【米国IPO】中小企業をターゲットに成長する中国のレンディング Sino FortuneがIPO申請

中国のオンライン・レンディングプラットフォームのSino Fortuneが米国ナスダックに上場申請を行いました。今回はSino Fortuneについてしらべて行きたいと思います。

■サマリー
・2016年の売上は2467万ドル、純利益は357万ドル
・IPOで4200万ドルの調達を目指している
・オンライン レンディングプラットフォームには20万人の投資家が登録している
・売出し価格はまだ明記されていない


中国のレンディングプラットフォーム企業に関しては以前にも書いたこちらのノートも参照。

Yirendai
China Rapid Finance

(画像: Sino Fortune)


Sino Fortuneは2013年に上海で設立されました、米国では2014年にネバダ州に登記されています。

Sino Fortuneは子会社である(www.hyjf.com)のレンディングプラットフォームを通じ投資家と中小企業や個人をマッチングさせています。借り手と貸し手がいつでもどこでもアクセスできるようにモバイルアプリもリリースしています。

2013年12月にサイトを開設してから2016年12月の3年間で約1,500億円(RMB10.33 billion)の融資が行われてきました。2016年末時点では20万人の投資家が登録しており、12社の投資機関もパートナーとして登録されているようです。

Sino Fortuneは投資家と融資を受ける企業や個人のマッチングを行ない収益を得ています。条件にもよりますが、資金の借り手から融資額の約1.5%〜3%の手数料を得ており、追加で融資残高の0.3%を月々のアカウント管理費用として得ています。

2017年7月にはノンバンクの資格を取得しており、信頼ある機関として中小企業への融資を本格的に進めて行くようです。


■7つの成長戦略
次にSino Fortuneがform-S1の中で掲げている7の成長戦略を見ていきます。


1.業務提携を加速
プラットフォームでの融資利用の82%は中小企業です。質屋、マイクロファイナンス事業者、資産運用企業、Eコーマス事業者などと提携し、新規の融資利用者である中小企業を呼び込む計画です。

2.個人向け融資商品を拡大
自動車ローン、消費者ローンなどユーザーのニーズに特化した安全な融資商品を開発し、個人向け融資を拡大させる計画です。

3.投資信託企業や金融機関を呼び込む
現在同社のプラットフォームで資金を提供する投資家はすべて個人投資家です。今後は投資信託企業や金融機関などの機関投資家をプラットフォームに呼び込むことで、融資資金の種類を増やすし、借り手にとってのコストを下げる計画です。

4.融資リスクの管理と分析の強化
中小企業向けの融資時のリスク管理・分析は提携企業が担っています。同社は他のリスク管理企業との提携を模索し、中小企業や個人のクレジットヒストリーをより正確に分析することで貸し倒れ率を下げる計画です。

5.テクノロジーへの投資
データーの収集機能、融資の需要と供給を分析するアルゴリズムの開発などへ投資を行い、オンラインで投資家とユーザーを効率よく繋ぐことを目的としています。テクノロジーへの投資とプラットフォームの継続的なカイゼンが、ユーザー獲得につながるとしています。

6.M&Aによる成長

インターネット企業、インターネット金融事業者、金融機関を取り込み規模を拡大する事で競争力を高め、サービスとプロダクトの効率化を図る計画です。

7.サービスとプロダクトの充実
同社は長期計画として、融資の機会にありつけない状況にある中小企業に対して、ファイナンシングのエコシステムを作って行くことを計画しています。

この計画の一環として2017年7月にノンバンクの資格を取得して信頼ある融資プラットフォームとしての一步を踏み出しています。オンラインだけでなくオフラインの両方での業務を拡大する事を目指しています。


■業績

次にSino Fortune業績を見ていきます。

(出所: Sino Fortune)


売上は2015年の1196万ドルから2016年の2467万ドルとYoYで106%の増加を見せています。純利益は15万ドルから357万ドルと改善を見せています。


売上の構成を見てみると71%がサービス費です。サービスフィーは融資を受けたユーザーからの手数料(1.5%-3%)です。残りの29%は管理費です、管理費は融資を受けたユーザーの融資残高に対する月額管理費用(0.3%)です。

(出所: Sino Fortune)

■競争環境

(画像:  Crowdfund Insider)

こちらのレポートによると2016年から2020年までに世界のP2Pのレンディング市場は年平均成長率が50%以上と試算されており成長が見込まれています。

しかし中国には相当な数のオンライン・レンディングプラットフォームが存在しており、今後統合や合併が行われて沙汰されていくと見られているようです。


Wang Dai Zhi Jia(www.wdzj.com)の調査によると2017年6月現在では中国に2,114ものオンラインレンディングプラットフォームが存在しており、6月の融資額でみるSino Fortuneは2,114中4位にランクインしています。

競合となるプラットフォームが沢山あるなかで、今後Sino Fortuneが上で掲げた成長戦略の計画をどれくらい達成していくか注目したいと思います。


■まとめ

・2013年-16年の3年間で約1500億円の融資が行われ急成長している
・中国には2400ものオンライン・レンディングプラットフォームが存在しているが融資額ではSino Fortuneは4位に入っている
・今後の成長戦略で金融機関をプラットフォームに呼び込み信頼を得る計画をたてている
・22%の融資はモバイルから行われており、経営人はテクノロジーへの投資を引き続き強化していく計画をもっている