2026年4月14日、JPモルガン・チェースの第1四半期決算説明会で、最初にアナリストが質問したのは市場予想を上回った業績でも、好調なトレーディング業務でもありませんでした。取り上げられたのは、同行がまだローンチすらしていない一つの新機能についてでした。
その名は「AIキャッシュツール」。顧客の普通預金に滞留する現金を、AIが自動的により利回りの高い商品へ動かす手助けをする仕組みです。ここで奇妙なのは、この機能が成功すればするほど、JPモルガン自身の預金マージンが削られるという点にあります。
質問に答えたCEOのジェイミー・ダイモン氏は、回答の途中でアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏の有名な言葉を引用しました。「あなたのマージンは私のチャンスだ」。しかも同氏はこの攻撃的な哲学を、競合ではなく自社自身に向けて語ったのです。

業界の王者が、なぜ自らの利益源を先回りして削りにいくのか。その答えは、預金競争がもはや金利の勝負ではなく、顧客の資金配分の意思決定そのものを巡る戦場へと移行しつつあることを示唆しています。同四半期の数字を読み解きながら、JPモルガンが描く次の10年の設計図を追ってみます。