9年間セールに頼らずに伸びる——Ralph Laurenの売上が落ちない理由

Ralph Laurenが2026年5月21日に発表した2026年3月期決算には、アパレル業界の常識を覆す数字が並びました。米国で関税負担がピーク水準に達し、世界の消費も鈍化するなか、通期売上は初めて80億ドルを突破。全地域・全チャネルで増収を達成し、粗利率はむしろ拡大しています。

パトリス・ルベCEOは「我々は攻めの姿勢を続ける」と述べ、ブランド再投資を緩める考えはないと強調しました。冬季オリンピックや海外ファッションショーへの集中投資を続けながら、新規顧客の獲得も加速させています。広告費を増やし続けながら利益率も改善するという、業界では珍しい両立構造が成立しています。

成長を支えているのは複数のパラドックスの重なりです。欧州勢が苦戦する中国市場での逆行的な伸び、値引き前提のアウトレットで進む単価上昇、価格感応度が高いはずの若年層の継続的な取り込み——いずれも業界一般の動きとは逆方向に進んでいます。経営陣はファッショントレンドを追わない一貫方針の成果だと説明します。

米国の関税は2027年3月期下期から再び上振れる可能性があり、欧州ではエネルギー価格や消費停滞、中東情勢の影響も重なります。それでも経営陣は値下げに頼らない方針を継続し、マーケティング投資はさらに引き上げる構えです。業界の常識と逆を行く設計は、なぜ成立し、どこまで続くのでしょうか。

9年連続の単価上昇——客層シフトという長期戦

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