【空き家活用銘柄】社会課題の解決を担う関連企業の取り組みとは
総住宅数に対する割合が13%を超え、今後も増加の一途をたどる日本の「空き家」。
この社会課題に対し、新たなビジネスの視点から取り組む企業が注目されています。持続可能な社会の実現に向け、空き家活用の重要性が増しています。
この市場に挑む企業のアプローチは実に多様です。地方の空き家を直接買い取り、リフォームを施して再生住宅として販売する「買取再販」の専門企業。全国の自治体と連携し、空き家情報と活用したい人をつなぐ「プラットフォーム」を運営する企業。
さらには、転勤者の留守宅や、まだ入居者がいる「賃貸中」の物件といった、独自の領域から中古ストックの流動化を促す企業も存在します。
本記事では、こうした多様なビジネスモデルで空き家問題に挑む主要プレイヤーの戦略と強みを紹介していきます。
GAテクノロジーズは、AIやビッグデータといったテクノロジーを駆使し、不動産業界のDXを推進する不動産テック企業です。
同社は、深刻化する日本の「空き家問題」や、それに伴う遊休地の活用といった社会課題に対し、独自のソリューションを提供しています。
同社のサービスの一つに、土地所有者や相続に関する課題を抱える個人を支援する「RENOSY 土地活用の相談窓口」があります。これは、遊休地や相続した土地の所有者が抱える課題に対し、専門家が最適な活用プランを提案・サポートするサービスです。
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また、既存の賃貸物件の空室対策として、収益物件に特化したリノベーションサービスも展開。これらのサービスを通じて中古不動産流通の活性化を促進し、持続可能なまちづくりへの貢献を目指しています。
これらの事業を支えるのが、同社が誇る豊富な不動産データ基盤です。投資用不動産販売で全国No.1の実績を持つ「RENOSY」などを通じて蓄積した膨大なデータを、独自のテクノロジーで分析・活用しています。
2025年問題を控え、土地の所有や相続に関する課題の顕在化が指摘されています。GAテクノロジーズは、テクノロジーとデータを活用し、これらの社会課題の解決に取り組んでいます。
>> 2020年大きく伸びた不動産ベンチャー「GAテクノロジーズ」の事業モデルを考える
リログループは、企業の福利厚生や社宅管理のアウトソーシングサービスを主軸に成長してきた企業です。
同社は今、その事業の原点である、転勤者の「留守宅管理」で培った豊富なノウハウを、深刻化する日本の社会課題である「空き家問題」の解決に応用し、独自の事業を展開しています。
同社の空き家活用サービスの最大の特徴は、オーナーが抱えるリスクや不安を軽減する仕組みにあります。
例えば「リロの空き家再生」では、同社が物件を借り上げて一定期間の賃料を支払うサブリース形式を採用しています。この仕組みは、オーナーの空室に対する懸念を軽減するものです。リフォーム費用などに充当できる賃料の一括前払い制度も用意されています。
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このビジネスモデルを支えるのが、日本で初めて留守宅管理サービスを事業化し、延べ10万戸以上の管理実績を持つ信頼性と、M&Aを通じて全国に拡大した約12万戸の賃貸管理ネットワークです。
また、単に賃貸として活用するだけでなく、売却や買取といった選択肢をワンストップで提供していることも強みのひとつです。
借上社宅管理で国内No.1のシェアを持つリログループは、BtoBのストックビジネスを事業の主軸としています。同社は、「人の移動」に関するサービスで培った知見を活かし、「空き家」の再生に取り組んでいます。
>> リログループの企業情報
カチタスは、中古住宅の買取再販事業において、11年連続で販売件数No.1を達成している業界のリーディングカンパニーです。
同社は、地方都市の築年数が古い戸建て住宅に特化し、リフォームによって新たな価値を加えて販売することで、社会問題化する「空き家問題」の解決に事業を通じて貢献しています。
カチタスのビジネスモデルの核心は、「新築の半額程度」という手ごろな価格での高品質な再生住宅の提供にあります。
買い取った物件は、キッチンや浴室といった水回りを基本的に新品に交換し、内外装を全面的にリフォーム。購入者がすぐに入居できる快適な住まいへと生まれ変わらせます。
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全国に広がる130店舗以上の直営店ネットワークがこれを支えており、地域に密着した店舗網でスピーディーな物件の査定・買取が可能です。
また、累計8万戸を超える豊富な再生実績で培われた、物件の目利きやリスク管理のノウハウが同社の大きな強み。仕入れ前には、協力会社などとの「三者立ち会い」による入念な物件調査を徹底し、品質が担保されています。
同社が買い取る物件の約8割は空き家であり、その事業活動は中古住宅市場の活性化だけでなく、地域経済の活性化や循環型経済への貢献にも繋がります。
他にも、ニトリホールディングスとの提携により、家具を含めた豊かな住環境の提案も進められています。
日本の空き家が増加する社会背景の中、同社は独自のノウハウを活かし、「新築」「中古」「賃貸」に代わる「第四の選択肢」を提供し続けています。
>> 売上高は10年前の2.9倍!カチタス社長に聞く「地方の空き家」を売れる商品にできた理由
スター・マイカ・ホールディングスは、中古マンション市場に特化したユニークなビジネスモデルを展開する企業です。同社は、業界の常識を覆し、「賃貸中の物件」を積極的に購入していることが特徴です。
その事業の核心は、以下の三段階のプロセスにあります。
まず、投資家などが所有する、賃借人がまだ居住中の「オーナーチェンジ物件」の買取から始まります。
次に、賃借人が退去するまでの期間は賃貸運用を行い、安定した家賃収入を確保。そして、空室になった後にリノベーションを施し、一般の住宅購入者へ販売するモデルです。
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このビジネスモデルは、賃貸中の家賃収入と、リノベーション後の売却による収益で構成されています。この独自の取り組みは、2011年にポーター賞を受賞しています。
また、この戦略により、同社は中古マンションの保有戸数で全国No.1の地位を長年維持しており、これが安定的なリノベーションマンション供給の基盤です。
近年では、このビジネスモデルをさらに深化。「マンションリースバック®」サービスも手掛け、自宅を売却した後も賃貸として住み続けたいというニーズに応えています。
同社は、「賃貸中」という独自の領域に特化することで、中古マンション市場に新たな価値を創造しています。
LIFULLは、空き家を単なる社会問題ではなく、地域の新たな価値を創造する「資源」と捉えて、その再生と活用を通じて地方創生への貢献を目指しています。
その中核をなすのが、全国の自治体と連携する「LIFULL HOME'S空き家バンク」。
これは、各地に点在する空き家情報を集約し、利用者が横断的に検索できるプラットフォームです。情報の非対称性を解消し、空き家を求める人と地域を繋ぐハブとしての役割を担います。

LIFULLの取り組みは物件情報のマッチングに留まりません。
空き家問題の解決には専門知識を持つ人材が不可欠であるとの考えから、「LIFULL 地方創生スクール」を運営。自治体職員や地域おこし協力隊など、既に1,200名を超える人材を育成する、課題解決の担い手を地域に増やす取り組みです。
さらに、築古の別荘をリノベーションし、プライベートサウナ付きの貸別荘として再生させる実証実験、楽天ステイの宿泊施設を取得して運営ノウハウを獲得するなど、空き家の新たな活用モデル創出にも積極的です。
同社は「全国空き家対策コンソーシアム」に理事として参画するなど、業界全体の課題解決にも取り組んでいます。プラットフォーム、人材育成、そして新たな活用モデルの創出という多角的なアプローチは、同社の事業の特色です。
>> LIFULLの企業情報
東武住販は、中古住宅の「流通」「再生」「再利用」を目指して「エコモデル創造業」として、深刻化する空き家問題に挑む企業。
同社は、不動産事業と介護福祉事業を両輪とすることで、高齢化社会の課題に多角的なアプローチで取り組んでいます。
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事業の主力は、中古住宅の買取再販事業。空き家などを買い取り、リフォームによって付加価値を高めた上で、手ごろな価格で販売しています。
さらに、空き家を放置することによるリスクを防ぐため、定期的な巡回やメンテナンスを行う「空家管理サポート」も直接的なソリューションとして提供。所有者の負担を軽減し、空き家の適切な管理を促します。
他にも同社は、高齢者向け住宅改修といった「介護福祉事業」も手掛けています。
「不動産」と「介護」という、高齢化社会における二つの重要なテーマを事業の柱とする東武住販は、地域社会の持続可能性に貢献する挑戦を続けています。
>> 東武住販の企業情報