AIブームで脚光を浴びるのは、NVIDIAのようなチップの作り手です。しかし、データセンターはチップだけでは動きません。それを差すサーバーや、熱を逃がす冷却装置、電気を配る電源——こうした設備一式(AIインフラ)を組み立てる裏方が要ります。
他社に代わって電子機器を作る受託製造で世界大手のJabilが発表した2026年3〜5月期決算は、売上が前年比12%増の88億ドルとなり、その裏方にAIの果実が大きく落ちていることを映しました。
マイク・ダストアCEOは、AI関連の需要が「極めて強い」と述べ、通期の見通しを引き上げました。同社のAI関連の売上は、2026年8月期に約50%増える計算です。ただ、より目を引くのはその伸び方です。普通なら巨額の設備投資を伴うはずの規模拡大を、同社は工場を抱え込まずに進めています。

牽引役はAIですが、変化はそこだけではありません。長く逆風が続いていた事業にも、潮目の変わる兆しが出ています。AIに沸く一方で、なぜかその波に賭けすぎない——そんな経営の判断も決算からにじみます。
巨大なAIインフラを量産しながら、なぜJabilは工場という重荷を背負わずにいられるのか。その答えの先には、AIブームの果実が誰に落ち、製造の拠点が次にどこへ動くのか、という大きな問いが控えています。