モーダルシフトやドライバルクなど!直近3ヶ月で株価が上昇した物流・運輸5社にみる経営戦略
この記事では、直近3ヶ月で株価が大きく上昇した物流・運輸関連の企業から、5社をピックアップして紹介します。5社の事業内容を紐解くと、株主還元や将来の効率化に向けた投資を同時に進める様子が見えてきます。一方で、その利益の源泉は新幹線の旅客輸送からグローバルな貨物輸送など多岐にわたります。各社の具体的な動向を見ていきましょう。
まず1社目は、海運業を主軸に多角化を進める栗林商船(9171)です。1919年に株式会社として設立され、現在はホテルや不動産事業も含む多角的な事業を手がけています。

現在の主力事業は、RORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま輸送する船)を用いた内航・近海海運事業です。2025年10月からは運航体制を6隻に拡充するなど、主力の海運業に力を入れています。加えて、北海道登別市でのホテル運営や、北海道室蘭市を中心とした不動産賃貸事業といった安定収益源も確保しているのが特徴です。
そんな栗林商船の株価は9月22日に転機を迎えます。この日、通期の業績予想の上方修正や自己株式の取得、投資有価証券の売却といった複数の発表を同時に実施。それまで1,100円前後で推移していましたが、その後株価は上昇し、10月2日には一時2,070円を記録しました。

業績予想の上方修正は、当第1四半期の好調な業績動向に加え、投資有価証券の売却(特別利益)を織り込んだことによるものです。事業環境では、海運事業がモーダルシフトや貨物輸送の堅調さから増収・増益となりました。
この好調な事業環境と並行して、同社は資本効率の向上を目的とした約17.7億円の投資有価証券売却や、機動的な資本政策を目的とする約2億円の自己株式取得もあわせて発表しました。
次に紹介するのは、総合物流事業を手がける丸運(9067)。1892年創業の老舗企業で、ENEOS株式会社を主要顧客とし、ENEOSグループおよびJX金属グループと安定的なビジネス関係を持つ物流会社です。