JD.com, Inc. 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 1205億8700万 ドル
銘柄コード JD(NASDAQ)

JD.comはeコマースを提供する中国企業。1998年6月、リチャード・リュー氏が貯めた1万2000元で中関村のテクノロジー・ハブの4平方メートルの小売ユニットを借り、JDマルチメディアを創業。2003年、SARSが流行したとき、リチャードはオンライン商取引の可能性を感じ、商品をオンラインで売り始めた。2008年には電化製品以外の一般商品をとり扱い始めた。2014年にはNASDAQに上場。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

JD.com(京東商城)は中国最大級のeコマース企業。1998年6月、劉強東(richard Liu, リチャード・リュー)氏が貯めた1万2,000元で中関村のテクノロジー・ハブの4平方メートルの小売ユニットを借り、電子端末の小売店「JDマルチメディア」を創業。2003年、SARSが流行したとき、リチャードはオンライン商取引の可能性を感じ、ECサイトでの販売に乗り出した。2008年には電化製品以外の一般商品を取り扱い始める。2014年にTencentと提携し、同年にNASDAQ上場を果たす。

フォーチュン・グローバル500によると、JD.comは2019年の総売上高で中国最大の小売企業となっている。

事業内容

JD.com(京東商城)はEC事業を展開している。オンライン小売事業とマーケットプレイスeコマース事業を運営している。JD.comでは、幅広い商品を競争力のある価格で顧客に提供している。JD.comは、自社で独自のフルフィルメントインフラストラクチャを中国全土に構築し、運営している。

スピーディーで効率的、信頼性の高いフルフィルメントサービスを提供する。中でも、コンテンツが豊富でユーザーフレンドリーでパーソナライズされたモバイルアプリやウェブサイト(www.jd.com)を通じて、オンラインショッピング体験を提供している。また、包括的な顧客サービスと便利な支払い方法も拡充している。

売上は「小売(product) 」と「サービス(services) 」から構成されている。

小売(product)

小売は、「電気・家電製品(Electronics and home appliances)」と「日用品(General merchandise) 」から構成されている。

電気・家電製品には、コンピュータ、通信・家庭用電化製品、家電製品が含まれる。日用品には、主に食品・飲料・生鮮食品、ベビー・マタニティ製品、家具・家庭用品、化粧品・その他のパーソナルケア製品、医薬品・ヘルスケア製品、書籍、自動車・アクセサリー、アパレル・フットウェア、バッグ、ジュエリーが含まれる。

JD.comがサプライヤーから家電製品、その他多くの雑貨カテゴリーを含む幅広い商品を仕入れ、顧客に直接販売している。JD.comは、オンライン小売事業が年々急速に成長していく中で、仕入先と強固な関係を築いてきた。2019年12月31日現在、JD.comは2万4,000社以上のサプライヤーから商品を調達している。

全国規模のフルフィルメント能力を活用し、注文の大部分を自社で顧客に届けている。2019年には、より多くの都市、特に開発が進んでいない地域での即日・翌日配達サービスの拡大を継続し、さらなる効率化を図った。

サービス(services)

サービスは、「マーケットプレイスとマーケティング(Marketplace and marketing) 」と「物流その他(Logistics and other service)」から構成されている。

マーケットプレイスとマーケティング

JD.comは2010年10月にオンラインマーケットプレイスを開始し、それ以来、サードパーティ加盟店を継続的に追加し、グローバルブランドを含む新商品やサービスを顧客に販売してきた。

2019年12月31日現在、JD.comのオンラインマーケットプレイスには27万社以上のサードパーティ加盟店があり、顧客との取引について高い基準を設けている。JD.comは、顧客がJD.com自身またはサードパーティ加盟店から購入するかどうかに関わらず、一貫して高品質なオンラインショッピング体験を提供することを目指している。

そのために、JD.comはすべてのサードパーティ加盟店に対し、製品の真正性とサービスの信頼性に関する厳しい基準を満たすことを求め、JD.comのオンラインマーケットプレイス上でのパフォーマンスと活動を綿密に監視している。

JD.comは、自社のオンライン小売事業のサプライヤー、オンラインマーケットプレイスのサードパーティ加盟店、その他のパートナーを含む、eコマースプラットフォーム上のマーケターに様々なデジタルマーケティングサービスを提供している。AI技術を搭載したJD.comのデジタルマーケティングプラットフォームは、マーケティングサービスを利用する顧客企業に包括的なデジタルブランディングとパフォーマンスベースのマーケティングソリューション、および様々な効果的な測定ツールを提供し、ターゲットとなるオーディエンスへのリーチ、顧客の獲得と維持、収益の向上を支援しる。

また、JD.comのデジタルマーケティングプラットフォームは、オンラインマーケティングメッセージの作成、ターゲティング、入札、展開、予算配分などの自動マーケティング運用を特徴としており、マーケターはデジタルマーケティング戦略と支出を便利で効率的に管理することができる。

取り組み

オムニチャネル

JD.comでは、ますます高まる顧客の需要に応えるため、さまざまなオムニチャネルの取り組みを模索している。JD.comは、自社の強力なオンラインプレゼンス、業界のノウハウ、オムニチャネル技術とシステムを活用することで、従来のオフラインの小売業者をエンパワーすることを掲げている。JD.comはウォルマートとeコマース事業において協力し、ウォルマートとサムズクラブのECフラッグシップストアをJD.comのプラットフォーム上に開設し、フルフィルメントソリューションを提供している。中国のローカルオンデマンド小売・配送プラットフォームのリーディングカンパニーであるDada Nexus Limited(Dada Group)との戦略的パートナーシップを通じて、Dada GroupはJD Logisticsと協力し、JD Daojiaを通じて食料品やその他の生鮮品の幅広い品揃えの迅速なオンデマンド配送サービスを顧客に提供している。また、オフライン生鮮食品スーパーブランド「7FRESH」を通じてオフライン小売市場を開拓し、オムニチャネルモデルの実験を行なっている。

ビッグデータ解析・AI活用

JD.com独自のスケーラブルなテクノロジープラットフォームは、ユーザー体験を向上させ、業務効率を向上させ、Eコマース事業の成長を支えている。機械学習技術とオンラインでの購買行動から収集した膨大なデータセットを活用して、パーソナライズされた商品の推薦やターゲットを絞ったプロモーションを展開している。また、AI技術を活用して商品調達戦略を洗練させ、効率的な在庫管理とコスト管理を可能にしている。ビッグデータ分析から得られた消費者のインサイトをもとに、顧客からメーカーへの生産を通じてオーダーメイドの製品を提供し、売上の増加と顧客満足度の向上を実現している。

JD.comのサプライチェーン・サービス

JD.comはサプライチェーンをベースにした技術とサービスを提供するリーディングカンパニーとしても地位を高めている。JD.comは、製造、調達、物流、流通、販売から最終顧客への配送と、上流から下流までサプライチェーン全体を総合的にカバーしている。

小売業界におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立したJD.comは、多くのサプライヤー、ブランド、パートナーとの強固な関係を築いてきた。このような関係とJD.comの小売技術力を活用して、さまざまなサービスソリューションを提供している。また、過去10年以上にわたり、JD.comは小売事業のための拡張性と信頼性の高い物流インフラと技術プラットフォームを構築してきた。JD.comは、物流インフラとテクノロジープラットフォームを、包括的な物流サービスとテクノロジーソリューションでサードパーティに開放している。

JD.comの物流サービス(Logistics Services)

JD.comは2007年、自社独自の全国フルフィルメントインフラへの投資と構築を成長戦略の中心に据えた。2019年12月31日現在、JD.comの全国的なフルフィルメントインフラは中国全土のほぼすべての郡と地区をカバーしており、JD Logistics Open Warehouse Platformの下で管理されている倉庫スペースを含め、89の都市に約1,690万平方メートルの総床面積を持つ700以上の倉庫のネットワークを有している。また、2019年12月31日現在、13万2,200人以上の配送担当者と4万3,700人以上の倉庫担当者を擁している。
JD.comのフルフィルメントインフラは、インテリジェントハードウェア、ロボティクス、音声認識、コンピュータビジョン、ディープラーニングなどの独自のスマートロジスティクスおよび自動化技術によって支えられており、業務効率を継続的に向上させることができる。物流ネットワークと関連するデータフローを完全に制御することで、JD.comは業務を最適化し、プロセスをモジュール化することができるため、拡張性と効率性を確保することができる。

JD.comは、自社のオンライン小売事業だけでなく、サードパーティ加盟店やパートナーにも、JD.comの優れた物流インフラを開放している。個人ユーザーだけでなく、様々な業界のパートナーにも物流サービスを展開している。倉庫管理、保管、長距離輸送、特急・オンデマンド配送、コールドチェーン・クロスボーダーサービスなど、物流業務のほぼ全ての側面に関わるサービスを提供している。また、顧客が物流業務のワークフローを透明かつ効果的に監視、管理、最適化できるように、物流業務のためのテクノロジーソリューションも提供している。

先進テクノロジー開発(Retail Technology Services and Other Technology Initiatives)

JD.comは、自社のリテールデータ、インフラ、テクノロジーを活用して、リテール能力を商品化し、小売業界のブランドやパートナーに提供するサービスを提供している。このようなサービスを通じ、当社はパートナー企業と共に、より高度で包括的な小売エコシステムを構築し、いつでもどこでも、より多くの消費者にリーチし、サービスを提供することを可能としている。

JD.comはテクノロジーサービスプラットフォーム「Kepler」を運営しており、パートナー企業がサードパーティチャネルのトラフィックを活用してオンライン小売を行うための包括的なサービスを提供している。例えば、ブランドがテンセントのWechatでミニプログラムを立ち上げることを支援し、ミニプログラムの作成、商品の選択と価格設定、デジタルマーケティング、在庫管理、フルフィルメント、顧客サービスなどのワンストップサービスを提供している。このようなサービスは、オンライン小売の経験があまりないが、新興のモバイルインターネットチャネルで売上を伸ばしたいと考えているブランドにとって、特に価値のあるものとなっている。また、AIとビッグデータを活用した予測分析により、従来のブリック&モルタルの小売業者に対しても、最適な在庫レベルで在庫を管理しながら、現地の消費者の嗜好に基づいた商品選択を推奨することで、オフライン店舗の運営を最適化するサービスを提供している。

JD.comは、AI、ビッグデータアナリティクス、クラウドコンピューティングの3つの主要分野において、サプライチェーンベースの堅牢な技術を開発してきた。JD.comには世界クラスの科学者とAIエンジニアの大規模なチームがある。JD.comの技術成果は世界的に高く評価されており、顧客にクラス最高のサービスを提供し、業界で最も信頼される技術サービスプロバイダになるよう努めている。例えば、2018年4月にはクラウドベースのAIインフラストラクチャで構成されるスマートサプライチェーンプラットフォーム「NeuHub」を構築した。また、JD.comのビジネスやエコシステムに適用可能な多くのユースケースをサポートするアプリケーションレベルの製品や、業界や政府機関を超えた顧客も含まれている。

JD.comの新規事業(Other New Initiatives)

JD.comは、サプライチェーン、物流、技術などの独自の能力をベースに、海外事業やヘルスケア関連事業など、さまざまな新しい取り組みにおいても、積極的かつ慎重に成長機会を探っている。2019年11月、JD.comのヘルスケア子会社である「JD Health」はシリーズAラウンドの資金調達を完了した。


参照 Annual Report / FORM 20-F(提出日:2020年4月15日)