沿革・会社概要
メディアドゥは東京都千代田区に本社を置くデジタルコンテンツ企業。1996年に(有)フジテクノとして設立され、2000年にパケット通信量削減システム『パケ割!』を開発し、翌年よりサービスを開始した。2004年着うた配信サービスを、2006年コンテンツ配信システム『md-dc』を開発、電子書籍配信サービスを開始する。2013年、東証マザーズへ株式上場を果たす。2014年にはLINE・講談社・小学館と『LINEマンガ』のグローバル展開のための合弁会社を発足。2016年東証一部へ市場変更。2017年、株式会社出版デジタル機構の株式を100%取得し、完全子会社化した。
ミッション
「著作物のデジタル流通」を事業コンセプトとして、「ひとるでも多くのコンテンルを一人でも多くの人へ」をミッションとして、著作物の健全な想像サイクルを実現することを目指している。
著作権法第一条にある『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化された数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全な創造サイクル”の一翼を担うことを目的に事業を行っている。
事業内容
メディアドゥはデジタルコンテンツの流通事業を提供している。効率的な取次事業運営とブロックチェーン等の先端技術を活用した新たなプラットフォーム創出を目指す「電子書籍流通事業」、出版業界の活性化のための投資領域であるメディアおよび周辺サービスである「その他事業」を主な事業として展開する。
メディアドゥグループは純粋持株会社の株式会社メディアドゥホールディングスと連結子会社10社、及び関連会社3社で構成される。
電子書籍流通事業
「電子書籍流通事業」では、出版社等のコンテンツホルダーから電子書籍コンテンツを預かり、システムを介してクライアントの電子書店向けに取次を行ったり、自社運営の電子書店で販売する等、事業者向け、個人向けに関わらず、幅広く電子書籍流通を推進している。
メディアドゥグループは電子書籍流通業者として「出版社との取引・契約を仲介」「出版社・著者への売上を分配」「配信システムの運営」「出版社・電子書店と連携した割引・無料などの施策・キャンペーンによる販促」という4つの機能を提供している。
事業者向けサービスのトータルソリューションとして、取次機能を通じて電子書籍コンテンツや電子書籍配信システム、電子書籍ストアシステム、電子書店運営ノウハウをパッケージで提供しており、クライアントからの様々なニーズに1社で対応することを可能にしている。
システムソリューション以外の面においても、営業・サポート体制を構築し、戦略企画、電子書籍運営コンサルテーション、電子書店サイト制作・運営サポート等を行っている。
ディストリビューション:
「ディストリビューション」は、電子書店向けに電子書籍コンテンツの取次販売。
アライアンス/プラットフォーム提供:
「アライアンス/プラットフォーム」サービスは、電子書籍配信システム提供をベースとした取次販売。また、アライアンスパートナー企業と共同で電子書店サイトを運営している。
ストア運営:
「ストア運営」では、電子書籍コンテンツを配信する自社電子書店サイト『コミなび』の運営を行っている。
その他事業
5つの主要な子会社(Media Do International,Inc.、株式会社フライヤー、アルトラエンタテイメント株式会社、My Anime List,LLC.、ジャイブ株式会社)がメディア運営、出版及び創作支援業務などを行っている。
Media Do International,Inc.:
MediaDoInternational,Inc.は、メディアドゥグループの事業ミッションを国際的に展開し、著作者の事業機会を世界中に拡大推進する役割を担っている。
株式会社フライヤー:
株式会社フライヤーは、書籍の要約コンテンツを提供するサービス『flier』を運営している。
アルトラエンタテインメント株式会社:
アルトラエンタテインメント株式会社は、電子コミックのカラーリング、コミックの作画支援サービスを提供している。
MyAnimeList, LLC.:
世界最大級の日本アニメ・マンガを核とするコミュニティメディア『MyAnimeList』を運営している。
ジャイブ株式会社:
中小出版社のデジタルトランスフォーメーションを後押しする「インプリント事業」を推進する役割を担っている。
株式会社Jコミックテラス:
無料電子コミックサービス「マンガ図書館Z」運営等の電子書籍配信業を展開している。
株式会社マンガ新聞:
マンガに関する情報やレビューを扱うメディア「東京マンガレビュアーズ」を運営している。
グループの強み
流通の中核機能
メディアドゥグループは、電子書籍を手掛ける出版社2,200社超、大手を含むほぼ全ての電子書店150書店と取引しており、独自のポジションを確立している。
圧倒的なシェア
メディアドゥグループ全体の年間流通総額は1,200億円(2020年2月期)を誇る。世界でもAmazonに次ぐ第2位の電子書籍流通事業者として位置付けられる。
グローバルにおける存在感
W3C「Publishing Business Group」の共同議長にアジアから唯一就任している。W3Cとは電子書籍の国際標準規格を含む、インターネット技術の世界的標準化推進団体「WorldWide Web Consortium」を指し、メディアドゥグループは世界最大の出版社である米ペンギン・ランダムハウスなど欧米それぞれ1名ずつの代表者と並び、共同議長として2019年2月に選出された。
業界からの支援
4大出版社(KADOKAWA・講談社・集英社・小学館)を中心とした出版業界の株主シェア12%超を誇る。
※保有比率は2020年2月末時点の発行済株式数を基に計算
経営方針
メディアドゥグループは、著作物を公正な利用のもとでできるだけ広く頒布し、著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに、「ひとつでも多くのコンテンツをひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展、及び豊かな社会づくりに貢献し続ける会社となることを目指している。
経営戦略
メディアドゥグループが持つ最大の強みは、取引する電子書店数(150店以上)とグループ流通総額1,200億円という、電子書籍流通における圧倒的なポジションを強みだとしている。
さらに、4大出版社(KADOKAWA、講談社、集英社、小学館)が株主として参画しているほか、出版社との取引口座は2,000以上を数え、全ての主要出版社と取引できる独自のポジションを築いている。
そしてメディアドゥグループは、「電子書籍取次事業から“Publishing Platformer”への転換」を基本方針に掲げ、電子書籍流通全体を支える存在として新時代のプラットフォームを創造するべく、経営戦略として次の2つを掲げている。
事業基盤の強化
電子書籍流通事業におけるグループの役割を「LEGACYを作る」「LEGACYを創りに行く」の2つとし、出版市場のさらなる拡大を目指している。
「LEGACYを作る」とは、電子書籍市場の拡大と流通カロリーの低減に貢献するため、「コンテンツ流通プラットフォーム構築」「メディア・プロモーション事業活性化」「電子書籍流通を支えるプロフェッショナル集団のさらなる強化・育成」を実施することである。そして「LEGACYを創りに行く」とは、最先端技術の活用によってさらなる市場拡大と新市場創造に貢献するため、「メタデータマーケティング提供」「最先端技術を活用したサービス創出」「出版社横断的な新サービス展開」を実施することである。
経営基盤の強化
「連結経営の強化」「優秀な人材の確保」「ミッション・ビジョンを軸にしたESGの推進」の3つに取り組んでいる。
財務戦略・資源配分計画
メディアドゥグループは高い資本効率と財務健全性のバランスを重視し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としている。
今後は有利子負債の返済や利益積み上げに伴い、自己資本比率を改善していくことで財務健全性を向上させていくほか、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減を図っていく方針だ。
また設備投資に関しては、企業価値を向上させる成長のための投資、特にシステム開発を積極的に推進し、設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、強固な財務体制の維持と十分な水準の手元流動性を確保していくとしている。
対処すべき課題
メディアドゥグループは、最大の「強み」と考える電子書籍流通における圧倒的ポジションと、デジタルテクノロジー分野における開発能力の一層の強化を実現するために、下記の4つを対処すべき課題として認識し積極的に取り組んでいる。
システム技術の強化
今後の業務効率化実現のために、グループの新電子書籍取次システムと各電子書店との連携を完了させることに加え、クライアントのニーズに応えるための機能拡充や、ブロックチェーン技術などの先進技術を活用した新たな流通プラットフォームの構築に着手している。またシステム面のセキュリティ強化のため、適切な投資や開発・運用体制の整備にも取り組んでいる。
事業の基盤強化
電子書籍流通事業における付加価値提供並びに効率的な運用と、将来に向けた研究開発・新規事業への取り組み、さらには海外事業展開の推進が必要であると考えている。
優秀な人材の確保
さらなる採用強化のため、会社の魅力訴求に取り組むと同時に、働き方改革への対応と社内教育制度の整備に取り組んでいる。
コーポレートガバナンスの強化
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、経営の透明性・公正性・迅速性の維持と向上、取締役会全体のさらなる機能向上、情報開示の充実、IR活動のさらなる強化に取り組む必要があると考えている。