米国に、事故車のオークションを軸に時価総額約280億ドルに達した企業があります。1982年創業のコパート(Copart, Inc.)です。同社はNASDAQ上場のオンライン車両オークション大手企業。185カ国以上・約100万人の会員に向けて年間400万件超の取引を仲介しています。
商品の主な供給元は、自動車保険会社です。保険会社は事故車の損害を査定し、「修理するより売却した方が経済合理的」と判断すると「全損(トータルロス)」を宣告します。その車両を預かり、解体業者や修理業者、輸出業者などに競売で売りさばくのがコパートの仕事です。

事業の収益性は際立っています。2025年7月期の売上高は約46億ドル、営業利益は約17億ドル。有利子負債はゼロで、手元には51億ドルの現金等を積み上げています。「地味な産業ほど競争が少なく儲かる」という経営の定石を、これほど鮮やかに体現した企業は多くありません。
しかもコパートは、単なる古い体質の業者ではありません。2003年には物理的な競り会場を全廃し、業界に先駆けて完全オンラインオークションへ移行しました。廃車置き場から始まったこの会社は、どのようにして世界的なマーケットプレイスへと変貌したのでしょうか。