キリンホールディングス 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 1兆6767億3300万 円
銘柄コード 2503(市場第一部(内国株))

キリンホールディングス株式会社は、東京都中野区に本社をおく企業。1885年に麒麟麦酒株式会社の前身、ジャパン・ブルワリー・カンパニーが設立されたのが始まり。1888年にはドイツ風ラガービールを「キリンビール」の商品名で発売。1928年炭酸飲料「キリンレモン」、1986年には「キリン 午後の紅茶」を発売。ビールをはじめとした酒類や飲料を多数展開。オセアニア、ブラジル、東南アジア、中国などでも事業を展開。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

キリンホールディングス株式会社は、東京都中野区に本社を置く飲料・ビールメーカー。1885年、在留外国人によって麒麟麦酒株式会社の前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーが設立されたのが始まり。後にジャパン・ブルワリーの重役になる貿易商人トーマス・グラバー氏の尽力で、三菱社社長・岩崎彌之助氏をはじめ日本人9人が株主として資本参加した。1888年にはドイツ風ラガービールを「キリンビール」の商品名で発売。1907年2月に麒麟麦酒(株)(現・キリンホールディングス(株))として設立する。

1907年7月に東京株式取引所に上場。1928年に炭酸飲料「キリンレモン」を発売し、清涼飲料製造を開始した。1949年5月には東京、大阪各証券取引所再開と同時に株式上場を果たした。

1963年4月、自動販売サービス(株)(現・キリンビバレッジ(株))、1972年8月キリン・シーグラム(株)(現・キリンディスティラリー(株))、1976年6月には小岩井乳業(株)を設立。その後も多数の会社を設立し、事業の拡大を図っている。

また、1977年5月にはKW Inc.(現・Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.)を設立。1991年10月Kirin Europe GmbHを設立するのど、海外への事業展開も図っている。

2006年10月にキリンビバレッジを完全子会社化し、 2006年12月にはメルシャンを連結子会社とした。

2007年7月に純粋持株会社制を導入、キリンホールディングス(株)に商標変更。2007年12月には協和醱酵工業(株)に資本参加し、2008年10月、協和醱酵工業(株)とキリンファーマ(株)が合併。協和発酵キリン(株)(現・協和キリン(株))を発足した。

2019年9月には(株)ファンケルに資本参加するなど、他企業との連携を進めている。

事業内容

キリンホールディングスグループは、純粋持株会社制を導入しており、キリンホールディングスおよび連結子会社152社、持分法適用会社32社によって構成されている。キリンホールディングスは、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っている。

キリングループでは、「国内ビール・スピリッツ事業」「国内飲料事業」「オセアニア綜合飲料事業」「医薬事業」「その他」の5つの事業を展開している。

国内ビール・スピリッツ事業

「国内ビール・スピリッツ事業」では、麒麟麦酒(株)(連結子会社) を統括会社として日本におけるビール、発泡酒、新ジャンル、洋酒他酒類等の製造・販売を行っている。麒麟麦酒(株)などの計16社が携わっている。

国内飲料事業

「国内飲料事業」では、キリンビバレッジ(株)(連結子会社) を統括会社として日本における清涼飲料の製造・販売を行っている。キリンビバレッジ(株)などの計12社が携わっている。

オセアニア綜合飲料事業

「オセアニア綜合飲料事業」では、LION PTY LTD(連結子会社)を統括会社としてオセアニア地域におけるビール、洋酒、乳製品、果汁飲料等の製造・販売を行っている。LION PTY LTDなどの計66社が携わっている。

医薬事業

「医薬事業」では、協和キリン(株)(連結子会社、東京証券取引所市場第一部上場) を統括会社として医療用医薬品の製造・販売を行っている。協和キリン(株)などの計41社が携わっている。

その他

「その他」については、計49社が国内外の酒類の輸入・製造・販売などを行っている。メルシャン(株)(連結子会社) は日本における酒類の輸入・製造・販売を、Myanmar Brewery Limited (連結子会社) はミャンマーにおけるビールの製造・販売を、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc. (連結子会社) は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っている。

経営方針

キリングループは、グループ経営理念及びグループ共通の価値観である「”One Kirin” Values」のもと、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指している。

食から医にわたる領域における価値創造に向けては、既存事業領域である「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループならではの強みを生かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げた。

「ヘルスサイエンス領域」では、キリングループ創業以来の基幹技術である発酵・バイオ技術を強みに事業成長を狙う。社会課題をグループの成長機会に変えるため、持続的な成長を可能にする事業ポートフォリオを構築していく方針である。

重要成果指標としては、ROICを採用し、標準化EPS成長による株式価値向上を目指すとともに、成長投資を優先的に実施する。また財務方針は、既存事業の成長により創出した営業キャッシュフローを、安定的に配当し、規律を持って成長投資する上で、追加的株主還元への機動的なアロケーションも検討し、企業価値の最大化を図っていくとしている。

経営課題

キリングループを取り巻く環境をグローバルで見ると、「食領域」では嗜好の多様化や価格の二極化が進み、「医領域」では薬価引き下げや後発品の浸透が進んでいる。また少子高齢化や、WHO(世界保健機関)によるアルコール規制に向けた動き、肥満防止のための砂糖税の導入、超高齢社会における医療費負担の増加抑制に向けた薬価低減傾向等、キリングループの各事業を取り巻く環境は、年々厳しくなっている。

キリングループは、これらの課題解決を事業の成長機会として捉え、2020年も既存事業の収益力を強化し、新規事業の立ち上げと育成に注力する。

経営課題は、大きく「既存事業の利益成長」、「『ヘルスサイエンス事業』の立ち上げと育成」、「イノベーションを実現する組織能力の強化」の3つが挙げられる。

既存事業の利益成長

既存事業である「食領域」と「医領域」では、強みを活かせる領域や主要ブランドへの集中戦略等により、持続的な成長を目指していく。同時に、外部環境変化に耐え得る収益基盤も構築していく。さらに、キリングループ独自の研究開発力やマーケティング力、戦略的な投資を組み合わせて、顧客の潜在的なニーズにお応えする新たな価値を提供し、事業領域の拡大を図っていく。

「食領域」では、収益力の更なる強化を目指していく。キリンビールは、市場環境変化に対応し同質化競争から抜け出すため、「10年後も残るブランド」 づくりを進めていく。具体的には、主力ブランドに投資を集中したマーケティング活動と、営業現場と本社部門の協働により、『キリン一番搾り生ビール』や『本麒麟』等の主力ブランドを育成していく。また、将来の成長に向けた種まきとして、クラフトビール拡大に向けた活動の強化や、顧客のニーズを先取りしたイノベーティブな商品やサービスの開発も進めていく。

「医領域」では、国内での薬価改定や後発品上市によるリスクが課題だ。これらを低減するため、協和キリンでは、グローバル戦略3品である『Crysvita』、『Poteligeo』、『Nourianz』を成長の柱として販売を拡大している。これらの製品に続く、次期グローバル製品候補やパイプラインの開発も推進していき、さらに医薬品のグローバル安定供給体制をより強化して運用していく。「One Kyowa Kirin」体制の定着と「グローバル・スペシャリティファーマ」にふさわしい企業文化の醸成を進めていく方針だ。

「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げと育成

日本では、既に少子高齢化が進み長寿社会が到来しているが、将来的にはこうした社会変動に伴う医療費の抑制と健康寿命の延伸が、日本のみならず多くの国において大きな社会課題になると考えている。キリングループは、 創業以来の基幹技術である発酵・バイオテクノロジーに磨きをかけ、既存の「食領域」と「医領域」で培った有形・ 無形の経営資源を活用し、キリンならではの方法で社会課題の解決に取り組んでいく。この取り組みにより、社会課題に対応するソリューションを提供できると考えている。

特に、CSV(企業が社会的ニーズ・問題に取り組み、社会的価値を創造すると同時に経済的な価値も創造されること)重点課題の「健康」に関する社会課題は、「食から医にわたる領域」での重要な事業機会となる。この分野を新たな成長軸として育成することは、キリングループの持続的な成長に大きく貢献すると考えている。

まず、既存事業モデルの成長と拡大に向けて、キリングループ各社とファンケルとの商品開発やインフラの相互活用等を具体的に進めていく。顧客の不安や課題を解消することで、キリングループとファンケル双方の企業価値を高めていく。また、キリングループの資産である高機能アミノ酸、免疫、脳の働き、腸内環境に関する機能性素材を活用し、「健康」を軸に「顧客の未充足ニーズ」に応える商品やサービスも展開していく。

新規事業の創出に向けては、個別化ヘルスケア(個々人の悩みに合わせたオーダーメイドによる商品やサービスを提供することで、健康課題を解決する方法を個別に提供すること)領域への事業展開を開始する。さらに腸内環境と生活習慣病の分野で、米国の持分法適用会社であるソーンを基軸としたプラットフォーム事業の確立に挑戦する。

イノベーションを実現する組織能力の強化

イノベーションを実現する経営基盤のさらなる強化に向けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と、多様な価値観と専門性を持つ人材の確保・人材が活躍できる組織風土づくりを並行して進めていく方針を定めている。


2019年12月期 有価証券報告書(提出日:2020年3月27日)