創業140年の老舗重工メーカー「三菱重工業」脱炭素と安全保障に経営資源を投資中

脱炭素、地政学リスク、供給網の再構築――産業構造が大きく変化する中で、日本の重工業は再びその存在感を問われています。国内の産業界では、エネルギーの安定供給や国防体制の強化、さらには気候変動への対応といった社会的要請に応えるプレイヤーが求められており、かつて「重厚長大」と呼ばれた産業の復権に注目が集まっています。
その中心に立つのが、三菱重工業です。同社は造船業をルーツとし、140年近い歴史の中で日本の産業近代化とともに発展してきました。現在では、火力・原子力を含む発電設備から航空・宇宙・防衛、物流機器、冷熱製品に至るまで、非常に幅広い事業を展開する世界的な総合重機メーカーとなっています。
業績と株価はともに堅調ですが、外部環境は必ずしも楽観できるとは言い切れません。地政学リスクやエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの分断懸念など、事業の継続性を揺るがす要素は数多く存在します。本稿では、そんな三菱重工業について紹介します。