WD-40(WDFC)創業73年の「青と黄の缶」、増収24%と原料高のはざまで次の事業モデルへ

WD-40 Company

WD-40カンパニー(ナスダック:WDFC)は、米カリフォルニア州サンディエゴに本社を置く潤滑・防錆製品の会社です。主力の「WD-40マルチユース・プロダクト」は青と黄の缶に赤いキャップの外観で知られ、176を超える国・地域で販売されています。

同社は自らを製造業ではなく「グローバル・マーケティング組織」と位置づけ、生産の大半を外部に委託しています。2025年8月期の売上高は6.2億ドルで、その95%超をメンテナンス製品が占めました。

足元では業績が加速しています。2026年3〜5月期の売上高は前年比24%増の1.95億ドル、営業利益は47%増の4030万ドル。一方で、中東情勢を受けた石油系原料の高騰、家庭用品事業の売却断念、CFO交代を含む経営陣の刷新が同時に進んでいます。同社は2027年8月期から、新たな事業モデルの枠組みに移行する計画です。

40回目の試作から生まれた「青と黄の缶」

WD-40の起源は、1953年に設立されたロケット・ケミカル・カンパニーにさかのぼります。創業者の一人であるノーム・ラーセン社長ら3人の小さなチームが、サンディエゴの研究室で航空宇宙産業向けの防錆溶剤と脱脂剤の開発に取り組みました。

水置換(Water Displacement)の配合は40回目の試作で完成し、実験ノートの記載がそのまま製品名に。最初の商用顧客は航空宇宙企業のコンベアで、アトラス・ミサイルの外板を錆から守る用途に使われました。

製品が家庭に広がったきっかけは現場の従業員でした。コンベアの従業員が弁当箱に缶を忍ばせて自宅に持ち帰るほど、製品は評判を呼びました。ラーセン社長はこれを受けてエアゾール缶への充填を試み、1958年にサンディエゴの店頭に初めて製品が並びました。

1970年にはジョン・バリーCEOが就任し、社名を製品名であるWD-40に改めました。1995年には英レキット&コールマンから「3-IN-ONE」オイルを買収し、製品の幅を拡大。1997年に就任したギャリー・リッジCEOのもと、ラバ、ソルボル、X-14、2000フラッシーズ、カーペットフレッシュ、スポットショットなど家庭用洗浄ブランドの買収が相次ぎました。

2000年代以降は「プレミアム化」とブランド拡張が軸になりました。同社は2005年に赤いストローが本体から外れない「スマートストロー」、2011年に専門職向けの「WD-40スペシャリスト」、2015年に曲げた形を保つ長いストロー付きの「EZ-REACH」を投入。2008年には海外売上高が初めて全体の50%を超え、2018年には売上高が4億ドルを突破して中国が世界3位の市場になりました。

工場を持たずに176カ国・地域へ届ける仕組み

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