海外EV(電気自動車) 統計情報

3社

各国のEV関連の主な政策

まずはアメリカの政策について確認すると、EVシフトを牽引している政策として有名なのは、カリフォルニア州の「ZEV規制」だ。ZEVはZero Emission Vehicleの略で、ゼロエミッション車(=排出ガスを出さない車)を表す。

カリフォルニア州は米国の中でも自動車の保有台数が多く、地理的特徴も合わさって、昔から大気汚染が深刻な問題となっていた。1943年には世界初となる「光化学スモッグ」がロサンゼルスで発生。ロサンゼルスは1920年から人口が急増し、自動車が増えて極度の環境汚染が発生していた。

1967年にはCARB(カリフォルニア州大気資源局)が設立される。「大気をきれいにすること」だけを主眼に置いた公的機関だ。1990年には、低排気ガス車両プログラムの中で初めてZEV(Zero Emmision Vehicle)規制を成立させた。

ZEV規制では、カリフォルニア州で販売する各自動車メーカーを対象に、「クレジット」を割り当てる。各自動車メーカーはEVやPHEVを販売することでこのクレジットを稼ぎ、基準値を下回ってしまった場合はCARBに罰金を払うか、クレジットを多く保有する他メーカーからクレジットを購入する必要がある。

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逆に言えば、テスラのようなEVメーカーは自分たちのクレジットが基準値を上回った際には、その余剰分を他社に販売することで利益を得ることができる。その点については以下記事で詳細を確認できる。

テスラの「排出権取引」って一体何なの?

ZEV規制が対象となる自動車メーカーは、2017年時点では年間6万台以上を販売する6社(日産、トヨタ、ホンダ、FCA、フォード、GM)だった。

ところが2018年からは年間2万台以上に引き下げられ、BMW、ダイムラー、f現代、起亜、マツダ、VWが対象として新たに加わった。さらに、2018年からZEVの対象からHEVが外れ、「EV」「FCEV」「PHEV」の3種類に限定された。

また、ZEV規制への参加を表明している他の州は増え続け、2020年12月時点でカリフォルニア州を含め12州となっている。

これによって、これまでHEVを中心としてトヨタなどの日系メーカーには逆風となっている。

次に中国では、2009年頃から、国として電動化へのシフトを推進している。例えば2009〜2012年まで実施した「十城千両」プロジェクトでは、3年間に渡って大中型1都市あたり1,000台のエコカーを導入し、2012年に中国の自動車市場に占めるエコカーの割合を10%に増やすことを目的としたものだ。

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その後、2011年に発表されたエコカー産業発展計画で、NEVの導入台数を2015年までに50万台、2020年までに500万台とする目標を掲げた。この実現に向けて、2013年には補助金政策と大都市圏での新車登録規制を導入し、NEV市場は急速に拡大した。

補助金は中央政府や地方政府から支給され、地域によっては合計で最大11万元(約200万円)が支給される。新車登録規制は、NEVを買うとナンバープレートが無料でもらえる。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載している従来車の場合、ナンバープレートはオークションで取得することになる。

この補助金政策は本来2020年末をもって終了することが予定されていたが、2022年まで延長することが決まった。(水素燃料などで動く燃料電池自動車は補助金の対象から外れる。)

これ以外にもNEV規制と燃費規制もEV市場を後押ししている。NEV規制はアメリカのZEV規制に似ていて、NEVを販売することで得られる「NEVクレジット」を一定水準まで稼ぐことを義務付けられている。

ちなみに、中国のバイク業界ではすでに劇的なEVへのシフトを遂げている。

中国中心部では、急増したバイクや自動車による大気汚染を一因に、1994年に天津でオートバイ登録禁止からナンバープレート規制が始まった。現在では中国の150以上の都市で規制が導入されている。

一方で電動バイクは「自転車と同等」と見なされていて、なんと運転免許の取得が必要ない。そのため、道路交通法などの教習もない。また、電動バイクの所有は購入時の登録番号のみで、税金や自賠責もない。

中国では1990年代の後半から電動バイクが登場し始め、販売台数は2013年をピークにやや減少傾向にあるものの、それでも年間2,000万台を超える電動バイクが販売され続けて、2018年の中国国内での保有台数は2.5億台を超えている。

日本におけるEV関連政策は「エコカー補助金」と「エコカー減税」の2つだ。エコカー補助金は、車齢13年以上の車を廃車にして新車のエコカーにすれば登録者購入の場合25万円、軽自動車でも半額の12.5万が補助金として交付される制度だ。2009年の導入時には、HEVへの買い替えにも大きく影響したと言われている。

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エコカー減税では、購入時の取得税と最初の車検時にかかる重量税を対象に、軽減措置が導入されている。また、エコカー減税に連動して、地方税である自動車税もグリーン化特例という軽減措置が導入されている。

グリーン化特例に関しては、プリウスのように燃費性能が高いHEVは、PHEVやEV、FCEVと同様の軽減措置が提供されており、HEVに有利な内容となっている。そのため、日本国内においては他国よりもHEVの普及が進んでおり、ガラパゴス化が進んでいる。

欧州各国の動きを見ると、ドイツは2030年までに内燃機関を搭載した新車の販売禁止を求める決議が可決された。フランスでは、2040年までにフランス国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表。イギリスも同タイミングで、2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表した。

各国で従来車全廃の動きはあるものの、その具体的なステップはまだ見えておらず、実現できるかどうかは疑問が残る。

そんな中、ノルウェーのEV導入は他国に先行している。ノルウェーの調査会社OFVによると、2017年1月に発売された乗用車販売台数に占めるEV、PHEVの割合が37.5%に達した。

背景には「各家庭の駐車場、公共駐車場にある充電スポット」「2025年に国内で販売される新車をすべて非ガス車にする」という2つがある。

ノルウェーは非常に寒いため、エンジン停止中の冷却水の凍結を防ぐ目的で、従来から「ブロックヒーター」という電熱器がついている。ユーザーはブロックヒーターを電源スポットにつなぐことで、予熱を行い冷却水の凍結を防いでいる。

ノルウェー国民にとって車を充電することは日常であり、かつ街中にすでに充電インフラが整っているのだ。

加えて、ノルウェーはフランスやイギリスよりも15年も早い2025年に、国内で販売される新車の100%をゼロエミッション車にする目標を掲げていて、EVユーザーを対象に、補助金をはじめ様々な優遇措置を導入している。

歴史①実は3度もあったEVブーム

現在はガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった内燃機関を搭載した自動車が主流だが、実は自動車が普及し始めた1900年頃はEVも普及していた。1900年にアメリカで生産された自動車は約4,000台で、そのうち約4割がEVだった。

たた、その後ヘンリー・フォードによって量産されたガソリン車は大幅に安価で、ガソリン車が主流の時代を迎えることになった。一方で、米国では1935年までにEVは衰退してしまった。

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最初のEVブームは1970年頃。きっかけは1970年にアメリカで制定された「大気浄化法改正法」(通称:マスキー法)と1973年に起こった「第一次オイルショック」だった。

マスキー法は大気汚染を背景とする自動車の排出ガス規制で、例えば「1975年以降に製造される自動車から排出される一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)は、1970年~71年基準から少なくとも90%以上減少させなければならない。」といった内容だった。

第一次オイルショックは、第4次中東戦争をきっかけとした原油の供給逼迫および原油価格高騰だ。特にオイルショックは、ガソリンも高騰したことで、EVへの関心が高まった。

ただし、当時の電池技術では、航続距離や速度の点で十分に実用に耐えられるものではなく、普及には至らなかった。

二回目のEVブームは1990年代。きっかけは大気汚染が深刻な問題となっていたカリフォルニア州で、前述した通りCARBがZEV規制の導入を検討したことがきっかけだった。

しかし無排ガス車の実現は自動車メーカーにとってはハードルが高く、CARBはZEV規制の施行を2003年以降に後ろ倒しにする代わりに、自動車メーカー7社に、3750台の自主的EV販売を実施する合意書を締結された。

ただ、どうしても航続距離が足りないことなどから、EVは流行らなかった。そのような状況も鑑みてCARBはハイブリッド車も台数カウントできるように規制緩和を行った。

しかし、裁判所がカリフォルニア州に対して、ZEV規制の2003年施行を禁止する命令を出したことで、カリフォルニア州は規制の修正を余儀なくされた。

こういった紆余曲折を経て、EV普及の機運は薄れていった。

3回目のブームは、「リーマンショック」後の景気回復政策によるものだった。

2008年にリーマン・ブラザーズが経営破たんしたことを契機に、世界的な経済危機である「リーマンショック」となった。GM、フォード、クライスラーの「デトロイト3」が大ダメージを受けて、2009年にGMとクライスラーは経営破綻した。

この経済危機を乗り切るために、当時のオバマ政権は「グリーン・ニューディール政策」を打ち出した。地球温暖化政策や環境関連事業に投資することで、景気回復を図る政策だ。

この政策でエコカー開発への補助が積極的に行われ、テスラや日産を始めデトロイト3もエコカー開発を推進した。

リーマンショック以前からEV普及に注力していた日産は、2010年12月にEV専用車両である「リーフ」を発売した。

しかし、アメリアで「シェール革命」が起こり、原油価格が下落。結果、EVに対するニーズが縮退し、グリーンニューディール政策で支援を受けたベンチャー企業は相次いで破産した。そして、次第にEVブームは去っていった。

歴史②富裕層向けモデルで参入!創成期のテスラ

ほぼすべての新技術に共通して、初期の製品はその最適化が行われるまで製造コストが高くつく傾向にある。これはEVも例外ではない。

テスラでは、まず初期段階でプレミアム価格を払える顧客のいる高級市場に参入し、それからできるだけ速く、新しいモデルを出す毎に大量生産、低価格化ができる市場へ進んでいく、という戦略で事業を拡大してきた。

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2003年に創業したテスラは2008年に『ロードスター』、2012年に『Model S』、2015年に『Model X』という高級車を富裕層向けに売り出してきた。

初めて売り出した『ロードスター』はスポーツカータイプのEVだった。2006年にプロトタイプを披露し、2008年から実際に販売された。当時の値段は9万8000ドル(約1090万円)〜でポルシェやフェラーリといったハイエンドブランドと競合する。

2人乗り用で、ロータス社の『エリーゼ』モデルの枠組み(シャシー)をベースに、ノートパソコン用の汎用型リチウムイオン電池を6831個搭載したモデルで、航続距離は約394km。販売台数は約2,450台と、小規模なスタートだった。

2代目の『Model S』は5人乗りの中型セダン。2009年にプロトタイプが披露され、2012年に発売された。値段は49,900ドル〜(7,500ドルの連邦税額控除を受けた場合)だった。

ロードスターでは他社の枠組みを利用していたが、Model Sは電気自動車のアーキテクチャを最大限に活用するためにテスラがゼロから設計した初のモデルだ。

ロードスターと比較すると値段は半分程度になったが、例えば同じ5人乗りのセダンであるトヨタの高級車『クラウン』は税込489万9,000円〜なので、価格帯でいえばModel Sも依然として高級車であることには変わりない。

バッテリーパックオプションは40kWh、60kWh、85kWhの3つがあり、85kWhでは航続距離は約426.5kmを提供していた。

また、テスラの自動車の大きな特徴としてインターネット経由で車体制御のソフトウェアをアップデートできる点がある。購入後、ディーラーに持ち込むことなく機能をアップデートすることができる。

Model Sも、発売後にいくつものアップデートが行われた。

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3つ目のモデルとなった『Model X』は2015年9月に発売された7人乗りSUVで、ファルコンウィングのドアが特徴的だ。値段は13万2000ドル〜。1回の充電での最大航続距離は約413kmだった。

また、オートステアリング、自動車線変更、オートパーキングなどを含む「オートパイロット」機能が標準搭載された。同年10月にもアップデートによりModel Sにもオートパイロット機能が搭載された。

これに先んじて、実はテスラでは1年前の2014年10月以来、自動運転技術を徐々に追加することを可能にするハードウェア(フォワードレーダーや長距離超音波センサーなど)をModel Sに装備し始めていた。

電子制御で動く自動運転は、走る・曲がる・止まるという統合的な車両制御を電子制御で行っているEVとの親和性が高い。

テスラは、ハードの面ではバッテリー性能などを上げながら、ソフトの面でも自動運転制御などのアップデートを行うことでプレミアム価格で高性能なEVという立ち位置を確立させていった。

歴史③量産型モデルで事業拡大を図るテスラ

2018年以降になると、テスラは量産型モデルの提供を本格的に始めた。

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量産型としての初めてのモデルは、2018年に納車を始めた『Model 3』だった。Model 3の価格は約400万円。Model 3はコンパクトSUVで、最も安価なグレードは3万5千ドル(約400万円)に収まった。

納車は2年待ちとなる見通しにもかかわらず、16年3月末の予約開始直後には1週間で32万5千台を超える注文が殺到した。

大量生産では、当たり前だか「効率よく」「多くの工場を稼働」させることが重要だ。

効率の面ではロボットによる生産の自動化がポイントになってくる。イーロン・マスク氏は組み立て工程を含む完全自動化で自動車生産に革命をもたらすと息巻いていたが、生産現場ではロボットによる生産自動化などが難航した。

当初は17年末としていた「週産5千台」の目標達成時期を2度延期した。18年4月ごろからは「行き過ぎた自動化は間違いだった」と発言するようになり、一部の工程では自動化を一時的に断念し、人手を活用することで生産を上積みする方針に転換した。

工場については、テスラ最大のフリーモント工場が稼働している他、中国の上海に設立した工場でも、Model 3の生産を行っている。

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テスラが米国外に工場を設けるのは初めてで、年50万台の生産を目指す。EV最大市場である中国での販売を拡大すると同時に、過熱する米中間の貿易摩擦の影響を現地生産により回避する狙いもありそうだ。

調査会社の英LMCオートモーティブによると、テスラの17年の中国販売は約1万5千台と世界販売の約15%を占める。ただ全量が米国からの輸出。米中双方が6日に発動した25%の追加関税を受け、テスラは中国で3割程度の値上げに踏み切った。

その他、ベルリンやテキサスでも工場の建設が進んでいる。

大量生産に向けた工場を各国に作ることで製造から販売までの期間を短くし、キャッシュフローを改善させる狙いがある。早く作って早く売ることで、早く利益が生まれ、その結果キャッシュフローが改善される仕組みだ。

そして、2020年9月22日、イーロン・マスク氏は、3年後を目処に2万5千ドル(約260万円)の新型車を発売すると発表した。現行のモデル3より3割も安くなる。

秘策は、EVコストの約3割を占めるとされるリチウムイオン電池の内製化だ。電池の中核部品「セル」も内製化することでコスト削減を加速させる。

テスラではパナソニックに加えて、20年に入って中国CATL(寧徳時代新能源科技)や韓国LG Chem(LG化学)とも調達契約を結んでいたが、製造コストを抑えるためには内製化に踏み切ったものと考えられる。

2030年には3TWhもの生産能力を自社で抱える計画で、年間2000万台の電気自動車(EV)を製造できる体制の構築を目指す。

電池の内製化を機にテスラが狙うのが、EV市場の「プラットフォーマー」だ。電動化技術だけでなく、自動運転技術や車載電子基盤などを含めて、広く他社に外販する考えだ。

「ソフトウエアのライセンス供与や、パワートレーン・電池を他社に供給する用意がある」。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は20年7月28日、自身のTwitter(ツイッター)でこう宣言していた。

歴史④中国EVの台頭

中国では、テスラ同様の高級路線のNIOや、低価格帯の上海通用五菱汽車が人気だ。

直近5年間に誕生した中国の新興EVメーカーは一気に50社を超えた。背景には、前述した中国政府の政策による追い風の他に、EVの部品点数が関係している。

ガソリン車やディーゼル車に使われる部品点数は約3万点あるのに対して、EVの部品点数は約1万点にすぎない。部品点数が3分の1に減っている大きな理由は、EVではエンジンが電池に置き換わるからだ。

タンク、点火プラグ、マフラー、変速機など、従来車にある多くの機能が不要になる。部品点数が少ないということは、従来車と比較した場合に相対的に参入障壁が低く、新規プレイヤーが参入しやすい状況を生み出す。

新興EVメーカーがしのぎを削り群雄割拠の状況かと思いきや、まだまだ研究開発や試作段階の企業が多く、結果を残せているEVメーカーは実はそう多くない。

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2020年1月〜7月の販売台数(登録ベース)は、販売台数が3,000台を超えた新興EVメーカーは5社のみとなっている。新興EVメーカーとしての首位は「NIO」で1万7628台だった。

2位のLi Auto(理想汽車)は1万2184台、3位のXpeng Motors(小鵬汽車)は8185台と、IT企業から参入した3社が新興EVメーカーの上位を占めている。

NIOは、自動車販売サイト「易車」(Bitauto)の創業者ウィリアム・リー(李斌)氏が2014年に設立した会社だ。2014年設立時はNextevの社名で始まり、2017年7月に現在の社名である「NIO」に改称された。

ウィリアム・リー氏は「中国のイーロン・マスク」と称されていて、NIOもテスラと同じ高級EV路線だ。

2018年6月に一般向け納車を始めた『ES8』モデルは最大7人乗りSUVで、当時の航続距離は約350km、価格は46.8万元(約740万円)〜。「高価格帯のSUV」というポジションでテスラのSUV『モデルX』がライバルとなっている。

また、同年9月にはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を果たした。

そして、2つ目のモデルとなる『ES6』は2019年3月に納車を開始した。ES6はES8よりも小型な5人乗りSUVで、値段は35.8万(約570万円)〜でこちらも同じく高級車路線だ。

ES8の納車、ニューヨーク証券取引所への上場、ES6の納車をわずか9ヶ月間で実現させて華々しいスタートをきったNIOだったが、その後は厳しい状況が続いた。

発火事故により2019年6月下旬に約4800台のES8をリコール、さらに同月に中国政府の補助金削減もあり、NIOは2019年夏に人員削減に追い込まれるなどした。

一時は経営危機も危ぶまれたものの、2020年5月には納車(販売)台数が過去最高を更新、8月にはバッテリーのサブスク『NIO BaaS』を始めるなど、中国を代表するEVメーカーに返り咲いた。

NIOがプレミアムEV路線を推し進める中、超低価格EVで人気を博しているブランドもある。中国自動車大手「上海汽車」とゼネラルモーターズの合弁会社「上汽GM五菱」が展開する『宏光MINI EV』の販売価格は2万8800元(46万円)で、破壊的な安さだ。

2020年7月24日の発売から20日間で1万5000台を販売した。同年8月の新エネルギー車のメーカー別販売台数は、上海通用五菱汽車(1万8,300台)が、BYD(1万4,300台)やテスラ(1万1,800台)を抑えトップとなった。

「宏光MINI」は2ドアで、後部のシートを立てると4人乗れる軽乗用車タイプのEVだ。航続距離は120キロと比較的短く、最高速105km/hというスペック。50万円を切るEVが人気を博す背景には、電動スクーターからのアップグレードがある。

中国の政策の中で紹介したように、中国国内では多くの人が電動バイクを保有している。彼らにとって「安全性が高まり、風雨を防げる手頃なEV」は日常の足として魅力的に見えるはずだ。


参考文献

決定版 ECシフト 100年に一度の大転換

新エネ車補助金は2022年まで延長、FCV支援はサプライチェーン構築に軸足を移す

中国の電動二輪車の保有台数2.5億台超、交通安全の法整備も

ノルウェーが電気自動車で快挙、シェア4割へ

テスラ、「生産地獄」を脱出 新型車の量産が軌道に

中国の「新興EVメーカー」生き残りに必要な条件

世界最大のEV市場を制するのは? Nio ES8とテスラ モデルXを比べてみた