脱炭素化とデジタル社会の進展を背景に、電力の損失を劇的に減らす「パワー半導体」の重要性が飛躍的に高まっています。 特に、EVや次世代通信の性能を左右する、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった新材料への期待は大きく、新たな巨大市場が形成されつつあります。 この次世代市場は、日本の強力な企業群によって支えられています。SiCエピウェハーなどで世界トップの「材料メーカー」と、硬くてもろい新素材をナノレベルで加工する、世界首位の「製造装置メーカー」。それぞれが独自の技術で、サプライチェーンの重要な役割を担っています。 本記事では、こうしたパワー半導体のサプライチェーンを支える主要プレイヤーたちの戦略と、技術的な優位性をご紹介します。
EVの駆動モーターから洋上風力発電のタービン、データセンターを支えるハードディスクドライブまで、脱炭素化とデジタル社会の進展を支える製品にレアアース(希土類)は不可欠です。「産業のビタミン」とも呼ばれるこの戦略物資は、今や世界の産業競争力を左右する重要な要素となっています。 しかし、その生産は特定の国に大きく偏在しており、国際情勢の変化が供給網を揺るがす地政学リスクを常に内包しています。資源ナショナリズムの高まりや各国の政策変更は、レアアースの安定調達を産業界にとって最重要課題の一つへと押し上げました。 本記事の目的は、まずレアアースに関連する企業をリストとして把握していただくことです。 個々の企業の詳細な戦略分析や最新の動向については、Strainerの特集記事や開示検索機能をご活用ください。 素材技術でサプライチェーンリスクを克服「TDK」
信越化学工業は1926年、新潟県直江津で「信越窒素肥料」として創業しました。社名の「信越」は、信州(長野県)と越後(新潟県)に由来します。創業当初は信濃川の水力と越後の石灰石という地域資源を活かし、カーバイドや石灰窒素肥料(カルシウムカーバイド肥料)の製造に注力していました。 1940年には社名を現在の信越化学工業に変更。戦後のインフラ復興期から高度経済成長期にかけて事業領域を化学素材全般へ拡大していきます。1953年には日本で初めてシリコーン樹脂の事業化に成功、5,000種を超える製品展開で国内トップシェアを確立しました。 1957年には米国子会社シンテック社(Shintech)を中心に塩化ビニル樹脂(PVC)事業を本格化。やがて日本・欧州にも生産拠点を展開して世界トップクラスの地位を築きます。1960年には半導体の基盤素材であるシリコンウエハー事業に参入、以降はレアアース(希土類)や光ファイバー用材料など先端分野へ次々と進出してきました。1976年には高性能モーターに不可欠なネオジム磁石(希土類磁石)の量産化にも踏み切っています。