株式市場の主役がAIや半導体に移って久しいなか、創業70年を超えるスプレー潤滑剤の会社が成長株のような決算を発表しました。WD-40が発表した2026年3〜5月期決算は、売上高が前年比24%増、営業利益が同47%増。派手な新技術も新市場もない「1本の缶」が、なぜいまも伸び続けるのでしょうか。 決算説明会でスティーブ・ブラスCEOが口にしたのは、「より速く学び、より速く成長する」という社内の合言葉でした。世界中の販売チームが成功事例を交換し、売れた型をすぐ別の市場へ横展開する。70年物の製品を、いまも新製品のように売り続ける仕組みが背後にあります。 その象徴が、錆取りや電子機器の洗浄など用途ごとに特化した派生ブランド「WD-40 Specialist」です。売上の9割はわずか10カ国で生まれており、裏を返せば、看板製品で築いた販売網に載せて広げられる余地が世界中に残っている計算になります。同社が次の成長の柱と位置づける製品群です。
WD-40が発表した2026年度第2四半期決算は、連結売上が1.617億ドル(前年比11%増)、粗利率は55.6%(同100ベーシスポイント改善)でした。中東情勢の悪化を受けて通期の原油前提を1バレル95〜115ドルへ約30ドル引き上げたものの、通期ガイダンスのレンジは据え置いています。 スティーブ・ブラスCEOは下期の米国について「近年の当社の歴史において前例のない」規模のプロモーションプログラムを控えていると述べ、通期での二桁成長に自信を示しました。ディスカウントチャネルでの大口新規顧客の獲得も明らかにしています。 米国のメンテナンス製品売上は前年比15%増と全社を牽引し、用途特化型のWD-40 Specialistはアジア太平洋で同55%増と突出した伸びを見せました。主力のMulti-Use Productではプレミアム製品の売上構成比が50%に到達しています。