損保Travelers、訴訟との戦いにAIを投入「払うべきものは払う」

The Travelers Companies, Inc.

保険会社にとってAIは、販売を奪われる脅威として語られることが多い存在です。ところが損害保険大手のTravelersは、2026年7〜9月期の決算説明会で、AIを「訴訟に対抗する武器」として語りました。弁護士のついていない請求者には自分で解決できるデジタルツールを渡し、弁護士がついた案件には数百ページの資料をAIに読ませて反論を組み立てる。そのうえで「払うべきものは払う」と繰り返しました。

一方で、MetaのAIアシスタント「Muse」が保険の見積もりを代行し始めたことについて聞かれると、経営陣の答えは冷静でした。ネットで完結して売れている保険は何か、AIで浮いたコストはどこに行くのか。説明会でのやり取りから、Travelersが描くAI時代の損保像を追います。

AIで損失の曲線を曲げる

Travelersは、増え続ける訴訟コストに対して「損失の曲線を曲げる」と踏み込みました。アラン・シュニッツァーCEOは、賠償責任保険や自動車保険などの責任分野が損失コストの大きな割合を占め、訴訟の増加が上向きの圧力をかけ続けていると説明しています。そこでAIと行動科学を組み合わせた独自の請求対応を整備し、「これまでできなかったことができるようになった」と述べました。

最初の仕掛けは、弁護士のついていない請求者向けのデジタルツールです。シュニッツァーCEOは「共感、教育、エンパワーメントという単純な哲学に根ざし、それを体験に直接組み込んだ」と説明しました。試験導入では、ツールを提供した請求者の8割超が実際に使い、全体の結果は「非常に心強い」といいます。争う前に、請求者自身が納得して解決できる道を用意する発想です。

続きを読むには

Strainerプレミアムに
ご登録いただく必要があります。

初回30日間無料体験実施中!

無料で続きを読む
または

人気記事