【防衛関連銘柄】「総合重工」と「電機・IT」、それぞれの強みとは

三菱電機

日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化する中、防衛力の抜本的な強化が国家的な課題となっています。

防衛予算の拡大などを背景に、日本の防衛産業を支える企業群は、その技術力の発揮を通じて、より重要な役割を担いつつあります。

本記事の目的は、まず防衛産業に関連する企業をリストとして把握していただくことです。
個々の企業の詳細な戦略分析や最新の動向については、Strainerの特集記事開示検索機能をご活用ください。

総合力で日本の安全保障を支える「三菱重工業」

三菱重工業は、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、その高度な技術力を安全保障分野に応用し、日本の「航空・防衛・宇宙」産業において重要な役割を果たしています。

同社は、この事業を注力分野のひとつとしており、様々な取り組みを進めています。

その事業は、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、宇宙システムなど、陸・海・空から宇宙に至るまでの広範な領域をカバー。防衛省を主要な取引先とし、日本の安全保障を多角的に支えています。

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近年では、艦艇や宇宙関連の受注が増加傾向にあります。また、民間航空機事業においても、北米でのアフターサービス事業などを通じ、防衛分野で培った技術が多様な領域で活用されています。

さらに、「MISSION NET ZERO」を掲げ、脱炭素化に対応した製品・技術の開発に注力するなど、未来の社会課題解決に貢献する姿勢も示しています。

長年培ってきたものづくりとエンジニアリングの技術力、そして日本の安全保障を支えてきた実績。三菱重工業は、国の根幹をなす領域で、その総合力を発揮し続けています。

>> 創業140年の老舗重工メーカー「三菱重工業」脱炭素と安全保障に経営資源を投資中

航空エンジン技術を核に、衛星打ち上げにも展開「IHI」

IHIは、航空エンジン・ロケット分野に注力。航空エンジンの設計から生産、整備までを一貫して手掛ける、世界でも稀な垂直統合型の事業基盤が強みです。

特に、防衛分野で重要な役割を担っています。

最新鋭のF-35戦闘機に搭載されるエンジンについては、アジア太平洋地域の整備拠点を担うだけでなく、その重要部品である「第1段ファン一体型ローター」を製造。

これは、同社の極めて高い技術力と、国際的な防衛プログラムにおける重要性を示すものです。

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さらに同社は、日本・イギリス・イタリアによる次期戦闘機(GCAP)の国際共同開発にも参画しており、戦闘機用エンジンの研究開発で主要な役割を担っています。

宇宙分野においても、エンジンの心臓部であるターボポンプなどを開発・生産してきた豊富な実績を保有。近年では、衛星打ち上げサービスの事業化や、SAR衛星を活用した安全保障への貢献も目指されています。

長年培ってきた「推力」に関するコア技術と国際的な信頼を基盤に、IHIは空と宇宙から、国の安全保障を支え続けています。

>> IHIの企業情報

垂直統合で日本の防衛を担う「三菱電機」

三菱電機は、総合電機メーカーとしての広範な技術力を、日本の安全保障を支える「防衛・宇宙システム事業」に応用し、この分野で中核的な役割を担っています。

レーダーや飛しょう体、人工衛星といった、陸・海・空から宇宙に至るまでの防衛装備品を開発・製造する、国内有数のプライムコントラクターです。

その特徴は、防衛システムの基幹部分となるデバイスからシステム全体までを一貫して自社で開発・製造できる「垂直統合体制」にあるとされています。

特に、レーダーなどに不可欠な高周波デバイスを内製できる技術力は、複雑高度化する防衛システムの要求に対応する上で重要な要素となっています。

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この総合力を背景に、同社はセンサーによる探知からミサイルによる迎撃までを国産で担う「統合防空ミサイル防衛能力」に貢献できる、国内で唯一の企業とされています。

近年では、ビッグデータやAIを活用して情報戦を支援するシステムの開発や、日英伊で共同開発が進む次期戦闘機のアビオニクス開発にも参画。従来の防衛領域に留まらず、新たな安全保障の課題にも対応しています。

三菱電機は、その高い技術力と総合力で、日本の安全保障と世界の平和に貢献する挑戦を続けています。

>> インフラから人工衛星まで──三菱電機の「総合電機」戦略はどこへ向かう? 

ICTとAIで"海底"から"宇宙"まで「NEC」

日本電気(NEC)は、90年以上にわたり、日本の安全・安心を支えるソリューションを提供してきた総合ITサービス企業です。

NECの防衛事業の中核にはICT技術があります。防衛省の専用通信システムや、災害時に迅速なネットワーク構築を可能にする「野外通信システム」など、ミッションクリティカルなシステムを長年支えてきた実績を有しています。

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また、同社はAIやセンシング技術も有しています。護衛艦などに搭載されるソーナーシステムや警戒管制レーダーに加え、近年ではサイバー空間という新たな領域への対応も進められています。KDDIとの協業を通じて、AIを活用したサイバーセキュリティ事業の創出を目指しています。

宇宙分野においても、人工衛星やその関連地上システムの開発・運用を手掛けるなど、その事業領域は多岐にわたります。

長年培ってきた信頼と、AIやサイバーセキュリティといった最先端のデジタル技術。この両輪で、NECは未来の安全保障環境に対応する、新たなソリューションを創出し続けています。

>> 日本電気の企業情報

中島飛行機のDNAを受け継ぐ"中央翼"製造「SUBARU」

SUBARUの航空宇宙カンパニーは、「中島飛行機」をルーツとし、100年以上にわたり日本の航空宇宙産業を牽引してきました。

同社は、民間機、防衛、ヘリコプターという3つの事業を柱に、そのものづくりの情熱と高度な技術力で、日本の安全保障に貢献しています。

航空機の重要部位のひとつである「中央翼」の製造は、同社の事業の柱のひとつです。

左右の主翼と胴体を繋ぎ、燃料タンクの役割も担う中央翼は、製造に高い技術力が求められます。同社は、民間旅客機から防衛省の哨戒機・輸送機まで、多様な航空機の中央翼を手掛けており、世界でも有数の生産センターのひとつとして知られています。

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ヘリコプター事業においては、米Bell社との半世紀以上にわたるパートナーシップを基盤に、陸上自衛隊向けの多用途ヘリコプター「UH-2」の量産を進めるなど、国の安全保障と災害対応能力の向上に貢献。

さらに、SUBARUは未来の安全保障環境を見据え、無人機システムの開発にも注力しています。50年以上にわたる実績を活かし、近年では有人機と連携して自律的に飛行する、次世代の遠隔操作型支援機の開発も推進しています。

「中島飛行機」から受け継がれるものづくりのDNAを胸に、SUBARUは日本の空の未来を支え続けています。

>> SUBARUの企業情報


国産大型機開発を担う「川崎重工業」

川崎重工業は、長年にわたり日本の航空宇宙産業の中核を担ってきた総合重工業メーカーです。

同社の航空宇宙システムカンパニーは、日本の安全保障に不可欠な防衛装備品、特に国産大型機の主契約企業として、その役割を果たしています。

その代表的な製品が、海上自衛隊向けのP-1固定翼哨戒機です。

機体からエンジン、搭載システムまで、主要部位の国産化を目指して開発された航空機であり、米海軍主催の多国間共同訓練(シードラゴン2023、シードラゴン2024)で優勝するなど、その対潜哨戒能力は国際的にも評価されています。

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また、C-2輸送機と部品を共通化することで開発コストの抑制を図るなど、効率的な開発・生産体制を構築しています。

しかし、その一方で課題も抱えます。P-1に搭載された国産エンジンは故障が頻発し、機体の可動率が大幅に低下しているとの指摘もあります。

川崎重工業は、国産防衛装備品の開発という大きな使命と、運用上の課題解決という二つのテーマに向き合いながら、日本の空と海の安全を支え続けています。

>> 川崎重工業の企業情報

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本記事では、防衛産業に関連する企業をリストアップしてご紹介しました。 しかし、個々の企業の真の価値や将来性を見抜くためには、表面的な情報だけでは不十分です。

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