「本当に良いものは、大量には作れない」。多くの人が当たり前としてきたこの感覚に、ある高級家具ブランドが挑もうとしています。アメリカでソファやテーブルを手がけるRHが発表した2026年2〜4月期決算は、売上が8.0億ドルとなり、通期見通しも上方修正しました。今回、数字以上に大きいのは、RHが掲げた一つの宣言です。
RHのゲイリー・フリードマン会長兼CEOは、業界が長く抱えてきた分断を指摘します。「趣味の良さを持つが規模を持たない者と、規模を持つが趣味の良さを持たない者がいる」。世界の高級インテリア市場は半世紀、この線引きを当然としてきました。RHは今、その境界そのものを消そうとしています。
RH Estates
その役割を担うのが、今年から各店舗へ広げる新ブランド「RH Estates(エステーツ)」です。これまで一部の人しか手にできなかった最高級の家具を、広く一般の消費者へ届ける試みです。フリードマンCEOによれば、価格はむしろ上がります。それでも、かつてない価値があるといいます。
相反するはずの「高級」と「量産」を、RHはどんな仕組みで両立させるのでしょうか。その勝負を仕掛けるのは、住宅市場が4年以上も冷え込み、家具が最も売れにくい局面です。守りに入る同業をよそに、RHはなぜ今、最も大きな賭けに出るのでしょうか。