ツクルバ 事業内容・ビジネスモデル

フォロー
時価総額 138億1200万 円
銘柄コード 2978(マザーズ(内国株))

2011年、村上浩輝氏と中村真広氏が創業。
同年、コワーキングスペース「co-ba shibuya」の運営をスタート。
2012年には空間デザイン・プロデュース事業(現・シェアードワークプレイス事業)、2015年にはリノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を開始。2019年7月、東証マザーズに上場。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

ツクルバは住宅流通サービスなどを提供する企業。2011年、不動産デベロッパー「コスモスイニシア」の同期だった村上浩輝氏と中村真広氏によって創業された。同年、コワーキングスペース『co-ba shibuya』の運営をスタート。2012年には空間デザイン・プロデュース事業(現・シェアードワークプレイス事業)、2015年にはリノベーション住宅の流通プラットフォーム『cowcamo(カウカモ)』を開始。2019年7月、東証マザーズへ株式上場を果たす。

事業内容

ツクルバグループは、ツクルバ者、非連結子会社1社(株式会社マチニワ)の計2社により構成されている。ツクルバは、情報通信技術、デザインを高次に融合させることで、従来の事業展開においては実現し得なかった価値を提供すべく、「cowcamo(カウカモ)事業」「シェアードワークプレイス事業」を展開している。

cowcamo(カウカモ)事業の内容・ビジネスモデル

ツクルバはリノベーション・中古住宅流通プラットフォーム『cowcamo(カウカモ)』を展開している。『cowcamo』は、売主が掲載する物件情報を、興味があるユーザー(買主候補)に見せることで、リノベーション物件を「買うかも」しれない人とのマッチングを行うというサービス。掲載する物件には一件一件取材を行い、単なる「広さ」「価格」などのスペック(定量的)情報にとどまらない、定性的な側面を重視している。

『cowcamo』は、中古住宅流通のバリューチェーンを、テクノロジーを用いて統合している点に特徴がある。具体的には、中古・リノベーション住宅における一連の顧客体験の統合・刷新、住宅デザイン企画・メディア運営・エージェントサービスの一連のオペレーションの統合・最適化、顧客ニーズや物件のデザイン、物件の取引データなどの独自データの活用が挙げられる。

なお、cowcamo事業では仲介サービスだけでなく、顧客ニーズや物件のデータを活用した売主・事業者向け支援サービスの提供も行っている。主な収益源は、データに基づく中古・リノベーション住宅の企画提案、情報技術を用いた不動産流通の高度化等に関する助言・支援等に対する対価を「業務委託手数料」として受領している。

中古・リノベーション住宅購入における一連の顧客体験の統合・刷新

cowcamo事業では、オンラインの住宅情報流通メディアを中心に、中古・リノベーション住宅の購入体験の統合・刷新を図っている。例えば、従来の店舗やチラシ、物件情報検索サイトを通じた画一的な物件情報流通に対して、ソーシャルメディア等のチャネルに特化し、『cowcamo』は独自に撮影した画像や取材記事を中心とした「コンテンツ型メディアとしての物件情報流通モデル」を確立している。

また、会員向けに、ツクルバ独自の物件情報データベースからユーザーの嗜好にあった物件を選定・提案するネイティブアプリや、住宅購入検討プロセスにおけるエージェントとのコミュニケーションをオンラインチャット上で行うことができるネイティブアプリを相次いで開発し、多数の会員を有する住宅購入サービスへと成長している。

住宅デザイン企画・メディア運営・エージェントサービスの一連のオペレーションの統合・最適化

ツクルバは一連の業務フローにおいて自社開発したシステムを活用することにより、高い生産性と顧客満足の両立を図っている。顧客の個別的な嗜好性や住まい探しの状況を一元的に把握・管理することが可能な「顧客管理システム」、エージェントによる顧客への提案支援、顧客とのアポイントメント管理、業務の優先度管理等を支援する「業務支援システム」、顧客とのコミュニケーションを円滑化・効率化する「チャットアプリ」など、一連の業務フローが全て自社開発によりシステム化されている。

主要システムの内製化により、各々の業務プロセスにおいて高い生産性を実現するとともに、非熟練者でもオペレーションを遂行できることから事業拡大に柔軟に対応可能な組織の拡張性を実現している。

顧客ニーズや物件のデザイン、物件の取引データなどの独自データの活用

売主・事業者向け支援サービスでは、前述したメディアサービス、エージェントサービスを通じて、顧客ニーズやリノベーションのデザイン、物件、取引情報等の多数のデータを蓄積している。これらのデータを解析・活用することで、ユーザーのニーズの分析や、最適なリノベーション企画の立案、販売価格の推計等が可能となる。

cowcamo事業ではこれらを応用し、売主・事業者に対してリノベーション物件の商品企画や販売支援などの業務支援サービスを提供している。これにより、売主・事業主からの収益機会が拡大するとともに、『cowcamo』のユーザー・会員に適した物件の供給が増大し、サービス全体の価値向上に寄与している。

『cowcamo』のビジネスモデル

『cowcamo』では、中古・リノベーション住宅に特化した住宅情報メディアサービスおよびエージェントによる仲介サービスを提供しております。主な収益源は、中古・リノベーション住宅の売買に関して売手および買手から受領する「売買仲介手数料」、その他付随する手数料など住宅取引の流通総額に対して課される手数料であり、広告掲載料等は受領していない。

また、買主の要望等により、一部取引においては、在庫リスクをコントロールできる場合に限定して、ツクルバが一時的に物件を仕入・販売する取引が発生するケースがあるが(再販取引)、取引は仲介取引の割合が多数を占めている。

シェアードワークプレイス事業の内容・ビジネスモデル

ツクルバの「シェアードワークプレイス事業」では、リノベーションしたオフィス空間に様々なサービスを組み合わせ、「働く場」をサブスクリプション型のサービスとして提供している。

スタートアップや個人事業主、クリエイターなどの「チャレンジする人・組織」を主要な顧客としたコワーキングスペース『co-ba(コーバ)』、成長中のスタートアップ向けに企業の成長や変化に合わせて柔軟にオフィススペースをレンタルすることができる『HEISHA(ヘイシャ)』の2つのサービスを中核とする。

さらに、ワークスペースの仲介・設計などの受託サービスも展開している。

コミュニティプラットフォーム

『co-ba』『HEISHA』のメンバーは、オフィススペースを利用するだけではなく、ツクルバ社が運営する様々なイベント、メンバー向けのオンラインサイトにおいて、相互に交流することが可能。コミュニティプラットフォームとしての役割も果たす。

ネットワーク戦略

ツクルバはシェアードワークプレイスの自社開発だけではなく、各地において各事業者と連携することで、早期のネットワーク拡大を図っている。

シェアードワークプレイス事業のビジネスモデル

シェアードワークプレイス事業はサブスクリプション型のビジネスモデルであり、オフィスの床のみを貸し出して賃料を得る従来のオフィス賃貸とは異なり、借りる時点からすでに内装や家具が施された空間をサービスとして提供することを特徴とする。『co-ba』は月単位または一日単位でのサービス利用料、『HEISHA』では月額のサービス利用料という形で収益を得ている。

経営方針

ツクルバは、「「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。」をミッションに掲げ、「やがて文化になる事業をつくり続けるリーディングカンパニー」として、デザイン×ビジネス×テクノロジーの融合を強みとし、主に生活領域の社会課題を解決することで、これまで生み出せなかった新たな価値をつくり社会に届けていくことを目指している。

事業アプローチ

ツクルバは、主に生活領域の社会変化の兆しに着目し「デザイン×ビジネス×テクノロジー」の融合により、これまで生み出せなかった価値を社会に届けていくことを目指している。そのため、事業づくりにおいても、従来の競争型のアプローチではなく、異なる領域を“和える”編集型のアプローチにより産業を再定義していく独自の手法で事業創造を行っている。

競争型のアプローチ 編集型のアプローチ
基本的な戦略 競争優位の確立によるシェア拡大・維持 産業の再編集による市場創出
競争優位の源泉 機能やコスト面での優位性 一貫した世界観の確立による高いエンゲージメント
重視する顧客価値 経済価値・スペック 感情価値・体験
オペレーションのつくり方 競争優位につながる特定機能に特化し秀でる デザイン、テクノロジーを活用し高度なオペレーションの統合を実現
組織のつくり方 特定機能の効率的な実践が可能な統制された組織 多様な職能が共存し共創を行う組織

共創型ワークスタイルの実践

事業プロデュース、広告クリエイティブ、不動産流通、建築・空間設計、メディア運営、編集、コミュニティマネジメント、イベントプランニング、そしてITエンジニアリングに至るまで、多様な職能のメンバーがツクルバに集っている。それぞれが自分の「色」を持ちながら、所属を超えて混ざり合い、「新たな色」を生み出す共創型ワークスタイルを実践することで、デザイン×ビジネス×テクノロジーの融合を実現している。

経営戦略など

ツクルバは、主力事業である「cowcamo(カウカモ)事業」のサービス改善および組織体制の強化により事業規模を拡大させていくとともに、「シェアードワークプレイス事業」において複数の新規事業を創造することによるさらなる成長を実現させていくことを。経営戦略として掲げている。

cowcamo(カウカモ)事業の成長戦略

ツクルバは統合型の住宅流通プラットフォーム『cowcamo』の確立・拡大にあたり、「『cowcamo』が目指す流通構造の改革」「独自のポジショニング」「一連のプロセスをテクノロジーによって統合・最適化する」「ユーザーを起点とした自律的成長サイクルの実現」「顧客、データ、ノウハウの蓄積により持続的な競争優位を確立」「一貫した世界観を実現するための組織」「『cowcamo』による市場創出」「事業アセットを活用した更なる成長ポテンシャル」「⑨ リノベーション時代の住宅流通プラットフォームとしてのポジションを確立」を成長戦略として挙げている。

『cowcamo』が目指す流通構造の改革

中古住宅流通のバリューチェーンをテクノロジーで統合:
中古住宅に関する既存の流通構造では、再販事業者が売主から物件を買取り、リノベーションを施して再販する「買取/企画開発」のプロセス、不動産ポータルサイトの運営事業者が物件情報を掲載する「情報流通」のプロセス、不動産売買仲介事業者を通じて買主が中古住宅を購入する「不動産流通」のプロセスが、いずれも別個の事業者に分散して行われている。ツクルバが運営する『cowcamo』では、中古・リノベーション住宅の企画開発、情報流通、不動産流通の一連のプロセスをテクノロジーで統合することにより、一貫した顧客体験と業務の生産性向上の両立を図っている。

徹底的なユーザー視点で住宅購入の体験を革新:
cowcamo事業では、テクノロジーを用いたメディアサービス及びエージェントサービスの統合により、ソーシャルメディア等のチャネルに特化した物件との出会いの体験、独自に撮影した画像や取材記事を中心としたコンテンツ型メディアを通じた物件選びの体験、エージェントとのコミュニケーションをオンラインチャット上で行うことによる物件購入の体験等、住まい探しの初期段階から購入までの一連の顧客体験すべてをデザインすることで、住宅購入に関する顧客体験の刷新を図っている。

独自のポジショニング

ツクルバは、「cowcamo事業」において、情報解析等のテクノロジーによって、従来は独立に存在していた不動産ポータル、仲介業ならびに不動産事業者支援サービスを統合した新しいプラットフォームを確立・拡大することを目指している。

日本の住宅流通領域におけるサービスは、Web業界を出自とする不動産ポータル事業者、不動産業界を出自とする仲介事業者、またシステム・ソフトウエア業界を出自とする不動産事業者向けシステムの提供など、事業体の出自により、それぞれが独立に事業・サービスを提供し、分散されてきた。

画像名

しかしながら、ツクルバが市場機会として着目する「中古・リノベーション住宅」の「流通」においては、物件の固有性と多様化する顧客ニーズを適切にマッチングさせた上で、顧客の求める一点ものの商品を企画することが重要であり、各事業体が提供するサービスを統合した事業モデルが有効となる。

また、このような統合型の住宅流通プラットフォームを確立するうえでは、Webサービスの開発力、仲介業務の理解ならびに仲介業務を効率化する業務システムの開発力、物件情報を供給する不動産事業者とのネットワークおよび同事業者に対する業務支援サービス・システムの開発力など、テクノロジーと業務オペレーション、組織力の高度な統合が必要となり、ツクルバの事業アプローチが同業他社による類似サービスの展開に対する障壁として有効に機能している。

一連のプロセスをテクノロジーによって統合・最適化する

ツクルバは、データ(物件データ、顧客データ、デザインデータ)を中心として、一連の業務プロセスを自社開発のシステムによって統合・最適化し、エージェントの生産性を継続的に改善する方針を定めている。

業務プロセスの一例として、

  1. マーケティング:マーケティング支援ツールを用いた会員データ解析、マーケティングオートメーション
  2. 物件企画・開発:企画支援ツールを用いた査定業務の自動化、物件・デザインデータの解析
  3. コンテンツ制作:制作支援ツールを用いたコンテンツ管理、物件選定の自動化
  4. エージェント・業務支援:エージェントCRMツールを用いた顧客データ管理、顧客と物件のマッチングによる提案支援、顧客応答の自動化、エージェントアサインの自動化

といったような効率的な流れを実現している。

ユーザーを起点とした自律的成長サイクルの実現

ツクルバは、中古マンション購入における一連の顧客体験の統合・刷新等により、ユーザーのエンゲージメントを高めることで会員数の拡大を図っている。ユーザーが集まることにより、反響が集まり、早く適切な価格で売れる状態となり、それによって『cowcamo』に登録する売主が増加し、売主の増加によってユーザーが望む住宅が増える、というユーザーを起点とした自律的成長サイクルを実現しようとしている。

顧客、データ、ノウハウの蓄積により持続的な競争優位を確立

ツクルバは、これまでの事業運営において、独自の顧客基盤、データ、オペレーションノウハウを蓄積してきた。今後も独自の顧客基盤、データ、オペレーションノウハウの蓄積により、持続的な競争優位の構築を図る方針を定めている。

なお、サービス開始以降、『cowcamo』にて取材・記事掲載を行った売主・事業者数は2020年7月時点で850社を超えており、『cowcamo』にて掲載した物件の累計取扱件数は2020年7月時点で8,500件を超えている。

顧客基盤の蓄積:
cowcamoは首都圏における中古・リノベーション住宅流通プラットフォームとして多数の利用事業者数・ユーザー数を擁している。

データの蓄積:
ツクルバは、首都圏の中古・リノベーション住宅流通に関する独自のデータを蓄積している。これらのデータは、自社での取材や実際の取引に基づく統合的なデータ(物件の定性的な評価情報や内装写真等の物件固有のデータ、売出から成約にいたるまでの価格推移等の取引情報データ、『cowcamo』上でのユーザーの物件への反響行動に関するデータ等)であり、これまでも部分的には存在していたが、これらのデータを統合的に蓄積している点で、希少性の高い情報資産であるといえる。

オペレーションノウハウの蓄積:
ツクルバは、オペレーション(物件情報取得、企画・デザイン、取材・記事制作、マーケティング、顧客管理、マッチング、接客支援等)をテクノロジーを活用して統合している。一連のバリューチェーンを統合したノウハウが、同業他社による類似サービスの展開に対する障壁として有効に機能している。

一貫した世界観を実現するための組織

ツクルバの組織的な能力であるテクノロジー、オペレーション、デザインが、構想力、プロダクト力、マーケティング力を発現することで、中古住宅流通のバリューチェーンの統合による一貫した世界観が実現されるとしている。

テクノロジー:
エンジニア、データサイエンティストを中心としたメンバーにより実現

オペレーション:
営業、マーケティング、コンテンツ制作を中心としたメンバーにより実現

デザイン:
Web/UXデザインに加え、建築デザインを専門とするメンバーにより実現

『cowcamo』による市場創出

ツクルバは、『cowcamo』を通じて、中古・リノベーション住宅の適切な価格形成と生涯買い替え頻度の向上により、中古物件流通市場の活性化をリードしていくことを目指している。『cowcamo』は中古住宅の流通市場を対象としているが、「価格形成×買い替え頻度向上」により対象市場の拡大を図る方針を定めている。

なお、首相官邸『未来投資戦略2017(平成29年6月9日公開)」では、2025年までに既存住宅流通の市場規模を8兆円に倍増する(2010年時点で4兆円)ことが目標として掲げられている。

価格形成の観点:
これまでは再販時の物件価格は、リノベーション物件購入時の物件価格を大きく下回る傾向があり、リノベーション物件の履歴事項や物件の固有性が評価されず、経年での価格下落が大きかった。『cowcamo』が、リノベーション物件の流通データの蓄積によるリノベーション物件の公正な評価を実現し、一点ものの魅力を伝えるプレゼンテーションを提供することによって、「再販時の物件価格が、リノベーション物件購入時の物件価格に近づく」「リノベーション物件の履歴事項や物件固有性を評価・伝達し、経年での価格下落を緩やかにする」ことを目指す。

買い替え頻度向上の観点:
これまで住宅は、20代は賃貸、30代で持ち家を購入し、同じ住宅に住み続ける「持ち家は一生もの」という価値観が一般的であった。『cowcamo』は、ライフスタイルに応じた住み替えを促進し、流通中間コストの削減による買い替えの経済性を向上することによって、従来の価値観に囚われず、ライフスタイルに応じて住宅を買い替える価値観を提案しようとしている。

事業アセットを活用した更なる成長ポテンシャル

ツクルバでは、「cowcamo事業」の事業アセットであるデータ、デザインノウハウ、オペレーションモデル、ブランドを活用することで、収益機会の拡大と収益性の向上を図っている。

データ、デザインノウハウの横展開による収益機会の拡大:
売主・事業者向けサービス・蓄積したデータを活用し売主・再販事業者へ企画・開発を支援(供給物件の質・量の向上、収益源の拡大)

デザインノウハウ、ブランドの横展開による収益機会の拡大:
自社企画物件・デザインノウハウ、ブランドを活用し、自社企画物件を提供(流通額に対する収益性:テイクレート向上)

オペレーションモデル、ブランドの横展開による収益機会の拡大:
パートナーモデル・自社エージェントにて確立されたオペレーションモデルを横展開(事業の拡張可能性の向上、収益源の拡大)

リノベーション時代の住宅流通プラットフォームとしてのポジションを確立

ツクルバはリノベーション時代の競争原理の変化の特徴として、「自分らしい生活を志向する購入者層の増加」「ビジュアルコミュニケーションの重要度の高まり」があるとしている。ツクルバは『cowcamo』を通じて、リノベーション時代の住宅流通プラットフォームとしてのポジション確立を図っている。

従来の住宅流通産業 『cowcamo』が実現するプラットフォーム
バリューチェーン上の力点 川上(住宅の供給者) 川下(住宅の購入者)
顧客の物件選択の軸 スペック(住宅の広さ、間取り、部屋数等) ストーリー・デザイン(ユーザーの視点に立ち、住みたい街や理想の暮らしを想像できる記事)
情報流通に求められる機能 検索・絞り込み マッチング・提案
キーコンテンツ 定量情報 定性情報・ビジュアルイメージ
オペレーション 分散的 統合的

シェアードワークプレイス事業の成長戦略

ツクルバは、『cowcamo』の運営を通じて培った、テクノロジーと業務オペレーションを融合させるノウハウを活用し、「シェアードワークプレイス事業」においてもハイブリッド型の新規事業を拡大していくことを目標として掲げている。

具体的には、サービス型のワークプレイスの提供とオンライン会員サービスを組み合わせた事業展開により、従来、不動産の物理的な面積や空間のサイズに制約されていた収益モデルから、拡大可能性の高い収益モデルの実現を目指している。また、ツクルバの強みの一つであるテクノロジーと企画・設計力の融合により、各案件に個別に最適化された高効率な物件開発を実現し、前述の拡大可能性と合わせて収益性の高い事業モデルの実現を目指している。

企業価値向上に関する考え

ツクルバは、ユーザー基盤の蓄積と成約率改善による売上総利益の継続的な成長およびオペレーション最適化による営業利益率の改善並びに創出された利益の再投資による売上総利益の更なる拡大により、企業価値の向上を図る方針を定めている。

具体的には、「取引件数の増加」「取引あたり収益の増加による売上総利益の成長」と、「広告効率」「オペレーション効率等の向上」による営業利益率の改善を通じた企業価値の向上を目指している。

取引件数の増加要因

会員数の蓄積、成約率の向上、生涯取引機会の拡大等

取引あたり収益の増加要因

流通価格の適正化、テイクレートの向上、周辺領域での収益化

広告効率の改善要因

広告運用パフォーマンスの継続的改善(広告運用の内製化・最適化、顧客別のナーチャリング)、プロダクトの継続的改善

オペレーション効率の改善要因

エージェントオペレーションの型化・高度化(営業プロセスの型化と独自CRMの開発、独自ツール開発による業務プロセスの省人化)、その他オペレーションの型化・高度化

なお、「広告効率の改善」「オペレーション効率の改善」により「cowcamo事業」のセグメント利益率は継続的に改善している。

KPI・経営指標

ツクルバは、「企業価値向上に関する当社の考え」に記載の通り、売上高、売上総利益及び営業利益並びに「会員数」「取引件数」「GMV」を重要な経営指標とし、高収益事業を展開していくことにより利益率の向上を図っている。

会員数

「会員数」は、「cowcamo」に会員登録したユーザーの特定の期間の末日における会員数。一度も取引を行ったことのない会員も含まれている。

会員MAU

「会員MAU」は、特定の期間におけるMAU(特定月にサービスを利用したアクティブユーザー)の平均値。なお、『cowcamo』のアプリケーションにおける会員MAUとウェブサイトにおける会員MAUを単純に合計した数値を開示している。

取引件数

「取引件数」は、特定の期間において販売された住宅の件数の合計値。住宅の購入に関する売買契約書の締結日を基準として集計した数値を開示している。

GMV(Gross Merchandise Value:流通総額)

「GMV(Gross Merchandise Value:流通総額)」は、特定の期間において販売された住宅の流通額の合計値。住宅の購入に関する売買契約書の締結日を基準として集計した数値で、金額は百万円未満を四捨五入して開示している。

cowcamo(カウカモ)事業の経営環境

ツクルバはcowcamo(カウカモ)事業の経営環境を「市場規模」「ユーザー基盤の拡大」という観点で捉えている。

市場規模

首都圏の中古住宅流通市場は、2013年の1兆3,150億円から2018年には1兆6,616億円に拡大しており、cowcamo事業の対象市場は拡大トレンドにある。また、中古住宅流通における築年数平均は、19.61年(2013年)から21.16年(2018年)と流通物件の高齢化が進展している。

なかでも、中古マンションストックにおいては、築年数25年以上の物件の割合が31.5%(2015年)から49.5%(2025年)に達するとみられており、築年数の古い物件においては、リノベーションが実施される割合が高いことから、ツクルバがターゲットとしている中古・リノベーション住宅セグメントの流通量は拡大すると見られる。

ツクルバでは、首都圏での住宅購入においてリノベーションが普及するなかで、市場の拡大・一般化に伴ういくつかの変化を予想している。

リノベーション住宅市場の形成:
リノベーションを前提とした流通価格の形成、「安いから」中古リノベーションから「こだわるなら」中古リノベーションへという流れ。

中古住宅の流通方法の多様化:
リノベーション済住宅の購入増加や、中古住宅の購入後にリノベーション、リノベーション済住宅の購入後に追加でリノベーションを実施する顧客の増加。

中古住宅流通事業者の変化:
再販事業者の拡大、リノベーション住宅専門サイトの成長。

ユーザー基盤の拡大

ツクルバは、ユーザー基盤の拡大を軸に、収益機会の最大化と市場創出に取り組み、『cowcamo』の更なる認知拡大やプロダクトの機能向上を通じて、より多くのユーザーにご利用頂けるサービスを目指している。また、現在の営業エリアである都区部(ターゲット層人口は約150万人、うち推計中古住宅購入検討者数約40万人)から首都圏(ターゲット層人口は約440万人、うち推計中古住宅購入検討者数約100万人)への展開を通じて、一層のユーザー基盤の拡大を図っている。

都区部および首都圏のターゲット層人口:
都区部(A1)、首都圏(A2)それぞれにおける25歳以上50歳未満の人口×推計持ち家許容割合(B)×推計中古住宅許容割合(C)により算出

A1…「住民基本台帳による東京都の世帯と人口(平成31年1月)」東京都総務局統計部
A2…「人口推計平成30年10月1日現在人口推計」総務局統計部
B…「平成29年度 住宅経済関連データ 3.住宅に対する国民の意識」国土交通省 において「現在借家」の世帯のうち、今後の居住形態及び住み替え方法を「借家などへの住み替え」と答えた世帯を除く世帯の割合(66.2%)
C…「平成29年度 住宅経済関連データ 3.住宅に対する国民の意識」国土交通省 において「現在借家」の世帯のうち、今後の居住形態及び住み替え方法を「中古住宅」「こだわらない」と答えた世帯の割合(44.1%)

都区部および首都圏の推計中古住宅購入検討者数:
都区部および首都圏それぞれのターゲット層人口×5年以内に住み替えを希望する割合(D)により算出

D:「今後の住み替え・改善意向(5区分)/家計主の年齢(8区分)」総務省統計局 において、世帯主 の年齢が50歳未満の世帯のうち、5年以内に「住み替えたい」と答えた世帯の割合(23.6%)

シェアードワークプレイス事業の経営環境

東京23区のオフィスビルの空室率は2020年7月時点で1.39%と低い水準にある。「シェアードワークプレイス事業」の主要な顧客セグメントの一つである、国内のフリーランス人口は、2015年の913万人から2020年には1,034万人まで拡大している

また、政府は、働き方改革の一環として、テレワークの導入推進等の柔軟な働き方の実現を目指しており、これを受けて今後さらに働き方の多様性が高まっていった結果、シェアードワークプレイスの需要は拡大すると想定している。

事業上及び財務上の対処すべき課題

ツクルバは、既存事業の拡大、収益性の向上ならびに中長期的な成長に資する体制整備が重要であると認識しており、「サービスの知名度向上」「エージェントサービスのオペレーションの高度化・効率化」「事業開発の強化」「技術開発体制の強化」「組織体制の強化」「情報管理体制の強化」「内部統制の強化」を重要課題として取り組んでいる。

サービスの知名度向上

ツクルバは、テレビや新聞、雑誌、ラジオ等のマスメディア向けの広告は実施しておらず、これまで培ってきたWebマーケティングのノウハウを活用することにより、ユーザー、会員を獲得してきた。一方で、当面の対象市場としている首都圏の中古マンション流通市場の規模は1.3兆円と言われており、中でもリノベーション市場は今後も拡大していくものと予測される。

このため、今後のユーザー、会員獲得においては、マスマーケットにおける認知の獲得が重要であると認識しており、今後はこれまで構築してきたWebマーケティングと並行し、費用対効果を慎重に検討したうえで、テレビや新聞、雑誌、ラジオ等のマスメディアを活用した広告宣伝活動を検討していく。

エージェントサービスのオペレーションの高度化・効率化

ツクルバは、これまでに開発してきた業務管理システム、蓄積してきたノウハウにより、エージェントサービスの生産性向上とサービス品質の両立を図っている。しかしながら、今後の事業成長のためにはさらなるユーザー数の増加が必要であり、恒常的な収益性の向上を実現するためには、引き続きオペレーションの高度化・効率化が重要となる。そのため、蓄積された顧客データ・業務データのさらなる活用、業務の自動化等の施策を実施している。

事業開発の強化

「cowcamo事業」「シェアードワークプレイス事業」のいずれにおいても、早期の事業拡大のために適切な外部の事業者との連携が重要となる。そのため、取引先事業者との関係を強化し、事業開発の推進を図っている。「cowcamo事業」においては、外部パートナーエージェントの拡充によりビジネスリスクをコントロールしながらフレキシブルな成長が可能な体制を構築するとともに、他の事業者との連携を通じた物件供給及び事業者向けサービスの強化を図っている。

技術開発体制の強化

「cowcamo事業」においては、技術革新のスピードは非常に早く、類似のサービスや競合の参入が予測されるため、新規サービスの展開スピードを速めるべく、エンジニアの採用・チーム体制の整備を通じて開発体制を早期に強化している。

組織体制の強化

事業規模の拡大および成長のためには、専門性を有する人材の採用及び社員の育成及び社員への企業理念、経営方針の伝達が重要な課題となる。ツクルバは社内研修の強化、福利厚生の充実を図っていくとともに、志望者を惹きつけるような事業を展開していくことで、優秀な人材の採用強化に取り組んでいる。また、社員に対して経営ビジョン・ミッションを踏まえたツクルバの経験とノウハウに基づく研修を計画的に実施していくことで、社員の育成及び企業理念・経営方針の伝達を行っている。

情報管理体制の強化

ツクルバは、ISO/IEC27001「情報セキュリティマネジメントシステム-要求事項」に基づくISMS認証を取得しており、情報管理の徹底を図っているが、個人情報等の機密情報については、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を図っていく方針を定めている。

内部統制の強化

ツクルバの各事業が継続的に成長し、顧客に安定したサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことが重要となる。ツクルバは、組織が健全かつ有効的に運営されるように、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部統制の整備、強化を行っていく方針を定めている。


2020年7月期 有価証券報告書(提出日:2020年10月29日)