資生堂 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 2兆6620億 円
銘柄コード 4911(市場第一部(内国株))

株式会社資生堂は東京銀座に本社をおく企業。1872年、福原有信が東京・銀座に日本初の洋風調剤薬局として創業。1897年「オイデルミン」を発売し化粧品業界へ進出。1902年には店舗内にソーダファウンテンを設置し日本初のソーダ水、アイスクリームの製造販売を開始。1915年には商標「花椿」と花椿マークを制定。1921年「資生堂五大主義」を制定、1927年株式会社化。1949年東京証券取引所に株式を上場。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

株式会社資生堂は東京銀座に本社をおく企業。1872年、漢方医の家に生まれた福原有信氏が東京・銀座に日本初の洋風調剤薬局としてに「資生堂薬局」を創業したのが始まり。1897年「オイデルミン」を発売し化粧品業界へ進出。1902年には店舗内にソーダファウンテンを設置し日本初のソーダ水、アイスクリームの製造販売を開始。1915年には商標「花椿」と花椿マークを制定。1921年「資生堂五大主義」を制定、1927年株式会社化、同年に販売会社制度を採用する。1949年東京証券取引所に株式を上場。

1965年に米国で資生堂コスメティックス(のちに資生堂インターナショナルCorp.、現商号:資生堂アメリカズCorp.へに統合)を設立して海外展開を本格化。1986年にフランスのカリタ社、1988年に米国のゾートス社、2000年にはブリストル・マイヤーズスクイブ社『シーブリーズ』ブランドや米国『ナーズ』ブランドを買収するなどM&Aも拡大しながらグローバルに事業規模を拡大していく。

2012年にWebを活用した新ビジネスモデル「watashi+(ワタシプラス)」を開始。2019年4月に資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)が始動し、マーケティング手法の改革や研究開発への取り組みも積極的に推進している。

企業理念「VISION 2020 THE SHISEIDO PHILOSOPHY」

資生堂は100年先も輝き続け、世界中の多様な人たちから信頼される企業になるべく、新・企業理念「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を定義しており、以下で構成されている。

  1. 私たちが果たすべき企業使命を定めた OUR MISSION
  2. これまでの140年を超える歴史の中で受け継いできた OUR DNA
  3. 資生堂全社員がともに仕事を進めるうえで持つべき心構え OUR PRINCIPLES

ミッション 「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」

ビューティーイノベーションでよりよい世界を資生堂は多様化する美の価値観、ニーズをとらえ、 人々に自信と勇気を与え、 喜びや幸せをもたらすイノベーションに挑戦します。 美でこの世界をよりよくするためにイノベーションをおこし続けていくことが私たちの責任であり、使命です。

事業内容

資生堂は、化粧品、化粧用具、パーソナルケア製品、理・美容製品の製造・販売事業、および美容食品、医薬品の販売事業を国内外で展開している。各事業活動は、顧客の購買接点タイプ別に区分した5つのブランドカテゴリー(「プレステージ」「フレグランス」「コスメティクス」「パーソナルケア」「プロフェッショナル」)と、6つの地域(「日本」「中国」「アジアパシフィック」「米州」「欧州」「トラベルリテール」)を掛け合わせたマトリクス型の体制を採用している。

資生堂グループは、資生堂、子会社77社(連結子会社73社、持分法非適用非連結子会社4社)及び関連会社3社(持分法適用関連会社3社)で構成される。

化粧品事業

資生堂は5つのブランドカテゴリーを通じてさまざまな化粧品を提供している。メイクアップ・スキンケアブランド『SHISEIDO』等をデパートや化粧品店でカウンセリングを通じて販売しているほか、ドラッグストアといった小売店でもスキンケア『エリクシール』『SENKA』等を展開している。さらに、著名デザイナーとのコラボレーションで開発したフレグランス(『Dolce&Gabbana』等)、ヘアサロン向けにも商品を提供しており、あらゆる顧客の美しさをかなえるための商品開発に取り組んでいる。

レストラン事業

資生堂は、1902年、現在の銀座本店の地に『ソーダファウンテン』(現『資生堂パーラー』)をオープンして飲食サービスを開始した。現在、株式会社資生堂パーラーを通じたレストラン事業やフーズ事業を展開している。

美容室事業

資生堂は自ら美容室も運営している。1956年に開業した当初から「美しく、豊かに」と願う顧客とともに「その方にしかない輝き」を発見し、磨いていく”「場」として美容室事業を展開しており、全国の主要都市の地域社会の発展と「美しい生活文化の創造」に努めている。

教育事業

資生堂は、美容分野人材の育成を目指して教育事業を展開している。創業から長い歴史を持つ資生堂が、積み上げてきた美容人材や美容法などの資産を生かし、プロ向けヘアメーキャップ育成専門学校『SABFA』、学校法人『資生堂学園』の運営、サポートを行っている。

保育事業

資生堂は、事業所内保育所の運営サポートや独自の保育プログラム開発といった保育事業も展開している。2017年にKODOMOLOGY株式会社を設立し、「こどもとおとなの両方がのびのびと健やかに成長することを願い」、共働きの現実によりそいながら、ファミリーの未来に貢献するための活動を行っている。

化粧品ブランドカテゴリー

プレステージ

「プレステージ」とは、デパートや化粧品専門店などで販売員によるカウンセリングを通じて販売している、付加価値の高い高価格帯化粧品。主なブランドに『SHISEIDO』『クレ・ド・ポー ボーテ』『イプサ』『NARS』『Laura Mercier』『bareMinerals』『Drunk Elephant』『ベネフィーク』等がある。

フレグランス

「フレグランス」商品は、主に著名なデザイナーとのコラボレーションで開発した高価格帯フレグランス。主なブランドに『Dolce&Gabbana』『ISSEY MIYAKE』『narciso rodriguez』『Tory Burch』等がある。

コスメティクス

「コスメティクス」商品は、ドラッグストアや量販店を中心とした小売店舗に陳列され、顧客が自由に手に取って選べる中低価格帯化粧品。資生堂は、市場、ブランド、チャネルの特性に応じてカウンセリングも行っている。主なブランドに『エリクシール』『アネッサ』『マキアージュ』『HAKU』『dプログラム』『リバイタル』『プリオール』『アクアレーベル』『インテグレート』『オプレ』『ウララ』『ピュアマイルド』『Za(ジーエー)』等がある。

パーソナルケア

「パーソナルケア」商品は、ドラッグストアや量販店を中心とした小売店舗で販売される、低価格帯のスキンケア商品やシャンプー、洗顔料などのヘアケア・ボディケア商品。主なブランドに『専科(SENKA)』『TSUBAKI』等がある。

プロフェッショナル

「プロフェッショナル」とは、ヘアサロン向けに提供しているヘアケアやスタイリング商品、ヘアカラー剤、パーマ剤といった商品。主なブランドに『SHISEIDO PROFESSIONAL』等がある。

売上構成

資生堂はブランドカテゴリーと地域を掛け合わせたマトリクス型の体制を採用しており、地域別の事業ユニットに加えて横断的な「トラベルリテール」「プロフェッショナル」その他関連事業を報告セグメントとして開示している。

資生堂は「センター・オブ・エクセレンス」によるグローバル戦略を構築している。「センター・オブ・エクセレンス」とは、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、グローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制を指す。スキンケアは日本、メイクアップ、デジタル、テクノロジーは米州、フレグランスは欧州といった地域別の体制を整備している。

日本事業

「日本事業」は、国内におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス、パーソナルケア等)、およびヘルスケア事業(美容食品、一般用医薬品の販売)を包括している。

アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により、拡大する訪日外国人のインバウンド需要を取り込むための施策も強化している。

中国事業

「中国事業」は、中国におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス、パーソナルケア等)を包括している。

プレステージブランドの需要が底堅いほか、コスメティクスブランドでは「メイド・イン・ジャパン」ブランドである『エリクシール』や『アネッサ』の人気が根強い。Eコマースにも注力しており、デジタルを活用したマーケティングの展開や、中国のネット通販大手との協業も進めている。

アジアパシフィック事業

「アジアパシフィック事業」は、日本、中国を除くアジア・オセアニア地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス、パーソナルケア等)を包括している。

東南アジア地域では、直営店展開の拡大やマーケティング投資を強化している。

米州事業

「米州事業」は、アメリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括している。

2019年11月、米国市場を中心に急成長しているスキンケアブランド『Drunk Elephant』を買収した。

米州では、販売事業、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能に加えて、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造の拠点となる「センター・オブ・エクセレンス」機能を持つ。

欧州事業

「欧州事業」は、ヨーロッパ、中東およびアフリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括している。

欧州では、販売事業、フレグランスのブランドホルダー機能に加えて、フレグランスの「センター・オブ・エクセレンス」機能を持つ。

トラベルリテール事業

「トラベルリテール事業」は、日本を除く全世界の免税店エリアにおけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括している。

グローバルプレステージ領域でのポジションを一層強化することを目指し、世界各地の空港での広告宣伝など積極的なマーケティング投資や戦略的な店頭カウンター強化に取り組んでいる。

プロフェッショナル事業

「プロフェッショナル事業」は、日本、中国及びアジアの理・美容製品の販売等を包括している。

主にヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を販売している。

その他

「その他」に含まれる関連事業には、本社機能部門のほか、株式会社イプサ、生産事業、フロンティアサイエンス事業および『資生堂パーラー』を運営する飲食業等がある。

中長期戦略

資生堂は中長期戦略として「主力ブランドへの集中投資」「主な地域における今後の戦略」「市場の変化に迅速に対応できるサプライチェーン体制へ」「成長を支えるイノベーションの加速」「不透明な経営環境に立ち向かい長期視点で成長基盤を強化」を掲げている。

主力ブランドへの集中投資

プレステージファースト戦略により、資生堂が強みを持つプレステージ領域をグローバルで強化している。中でも、資生堂の社名を冠するブランド「SHISEIDO」は、2014年から2019年の売上高の年平均成長率が17%となり、2,000億円を超える規模に成長している。

主な地域における今後の戦略

日本事業については、インバウンド需要の減少や、消費税増税後の消費マインドの弱さの影響を受ける中、インバウンド売上の成長に依存せず、日本の顧客の価値観や購買行動の変化を確実に捉え、改めてローカル市場を再強化する。

中国事業では、力強い成長を維持すべく、プレステージブランドの「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポーボーテ」と日本発ブランドの「エリクシール」、「アネッサ」を中心に投資を集中させる。また、実店舗での取り組み強化とともに、 ネット流通大手との戦略的提携をさらに進め、Eコマースも一層強化していく。

米州・欧州事業では、収益性が課題となっており改善に取り組んでいく。米州では、構造改革を進めている「bareMinerals」の不採算店舗の閉鎖を進める一方、同ブランドの欧州での展開を拡大していく。また、大きな成長ポテンシャルを持つ「Drunk Elephant」、「Tory Burch」の事業を本格的にスタートさせ、収益拡大を実現していく。欧州では、フレグランスが成長をけん引しており、好調な「Dolce&Gabbana」、「narciso rodriguez」にさらに注力していく。

トラベルリテール事業では、プレステージ領域でのポジションを一層強化するための最重要事業として、積極的なマーケティング投資を継続する。大手オペレーターとの交渉力を高め、売り場カウンターを強化するとともに、クロスボーダーマーケティングを積極的に展開し、高い成長性を持続させていく計画である。

市場の変化に迅速に対応できるサプライチェーン体制へ

VISION 2020の実現に向けた取り組み強化の結果、日本市場をはじめ、グローバル全体で資生堂製品への需要が増加している。特に、高品質なメイド・イン・ジャパン商品の評価を得ている海外の顧客の需要が拡大している。一方、中長期的には国内に3つの新工場を建設することとして、昨年12月には、那須工場が稼働している。本年12月には大阪茨木工場が稼働し、その後、福岡久留米工場も稼働する予定である。

成長を支えるイノベーションの加速

将来の成長を支えるイノベーションへの注力も継続していく。2019年に化粧品技術を競う世界最大の研究発表会IFSCCにおいて口頭発表部門の「最優秀賞」を受賞する等、資生堂のイノベーションは、ビューティーの世界でさまざまな新しい価値を生み出し続けている。また、昨年オープンした研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)」ではオープンイノベーションプログラム「fibona(フィボナ)」の活動を開始している。

不透明な経営環境に立ち向かい長期視点で成長基盤を強化

昨年後半から増している世界情勢の不透明感は、当面続くものと想定される。新型肺炎ウイルスはこれまでの資生堂の成長をけん引してきた日本・中国・トラベルリテール事業などでのビジネスに影響を及ぼしている。まずは、顧客、従業員の健康と安全確保に努め、当面の間のマーケティング活動の一部については、必要に応じて中止や延期する。今できることとして、Eコマースや越境ECの強化等を行い、新型肺炎ウイルスの感染拡大が終息するのを待って、マーケティング活動の追加や強化を行う等、年間を通じてグループ全社の経費を効率的にコントロールする。

経営方針・社会的使命

資生堂は、企業として成長することはもちろんのこと、本業であるビューティービジネスそのものを通じて社会課題の解決や、人々が幸せになるサステナブルな社会を実現することが、使命であると考えている。その使命の実現と環境・社会・文化に関わる社会価値創造の加速を目的に、2019年1月に社会価値創造本部を新設した。同本部では、さらなるサステナブル経営の実現に向けて、CO2排出量やパーム油、紙や水資源等の環境負荷軽減項目について、目標値とその達成目標年限を定めて開示している。

「環境対応パッケージ開発促進」「ビューティーとクリエイティブの力で肌悩みを持っている方をサポート」「企業文化・芸術・美の発信を通じて、よりよい世界の実現へ」で方針を掲げている。

環境対応パッケージ開発促進

資生堂は、循環型経済への移行を目指し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)と生分解性技術の開発を積極的に進めている。この課題への取り組みの一つとして、海水中でも高い生分解性を持つ新素材「PHBH」(株式会社カネカが独自に開発した植物油などのバイオマスを原料とし微生物発酵プロセスによって生産されるバイオポリマー)の化粧品容器への応用を目指し、2019年4月に株式会社カネカとの共同開発を開始した。2019年12月には、容器の回収・リユースを前提として、テラサイクル社(アメリカ・ニュージャージー州) が開発した循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」の日本展開にパートナー企業として参画することを表明した。

ビューティーとクリエイティブの力で肌悩みを持っている方をサポート

あざや白斑などの肌色変化、肌の凹凸など、さまざまな肌悩みがある方にメイクアップ方法をアドバイスする専門の施設「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」を2019年5月にシンガポールに開設した。本センターは、2006年に資生堂創業の地である東京・銀座でのオープンを皮切りに、2008年の上海、台湾、2011年の香港に続くもので、さまざまな肌悩みがある方が毎日自分らしく過ごせるようにグローバルで展開していく。

企業文化・芸術・美の発信を通じて、よりよい世界の実現へ

資生堂は今後も、アートによるイノベーションを目指し、“新しい美の発見と創造”を理念として、芸術文化支援活動を通じ、世の中に新たな価値を紹介していく。


2019年12月期 有価証券報告書(提出日:2020年3月25日)