今週、発表された日本企業3社の決算についてまとめます。
まずは、電機メーカー「シャープ」の決算です。
2018年3月期の売上高は、2兆4272億円(前年比18.4%増)、営業利益は901億円(前年比44.3%増)となりました。
通期予想と比較すると、売上高で828億円、営業利益で29億円及びませんでしたが、売上・営業利益ともに大幅に伸びています。
それでは、この増加の要因はなんなのでしょうか。
①スマートホーム事業とは、いわゆる白物家電や携帯電話、太陽電池を指しているようです。
②スマートビジネスソリューション事業とは、POSシステム機器プロジェクターなど、事業者向けの電子機器を指します。
③IoTエレクトロデバイス事業は、カメラモジュールやセンサーモジュール、車載カメラなどの生産事業です。
④アドバンスディスプレイシステム事業は、液晶テレビなど各種液晶パネルの生産事業です。
売上高を見ると、全セグメントで売上が伸びています。
なかでも、アドバンスディスプレイシステム事業の売上は29.0%増です。
そのほか、スマートホーム事業で10.4%、スマートビジネスソリューション事業が4.2%、IoTエレクトロデバイス事業が18.8%の増加となっています。
営業利益を見ると、3つのセグメントにおいて営業利益が減少しています。
一方でアドバンスディスプレイシステム事業は、前年の10.4倍の370億円となっています。利益増の要因は、コストダウンや車載用など中型パネルへのカテゴリーシフトだそうです。
シャープの財政状態は以下の通りです。
総資産は1兆9087億円で、そのうち現金は4223億円です。
ここ数年でたな卸資産が減少し、その分現金が増えているように見えます。
減少幅が多いのは有形固定資産で、生産拠点の再編を進めていることがわかります。
2015年には純資産が312億円のマイナスで、債務超過に陥っていましたが、現在は改善しています。
自己資本比率は19.8%となっています。
キャッシュフローには波がありましたが、今期の営業キャッシュフローは1053億円で、有形固定資産への投資や借入金の返済に充てられているようです。
2018年3月期は、3年間の中期経営計画の1年目でした。
来期も、売上高+19.1%・営業利益+22.1%と予想しています。
アドバンスディスプレイシステム事業は、売上高の目標を達成していますから、ほかの3事業が目標達成の鍵となりそうです。
続いては、オリエンタルランドです。
売上高は4793億円で、前年比で0.3%の増収。
一方、営業利益は1103億円で、前年比2.5%の減益となりました。
事業別の売上を見てみましょう。
テーマパーク・ホテルの両事業については増収が続いています。期初の予想と比べても2.1%の増収です。
テーマパーク事業の増収は、入園者数や単価の増加によるものです。
ホテル事業の増収は、2016年に開業した「東京ディズニーセレブレーションホテル」が通年で稼働したことによるものです。
主力事業のテーマパークの入園者数は、前年から10万人増加し、3010万人でした。
東京ディズニーシーの新規アトラクション 「ニモ&フレンズ・シーライダー」の好調などが入園者数の増加につながったとしています。
また、 1人あたりの単価も20円ほど増加して、11614円となっているようです。
テーマパーク事業は、人件費などのコスト増により減益となりました。
ただ、増収や飲食原価の減少等の影響で、営業利益も期初の予想を10.1%上回っています。
オリエンタルランドの財政状況
総資産は9156億円で、そのうち現金は2964億円です。
利益剰余金が6196億円もあります。
負債は1936億円ですが、借入れはそのうち596億円ほどです。
営業キャッシュフローは高い水準で、4年連続で増加しています。
投資も適正に行われているように見えます。
来期は、東京ディズニーリゾートの35周年を記念するイベントが実施されることを踏まえ、売上高+4.5%、営業利益+2.9%と予想されています。
テーマパーク事業の詳細な予想です。
入園者数は4年ぶりの高水準となる3100万人、1人あたりの売上高は過去最高の11830円と予想されています。
オリエンタルランドは今期が中期経営計画の1年目でした。
中期経営戦略を構成する目標は次の3つです。
①高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態であること
②2020年度に、過去最高の入園者数を達成すること
③2020年度に、過去最高の営業キャッシュフローを達成すること
目標を達成するための施策として、まず新規プロダクトの導入があります。
特に、2020年には約750億円をかけて東京ディズニーランドで新エリア等の大規模開発が行われる予定です。
その他にも、「東京ディズニーリゾート・アプリ」のリリース(2018年夏)や外国人の受け入れ対応などの施策が実施される予定です。
最後に、今日発表されたペッパーフードサービスの第1四半期の決算です。
売上高は132億円で、前年同期比で88.0%の増収。
営業利益は7億6800万円で、33.4%の増益となっています。
「いきなり!ステーキ」事業の売上は約110億円で、全体の80%以上を占めています。
なんとその売上高は前年同期比で+126.5%です。
「いきなり!ステーキ」事業の営業利益は11億5千万円ほどで、前年同期比+104.0%です。
「いきなり!ステーキ」事業がこれほどまで急成長している要因とは何でしょうか。
「いきなり!ステーキ」の国内店舗数は3月末時点で234店舗で、前年の約2倍となっています。現在、海外店舗と合わせて240店舗を展開しています。
店舗数の増加に応じて、売上高と営業利益も増加していると考えて良さそうです。
ただ売上高に関して、1店舗あたりの売上高は昨年同期比で13%伸びています。
では財政状態はどうでしょうか。
総資産は増加して190億円ほどで、そのうち現金は約50億円となっています。
流動資産、固定資産どちらも増えているようです。
借入金は39億6千万円ほどあり、負債は増加しています。
一方で純資産も増加し、利益剰余金は20億円となっています。
なお、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていませんでした。
最後に、「いきなり!ステーキ」事業の戦略を見てみましょう。
この第一四半期で店舗数は約50増加しており、通期で200店舗を出店するという目標は順調なペースで進んでいると言えそうです。
通期での計画では、売上高+98.7%、営業利益+83.8%としています。
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