米CoreWeave(コアウィーブ)は、AI向けに特化したクラウドインフラを提供する企業です。NVIDIA製GPUを大規模に調達し、データセンターごとAI開発企業に貸し出す事業を展開しています。2017年にニュージャージー州で創業し、2025年3月にNasdaqへ上場しました。自らを「The Essential Cloud for AI(AIにとって必須のクラウド)」と称しています。
2026年4〜6月期の売上高は25.8億ドルで、前年比112%増。受注残高は約1040億ドルに達し、OpenAI、Meta、Anthropic、Googleという主要AI開発企業のすべてを顧客に抱えます。一方で同期の純損失は6.26億ドルに拡大しました。2026年の設備投資計画は350億〜390億ドルと、通期売上見通しの約3倍に相当します。

CoreWeaveの創業者たちは、IT業界の出身ではありません。マイケル・イントレイターCEOはカーボンクレジットの取引で経歴を積み、2013年にブライアン・ベンチューロ氏と天然ガスのヘッジファンド、ハドソン・リッジ・アセット・マネジメントを共同創業しました。
2人は2016年、副業としてマンハッタンのオフィスにGPUを持ち込み、イーサリアムのマイニングを始めます。1枚から始まったGPUは、すぐにオフィスのビリヤード台を埋め尽くしました。
2017年、暗号資産価格の急騰を背景に、2人はトレーダー仲間のブラニン・マクビー氏らを加えて事業を法人化します。同年9月にAtlantic Cryptoを設立し、増え続けるサーバーはニュージャージー州のガレージに移されました。マイニング対象にイーサリアムを選んだのは、専用チップ(ASIC)ではなく汎用性の高いGPUで参入できたためです。用途を固定しない資産を積み上げたことが、後の転換を可能にしました。
2018年の暗号資産暴落は、同社にとって転機になりました。撤退するマイナーが投げ売りするGPUを「二束三文で」買い集めたのです。GPUは数万枚規模に膨らみ、施設は7拠点に拡大。イーサリアムのマイニング収入は累計約8000万ドルに達したと推定されています。下落局面で安く仕込むトレーダーの行動様式を、ハードウェアで実践した格好です。
結果として同社は、米国でも有数の民間GPU在庫を抱えることになりました。ただし当時、この巨大な計算資源の主な用途はまだマイニングでした。この在庫を何に振り向けるのか。その答えを探すことが、次の経営課題になります。
2019年、同社は社名をCoreWeaveに改め、保有GPUを貸し出す事業へ転換しました。最初の顧客層はVFXやアニメーションのレンダリングでした。資金面では当初シリコンバレーのVC調達に苦戦し、東海岸のデット(借入)市場に活路を求めます。
2022年11月のChatGPT公開を境に、AI向け計算需要は爆発します。大量のNVIDIA製GPUを即座に提供できる同社に需要が殺到し、売上高は2022年12月期の1600万ドルから2023年12月期に2.29億ドル、2024年12月期には19.2億ドルへ拡大しました。牽引したのはMicrosoftで、2024年12月期には1社で売上の62%を占めます。