リックソフト 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 214億8600万 円
銘柄コード 4429(マザーズ(内国株))

2005年、茨城県龍ヶ崎市にリックソフト(有)として設立。
2009年4月に株式会社化し、オーストラリアのSaaS企業「アトラシアン」と代理店契約を締結。
2013年6月にはAmazon Web Servicesともパートナー契約を結ぶ。2019年2月、東証マザーズに上場。

リックソフトの事業内容は、大きく3つに分類することができる。

①ライセンス&SIサービス業務

リックソフトの売上の大部分を占めているのが「ライセンス&SIサービス業務」だ。

主に、オーストラリアのSaaS企業「アトラシアン」製のソフトウェア導入支援を行っており、クライアント企業への提案からライセンス販売までを一気通貫で行なう。

また、コンサルタントとしてのプロジェクト参画や、SI(システムインテグレーター)、研修、運用支援までトータルサービスを提供する。

顧客からの新規導入時にアトラシアンからライセンスを仕入れ、クライアント企業に対してリックソフトがライセンスを販売するような収益モデルを中心とする。翌年以降の更新時には、保守費用として、毎年クライアント企業、さらにアトラシアンとの双方との取引が発生。アトラシアンへの支払いには、パートナーランクに応じたディスカウントが適用され、最高ランク(プラチナ)を有するリックソフトにとっての強みとなっている。

扱っているソフトウェア製品としては、2009年5月にパートナー契約を結んだアトラシアンの『Jira』『Confluence』『Bitbucket』などのコラボレーションツールが代表的な製品として挙げられる。

アトラシアン製品だけで実現できないソリューションは、リックソフトがアドオンを組み合わせることで解決する。既存の導入経験からテンプレートを作成しており、短期・低コストで導入することを実現している。

もう一社、パートナー契約を2014年5月から結んでいるのが「Alfresco Software」社の製品。

製造業をはじめとするクライアント企業を対象として、同社のエンタープライズコンテンツ管理(ECM)ツールの導入を支援している。Alfrescoは、Amazon Web Serviceを活用し、およそ12億ドキュメントものコンテンツをサポートできる。

2017年3月からは、アメリカのTableau Software社ともパートナー契約を結んでいます。Tableau(タブロー)はビジネスインテリジェンスツールであり、プログラミングなしで誰でもデータ分析できることで、世界中で7.8万社超が導入している。

② クラウドサービス業務

2つ目の事業が、取扱ソフトウェア製品のクラウド環境を提供する「クラウドサービス業務」だ。

リックソフトが扱うアトラシアン製品などは、クラウド上で提供されることが原則ですが、クライアント企業のセキュリティ要件などを満たさないケースがあり、それを補うためにリックソフト自身がクラウド環境を構築して、サービスを提供するという事業となっている。

24時間365日対応のフルマネージドクラウドサービスを実現しており、ライセンス料に加えてクラウド上の運用代行費用を徴収。利用開始から毎月、売上を計上することになる。

③ ソフトウェア開発業務

リックソフトでは、単なる販売代理店というだけではなく、アトラシアン製品へのアドオン製品を自ら開発し、「Atlassian Marketplace」で海外向けに販売している。

「WBSガントチャート for JIRA」では、JIRAの一覧表示では実現できないWBSやガントチャートなどの機能をJiraに追加。こうしたアドオンは、新規購入時に、製品ごとの標準価格で販売され、翌年以降、更新される場合に一定の更新料を受け取る。

Atlassian Marketplaceでは、アトラシアン社から売上の25%の手数料を徴収される。

リックソフトの自社開発ソフトウェアは、国内だけではなく、海外69カ国に販売されていて、海外販売子会社「Ricksoft, Inc.」とも連携している。

成長戦略

リックソフトは、「世界の素晴らしいツール製品を日本のお客様へ」というコンセプトを打ち出している通り、基本的には海外の優良ソフトウェアを日本に輸入して、販売代理店として売上を上げるモデルだ。

アトラシアン製品をはじめとするSaaSは世界で急成長しており、製品自体の成長確度は非常に高い。つまり、「販売パートナー」としての優位性さえ持っていれば、リックソフトの成長確度は非常に高いとアピールしている。

リックソフトの「販売代理店」としての強みは、リックソフト自身の「開発力」にある。このことが、海外の新しいソフトウェアを「目利き」する土台となり、先行優位を生み出してきた。

リックソフト自身がアドオンを開発し、顧客に合わせてカスタマイズすることも、営業機能だけの販売代理店には実現できないサービスである。

特に、アトラシアン自身が提供するサービスではセキュリティ要件が満たせない、というケースは、日本の大企業ほど発生する可能性が高いと考えられ、そうなると「クラウドサービス業務」を提供しているのは大きな強みである。

もう1つの強みは、アトラシアン製品について先んじて取り扱ってきた「先行優位性」。

アトラシアン製品の代理店には、ランクがあることは前述した通りで、リックソフトは最上位の「プラチナ」にランクされている。全世界のパートナーランキングでも、400社以上の中で10位前後をキープしており、日本を含むアジア太平洋地域ではトップとなった。日本のエンタープライズ市場の大きさを考えても、アップサイドは小さくないと言える。

対処すべき課題

リックソフトが対処すべき課題は、国内向けに必要な技術者の確保、ソフトウェア開発者の確保、Atlassianへの依存、グローバルな事業展開の4つとしている。

1つ目の国内向けに必要な技術者の確保では、IT業業界では慢性的な人材不足が続いており、優秀な技術者を確保することは非常に難しくなってる。経営戦略として「価値ある道具(ツール)」の本質を理解し、顧客が抱える課題を解決できるソリューションを提案できる優秀な技術者が必要だが、計画通りに獲得できない課題があり、現在は技術者募集の工夫や育成で対処している。

2つ目のソフトウェア開発者の確保では、グローバル向けのソフトウェア開発ではAtlassian製品のノウハウがあり、UI/UXに優れたアプリを開発できるソフトウェア開発者が国内には少ないため、海外子会社における採用も検討している。

3つ目のAtlassianへの依存では、リックソフトグループの成長は「Atlassian製品」の市場の拡大に対し、大きく依存している。しかし、「Atlassian製品」への過度な依存は望ましくないため、中長期的には「Atlassian製品」以外の『Alfresco』『Tableau』等、ツール提供の比率を高めていく必要がある。

4つ目のグローバルな事業展開では、Atlassian社のソフトウェアは海外が先行して導入が進んでいるため、海外市場に対する「価値ある道具(ツール)」の自社開発拡大は、リックソフトグループの価値向上に貢献し重要である。これらを達成するため、製品開発並びにマーケティングとサポートのグローバル体制を強化し海外展開を加速させていく方針である。