今朝は中国のオンライン・レンディングプラットフォーム「Yirendai」について見てみる。

Yirendaiのミッションは、中国国内の借り手に対し、無担保クレジットに簡単にアクセスする手段、そして投資家に対して魅力的な投資機会を提供すること。そして、そのための場として彼らをつなぐオンライン・マーケットプレイスを提供している。

Yirendaiの創業者たちは、2006年に借金や資産管理のアドバイザリーを行う「CreditEase」を開始し、よりオンラインに特化した事業として2012年にYirendaiを始めた。

主な借り手として、無担保でお金を借りたい消費者をターゲットとしている。与信モデルにはCreditEaseにおける11年蓄積したデータを活用。

サービスは端から端まで自動化が進んでいるらしい。

個人の借り手の特徴

・クレジットカードを持っている給与所得者

・インターネットを使いこなし、より良いオンライン金融手段を受け入れる

・家のリフォーム、車の購入、結婚、教育などのライフイベントが主要な目的

投資家の特徴

・マス・アフルエント（大衆富裕層、準富裕層とも言われる）

・機関投資家の試験的プロジェクト

・資産を多様なローンに振り分ける自動化された投資ツールによって多くの投資が行われる

最後すごいな。ロボアドバイザーみたいな感じかな。まあオンラインで個人が適切な借り手の評価とかできないだろうし、与信審査も自動でやってリターンを返すことの方が現実的なのだろう。

既存の銀行とYirendaiの対比。

伝統的な銀行

・企業への貸金に集中

・オフラインの支店営業で、長い適用期間（審査が長いってことかな）

・レガシーなテクノロジーで、しかもしれはバックエンド、つまり顧客には関係ない

Yirendaiのソリューション

・まだ満たされていない巨大な消費者向け金融の機会

・革新的なオンライン消費者金融マーケットプレイス

・端から端まで自動化。モバイルを重視

中国の担保なし金融市場は急激に拡大しており、国全体の貸金残高で2015年の4.3兆元（およそ70兆円）から2019年には12.3兆元（およそ201兆円）にまで成長する見込み。将来には、現在の主なターゲットを超える新たな借り手グループが現れるかも、とのこと。

複数ある成長要因を米国との比較で示している。

・GDPの成長。これが言えるのは強い。。

・消費の拡大の余地があること

・より大きな金融の余地があること

どれも米国と比べて発展途上、ということのようだ。

借り手だけでなく、貸し手である投資家サイドの市場も拡大している。中国における資産管理マーケットは2015年の127兆元（約2079兆円）から2020年には223兆元（約3651兆円）にまで拡大、投資可能な資産を60万元（1000万円弱）以上有する人口も1700万人から2800万人に増加する見込み。借り手側、潤沢すぎるなw

オンライン・レンディングプラットフォームとしては中国で最大らしい。累計ローンは3930億元（6.4兆円）、2017年Q1だけで69億元（1129億円）、同じく借り手は12.5万人、貸し手は19.2万人ほど。貸し手の方が多いんだな。

累計の貸し手と借り手の数は右肩上がりに拡大を続けている。

借り手の累計登録数は2640万人、そのうち実際に借りたのは61万人。

貸し手の累計登録数は530万人、そのうち実際に貸したのは96万人。

ローンの貸金残高の推移。四半期ベースで見てもこれだけの速度で成長。前年比余裕で+100%以上。次の2Qには770億元から790億元（1.2-1.3兆円）に達する見込みらしい。

追記：企業価値評価

ここで改めて、Yirendaiの企業価値をキャッシュフロー割引法により算定してみます。

まず、過去３年間のキャッシュフローの推移をみてみましょう。

2014年までは営業キャッシュフローもマイナスでしたが、2016年にはこれが20億人民元（327億円）ほどに伸びています。

これを元に、今後5年間毎年20％ずつフリーキャッシュフローが増える、という前提のもとで企業価値を試算します。

年	2018	2019	2020	2021	2022
予測FCF	30億018万5000	36億022万2000	43億2026万7000	51億8432万	62億2118万4000
現在価値	27億016万6500	29億1617万9820	31億4947万4643	34億143万2352	36億7354万6940
有利子負債額0		有利子負債コスト0.01		実効税率0.4
株主資本時価131億4100万		株主資本コスト0.1		WACC 0.1
永久成長率0.03		継続価値 915億4027万8857		企業価値 1073億8107万9112