

上のフォーブズの記事によれば、2016年4月の時点で予約数が40万台に達しようとしていると発表されたあと、具体的な数字は秘密になっているようです。そこから1年以上経っていることを考えれば、100万台以上予約されている可能性が高い気もしますが、実際のところはどうなのかわかりませんね。

テスラの2016年の販売台数はおよそ76,230台とのことで、年間40万台以上を生産する能力はなさそうです。しかし、2018年までにテスラは年間50万台を生産できる体制を整えようとしており、そのためにリチウムイオン電池を供給する「ギガファクトリー」も建設しているとのことです。

以上のことを踏まえると、テスラがトヨタやフォルクスワーゲンの規模(年間1000万台)にまで成長するのはまだ時間がかかりそうです。

しかし一つ言えることとしては、2018年にテスラの「Model 3」がどれだけ世の中に普及するかというのは自動車業界全体にとってとても大きなトピックだというのは間違いないと思います。仮にこれが成功すれば、テスラはただそれを拡大していくことができますし、トヨタやその他の企業にとって「ギガファクトリー」のような供給施設を一から作るのはあらゆる意味で簡単ではないはずです。そうなったとき、日本の自動車産業はどうなってしまうでしょうか。