雪国まいたけ 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 498億900万 円
銘柄コード 1375(市場第一部(内国株))

雪国まいたけは新潟県南魚沼市に本社を置く企業。1983年7月に「雪国まいたけ」を設立。まいたけの販売を開始。2000年3月に新潟証券取引所と東京証券取引所の合併に伴い東京証券取引所市場第二部に上場。2015年6月に東京証券取引所第二部における上場を廃止。2020年9月に東京証券取引所市場第一部に上場。事業内容としては、茸事業、その他事業(健康食品の製造及び販売等)を展開。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

株式会社雪国まいたけは、新潟県南魚沼市に本社を置くまいたけ等のきのこ類製造・販売企業。1983年大平喜信氏がまいたけ生産・販売を目的として創業。1986年新潟県南魚沼市余川に本社新築。1988年本社隣接地に納豆工場を新設し、納豆の製造販売を開始。同年、子会社の株式会社雪国商事を設立し、ガソリン等の販売を開始。

1990年に大平もやし店の営業権を譲受け、もやしの生産販売を開始した。1994年新潟証券取引所の地域産業育成部へ上場。2000年新潟証券取引所と東京証券取引所の合併に伴い、東京証券取引所市場第2部に上場。同年、ユキグニマイタケコーポレーションオブアメリカを設立し海外事業に進出。

2015年にベインキャピタルグループがTOBを実施。株式会社BCJ-22の完全子会社となり、東京証券取引所市場第2部における上場を廃止した。同年、株式会社BCJ-22を存続会社として吸収合併される。新社名は株式会社雪国まいたけとなる。

2020年株式会社雪国まいたけホールディングスを存続会社として吸収合併され、新社名は「株式会社雪国まいたけ」となる。2020年4月時点で株式会社雪国まいたけおよび子会社3社で雪国まいたけグループを構成している。

2020年9月、東証一部へ株式上場。

事業内容

雪国まいたけグループは、きのこ類(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム等)の生産販売および、きのこ加工食品の製造販売を主たる事業としている。また、その他事業として、健康食品の製造販売、レストラン・物産館の運営、培地活性剤の製造販売などを行っている。

雪国まいたけでは、まいたけの人工栽培に成功した後、まいたけの工業生産による安定的な生産・供給体制及び品質管理体制を構築してきた。さらに、小売事業者への直接販売を中心とした流通ルートの整備を図るとともに、そのノウハウをエリンギ・ぶなしめじの商品化に活かし、「きのこ総合企業」としての体制を確立してきた。

まいたけ

まいたけ事業では、2015年8月より販売開始した「極」ブランドが市場、小売、消費者のいずれからも高く評価されており、まいたけ(生茸)販売高の増加に寄与している。雪国まいたけの調査によれば、「極」ブランドは、旨味成分が従来品と比べて多く、濃厚で旨味・風味があり、バランスのとれたすっきりとした味わいと、従来品と比べて強い歯ごたえや弾力性を有するまいたけとなっている。

2018年度の国内生産量シェアは52%と半数以上を握っている。

エリンギ

エリンギ事業では、2017年8月より新しい菌種を導入するなど、品質改善による販売単価の向上を目指している。

2018年度の国内生産量シェアは26%。

ぶなしめじ

ぶなしめじ事業では、顧客ポートフォリオ(アイテム構成)を見直し、販売単価の向上を目指している。また、商品のパッケージリニーュアルによる生産コスト低減にも取り組んでいる。なお、株式会社きのこセンター金武は、沖縄地域での地産地消を目的にぶなしめじの生産を行っている。

2018年度の国内生産量シェアは16%。

本しめじ

本しめじ事業については、高級料亭などだけでしかなかなか食べることのできなかった「幻のきのこ」とも呼ばれ、松茸同様に難しいとされていた栽培に成功し、「大黒本しめじ」と呼ばれる、見た目の美しさと旨味成分を兼ね備えた本しめじを提供している。

2018年度の国内生産量シェアは99%にのぼる。

はたけしめじ

はたけしめじは、きのこ特有の苦味がなく、お子様にもおすすめのきのこである上、低カロリーで、食物繊維に加えビタミンやミネラルも含まれているヘルシー食材として人気がある。

2018年度の国内生産量シェアは87%。

マッシュルーム

雪国まいたけグループは、2019年10月に有限会社三蔵農林(現株式会社三蔵農林)の買収を通じて、マッシュルームの製造販売に参入した。創業45年超の歴史があり、マッシュルーム市場において高い知名度を誇る「ミツクラ」ブランドの下で、ホワイトマッシュルームやブラウンマッシュルームを展開している。

2018年度の国内生産量シェアは34%。

その他

雪国まいたけグループでは、その他の事業として、健康食品の製造(外部委託)及び販売、レストラン・物産館の運営、並びに瑞穂農林株式会社にて培地活性剤の製造及び販売を行っている。

生産の特徴

雪国まいたけグループでは、独自に開発した工業生産手法によりきのこ(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム)を生産している。生産工程は「培地合成」「植菌」「培養・育成」「収穫・包装」の4段階。こうした独自の生産手法により、雪国まいたけは安定した生産能力、収穫、そして品質を実現している。

培地合成

きのこ生産ではまず最初に、広葉樹のオガ粉と栄養添加物を独自の割合で配合して栽培の土台となる培地を作成し、高温・高圧で殺菌する。雪国まいたけグループでは、独自レシピで培地を配合し、農薬や化学肥料は一切使用していない。

植菌

「植菌」工程では、クリーンルーム管理(無菌状態に管理)した植菌室で培地に種菌を接種する。雪国まいたけにおけるまいたけの生産においては、独自に開発した菌を使用するとともに、植菌作業の自動化にも取り組んでいる。

まいたけの生産に関しては、2015年8月に従来菌に比べて環境変化への耐性が強い新菌を導入し、歩留まり向上と生産の安定化を実現している。特に、この独自に開発した新菌から収穫されるまいたけ「極」は、後述の培養・育成過程での工夫等を通じて、

①弾力性が高く歯ごたえをもたらす「茎」の部分が大きく、食べ応えがあるとともに、
②旨みと風味のバランスが良い等の特徴を有しており、

高品質なまいたけの生産の実現に繋がっている。

培養・育成

植菌が完了した後は、光、温度、湿度等の環境を制御した培養室、発生室の中で、それぞれ菌糸(菌類の栄養体を構成する糸状の細胞列)、子実体(菌類の菌糸が密に集合してできた胞子形成を行う、塊状のもの。大形のものが「きのこ」と呼ばれる。)の生長を促す。

特にまいたけでは、広大な培養室及び発生室において、天然まいたけが繁殖する深山の気候を再現した独自のデータに基づく科学的な環境管理によって、光、温度、湿度等を適切に制御し、大量生産を実現している。培養室及び発生室の広さはそれぞれ約1,350㎡であり、業界で最大の規模とされる。

また、雪国まいたけのまいたけに関しては、培地を袋に入れて培養・育成を行う手法である袋栽培を採用し、生産工程の改善を続けてきたことにより、1株の大きさが約900グラムと大型化することに成功した。これによって、後述の包装工程において、需給に応じた多様な容量の包装と商品展開を行うことが可能になっている。

なお、雪国まいたけでは、地熱利用の空調や廃棄物を熱源とするボイラー等を活用することにより、生産工程におけるユーティリティコストの低減も実現している。

収穫・包装

最後に、収穫時期を厳しくチェックし、厳格な社内基準に適合したきのこだけを収穫し、販売用に包装する。雪国まいたけグループでは、ファクトリーオートメーション(FA化)を進めており、ぶなしめじ及びエリンギに関しては、収穫・包装を含むほとんどどの工程において自動化を実現している。

まいたけについても、収穫・包装工程を中心に生産の自動化を推進している。雪国まいたけグループのまいたけは、前述のとおり、袋栽培で1株の大きさが大きいため、1株販売、500グラムから50グラムまで自由な量目設定が可能となっている。

雪国まいたけグループでは、市況や顧客ニーズに応じた柔軟なアイテム展開を行っている。その結果、価格相場に応じた柔軟なアイテム提案によりキログラム単価の最大化を可能にし、流通顧客利益増(青果部門客単価・値入アップ)と当社利益増のwin-winな関係を実現している。

まいたけの特徴

人口の多い団塊世代が後期高齢者となる「2020年問題」が話題になるなど、少子高齢化の波は確実に強くなってきている。人口減少によってあらゆる商品の需要減少が予想されるため、さまざまな業界が警鐘を鳴らしているが、雪国まいたけでは、この高齢化の波を前向きに受け止めている。

自社アンケートの結果、まいたけのヘビーユーザーは、シニア世代になるほど多くなることがわかっている。まいたけは、食物繊維等の栄養素が摂取できる食材としてメディアに露出することが少なくない。最近では、まいたけに含まれる栄養成分の健康促進効果なども紹介されるようになった。健康意識の高いアクティブシニアからの支持が強いまいたけは、需要がいっそう高まってくることが見込まれる。

雪国まいたけでは、創業来長年にわたって高品質・高生産性のきのこ製品の研究開発に取り組んできた。特に、主要製品のまいたけについては、その充実した栄養成分や健康促進効果に関して、研究成果の学会発表を行っている。雪国まいたけの研究成果等によれば、まいたけには、食物繊維、α-グルカン、β-グルカン、ビタミンD、キチン、n-ヘキサン等の栄養成分が含まれている。

経営方針

雪国まいたけグループは、新しい価値を持った商品を提供できる「食文化のパイオニア」を目指している。経営理念として、「国民生活の充実と食文化の繁栄に貢献する」「地域社会、株主への貢献と役員、社員の豊かさを実現する」「企業倫理を尊重する」を掲げている。

事業環境

きのこの国内消費量について、雪国まいたけでは、国内人口の減少傾向や少子高齢化が進む一方で、アクティブシニアを始めとする健康ニーズの高い消費者層のきのこ消費が増えることによって今後も概ね安定的に推移すると分析している。

また、特に、雪国まいたけの主力製品であるまいたけの国内消費量については、消費の地域差、消費の季節差、ジェネレーションギャップが存在し、今後の成長ポテンシャルは十分に存在している。

きのこの価格については、一部のきのこでコモディティ化が生じている一方、まいたけでは、大量生産の困難さに伴う参入障壁の高さを背景に需要過多の状態にあるため、価格は安定的に推移すると判断している。雪国まいたけグループのきのこ製品は、比較的価格が安定しているまいたけ等の「プレミアムきのこ」を中心に高いシェアを有している。

経営戦略

雪国まいたけグループは、きのこ類の量産化、流通ルートの開拓、品質管理体制の整備の強みにより「きのこ総合企業」としての体制を確立している。経営戦略として強みを活かした6点の基本戦略を掲げている。

プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤確立

まいたけ、エリンギ、ぶなしめじにて長年培ってきた生産技術・ノウハウ・販売力を他品種きのこ類にも活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤を確立していく。

まいたけで圧倒的№1の達成と維持

既存市場シェアアップ、マーケット需要創造、エリア並びにシーズン格差の解消を柱として、国内市場での高成長を目指す。

生産・包装の技術革新の追求

新生産方式の改善による収穫(培養)日数の削減、既存センターのキャパシティ最大化、きのこ事業の選択・集中によるきのこ原料の小売向け販売シフトにより、更なる効率化を追求する。

需要拡大につながる機能性、きのこ高品質化研究

健康食品・化粧品・医薬品等への原料供給にむけ、きのこの機能性研究や生産技術開発に注力し高品質きのこの製造に努めていく。

財務体質の強化

企業価値を向上させるため、財務の最適化を推進していく。

独自モデルの海外展開への準備

まいたけを中心に国内で構築した雪国まいたけグループの独自モデルを、海外へ展開していくための準備を進めていく。

対処すべき課題

近年の健康需要拡大を背景に、消費者の間できのこ類の健康促進効果に対する注目が高まり、きのこの国内消費量は増加傾向にある。健康ニーズの高まりを背景とする更なる需要創造に努める。

また、消費の地域差解消による販売拡大、消費の季節差解消による販売拡大、外食・中食への進出による販路拡大、生産キャパシティの増強による事業規模拡大を課題とし、業容拡大に努めていく。技術面では、コスト削減や省人化を通じた生産技術の向上や商品開発力の継続的な発展を通じて、生産性・収益性を高めていく。


有価証券届出書(公開時)(提出日:8月14日)