米IRENは、AI向けデータセンターを運営するインフラ企業です。もともとオーストラリアでビットコインマイニング企業として創業し、現在は米ナスダックに上場しています。土地やデータセンター、GPU等を自社で保有する垂直統合モデルが特徴。テキサス州やカナダのブリティッシュコロンビア州などで5ギガワット超の電力接続を確保しています。
同社は8月27日、2026年6月期の決算を発表しました。契約済みの年間経常収益(ARR)は40億ドルに到達し、うち10億ドルがすでに稼働しています。マイクロソフト向けの大型データセンター「Horizon 1」の引き渡しも完了しました。直近3カ月では、GPUを担保とする融資で65億ドルを調達しています。

決算説明会で最も時間が割かれたのは、資金調達の話題でした。IRENは直近3カ月で65億ドルのGPU融資を確保しています。マイクロソフト契約に紐づく36億ドルは、加重平均で約6%の金利です。投資適格の顧客契約を裏付けとする、低コストの調達といえます。
注目すべきは、投資適格の裏付けがない案件でも資金が集まっている点です。同社はカナダのマッケンジー拠点向けに28億ドルの機器融資を確保しました。うち24億ドルは大手運用会社のBlue OwlとPIMCOが主導し、金利は9%固定です。この融資はGPU設備投資の90%をカバーします。

アンソニー・ルイスCFOは市場の変化を具体的に説明しました。GPU融資は当初、プライベートクレジット主導でミドルティーン(15%前後)の利回りが求められる商品だったといいます。それが現在、投資適格では6%程度まで低下しました。参加する資金の裾野も、プライベートから公開市場まで広がっています。
ダニエル・ロバーツ共同CEOは不動産市場との類比で語りました。「テナントが決まったオフィスビルがローンを組めるか、誰も疑問に思わない」という趣旨の説明です。不動産では資本スタックの形成に10年を要したのに対し、AIインフラでは数カ月から数四半期で同じ構造ができつつあると指摘しました。契約済みのキャッシュフローと実物担保という条件が揃っているためです。
資金調達のもう一つの柱が、顧客からの前払い金です。直近の契約では、前払いがGPU設備投資の45〜55%をカバーしています。90%のGPU融資と合わせると、調達額はGPUのコストを上回る計算になります。余剰分はデータセンター本体の建設投資に回っています。