沿革・会社概要
シャープ株式会社は、大阪府堺市に本社を置く電子部品・家電メーカー。1912年に創業者早川徳次の個人企業として創業。1925年、国際第1号鉱石ラジオ受信機の組み立てに成功し量産・販売を開始。1935年、株式会社組織に改め株式会社金属工業研究所を設立。1942年、早川電機工業株式会社に改称。1949年、大阪証券取引所に株式を上場。1953年、国産初のテレビの本格的量産を開始。1956年、東京証券取引所に株式を上場。1964年には世界初のオールトランジスタ電卓を発売し、総合エレクトロニクスメーカーの基礎を築く。
1970年、シャープ株式会社に改称。1994年、業界初の反射型TFTカラー液晶ディスプレイを開発。2000〜2006年まで、7年連続で太陽電池生産量世界1位に。
2016年、鴻海精密工業股份有限公司他3社へ第三者割当増資し、新しい経営体制が発足。
事業内容
シャープグループは、シャープ、親会社(鴻海精密工業股份有限公司)、連結子会社105社及び持分法適用会社21社を中心に構成されている。主な事業として電気通信機器、電気機器、電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を行っている。
スマートライフ事業
冷蔵庫、過熱水蒸気オーブン、電子レンジ、小型調理機器、エアコン、洗濯機、掃除機、空気清浄機、扇風機、除湿機、加湿機、電気暖房機器、プラズマクラスターイオン発生機、理美容機器、電子辞書、電卓、電話機、ネットワーク制御ユニット、太陽電池、蓄電池、カメラモジュール、センサモジュール、近接センサ、埃センサ、ウエハファウンドリ、CMOS・CCDセンサ、半導体レーザー等。
8Kエコシステム事業
液晶カラーテレビ、ブルーレイディスクレコーダー、オーディオ、ディスプレイモジュール、車載カメラ、デジタル複合機、インフォメーションディスプレイ、業務プロジェクター、POSシステム機器、FA機器、各種オプション・消耗品、各種ソフトウエア等。
ICT事業
携帯電話機、パソコン等。2018年8月に東芝より『Dynabook』を買収。
経営方針
シャープは「誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」を経営理念に掲げ、「誠意と創意」を経営信条としている。また、シャープらしいオリジナリティ溢れる価値を創造するブランドであり続けることを世界中に約束する「Be Original」をコーポレート宣言としている。
経営指標
シャープは有価証券報告書提出日(2020年6月30日)現在、自社の事業への新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に判断できる状況にないことから、目標とする経営指標の対外公表を当面延期としている。
なお非財務の経営指標としては、省エネ製品・創エネ製品による温室効果ガス削減貢献量が、サプライチェーン全体の事業活動に伴う温室効果ガス排出量を常に上回ることを目標に、環境面での取り組みを進めている。
経営戦略
シャープグループは、「8K+5GとAIoTで世界を変える」を事業ビジョンに掲げ、「8K+5G Ecosystem」と「AIoT World」の本格事業化を進めている。
「8K+5G Ecosystem」
超高精細映像技術8Kと次世代移動通信技術5Gを核に、放送分野に留まらず、工業・医療・セキュリティなど幅広い事業分野でイノベーションを巻き起こす「8K+5G Ecosystem」の構築を目指している。
「AIoT World」
AIoTはAIとIoTを組み合わせたシャープの造語で、単にモノがインターネットに接続してデータをやり取りするだけでなく、人工知能によって学習し成長するシステムを目指している。機器のAIoT化を実現するAIoTプラットフォームを軸に、生活を取り巻く自社や他社の機器とサービスを相互に繋ぐと共に、新たなソリューションを創出し、人々の生活をより豊かにする「AIoT World」の構築を目指している。
またシャープグループは、上記の事業ビジョンの実現に向けて、以下の3つのトランスフォーメーションを推進している。
ビジネスモデルの変革(「事業」のトランスフォーメーション)
「Technology Up, Quality Up, Value Up」をキーワードに、競争力の高い機器やデバイスを創出するだけでなく、ハードとソフト、クラウドサービスを融合したシステム、さらにはソリューションへとビジネスモデルの転換を目指す。またこうした取り組みを通じて、B2C事業はもとより、B2B事業の強化・拡大を図っていく。
グローバルでの事業拡大(「戦う市場」のトランスフォーメーション)
日本、中国、ASEAN、欧州、米州のグローバル5極体制で事業を積極展開し、さらなる成長を目指す。
経営基盤の強化(「オペレーション」のトランスフォーメーション)
ビジネスプロセスの抜本的見直し、コスト削減、信賞必罰の人事の徹底などを通じ、安定的に収益を確保できる経営基盤の強化に取り組んでいる。
対処すべき課題
米中貿易摩擦による影響や新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済は減速を余儀なくされる見通しである。
こうした中、シャープはコロナ禍の影響をきめ細かく分析し、ビジネスリスクに強いサプライチェーンの再構築に取り組むと共に、さらなるコストダウンや経費削減等の構造改革を進めることで体質強化を図っている。また、モノづくり主体の家電メーカーからサービスソリューションを提供する企業へとビジネスモデルの転換を加速し、「新しい生活様式」に適合した製品・サービスの強化と創出に取り組んでいる。
さらに財務の視点では、コロナ禍の生産・販売活動への影響を見据えて、手元流動性や棚卸資産の水準に十分注意を払いながら、安定的かつ効率的な事業運営を図っていく方針である。