M&Aで読み解くリクルートの進化:国内人材会社から世界的HRテック企業への軌跡
世界有数のHRテクノロジー企業として知られるリクルートホールディングス。その事業ポートフォリオは、M&Aを通じて大きく変遷してきました。
国内の人材サービス会社から、いかにして世界的なプラットフォーマーへと事業内容を変化させてきたのでしょうか。本稿では、2000年代から現在に至るリクルートのM&Aの軌跡を、戦略的な「フェーズ」に分けて読み解いていきます。
一つひとつのM&Aには、どのような目的が公表されているのでしょうか。リクルートの事業ポートフォリオの変遷を、M&Aを軸に見ていきましょう。
2000年代のリクルートは、ノンコア事業の譲渡と、祖業である人材サービス事業への投資を並行して進めました。この時期のM&Aは、事業ポートフォリオの再編を実行する動きとなりました。
「選択」の側面では、ノンコア事業の整理を実行。2003年の岩手ホテルアンドリゾート(ホテル事業)の譲渡目的は「主力事業である情報関連事業に経営資源を集中するため」とされています。
2005年には不動産事業を手掛けていたリクルートコスモスの経営権をユニゾンへと移行。さらに、リクルートビジュアルコミュニケーションズ(映像制作、2007年)やネクスウェイ(FAX配信サービスなど、2008年)といった子会社も譲渡しています。

「集中」の対象となった人材サービス領域では、国内での事業基盤を強化するためのM&Aを展開。
IT技術者派遣のシーエーシー情報サービス(2005年)や、静岡県の日本人材センター(2005年)、九州のキャリアメイツ(2007年)などを子会社化し、専門領域の強化と未進出エリアへの展開を進めました。
この時期の代表的なM&Aが、2007年の人材派遣大手、スタッフサービス・ホールディングスの買収です。この目的は「労働者派遣事業を重要な成長戦略と位置付け、事業展開を充実させるため」とされました。
また、2009年にはメイツ各社を買収し、事務領域の派遣事業をさらに強化。このフェーズを通じて、国内における人材サービス事業の基盤を固めました。
国内基盤を築いたリクルートは、ここから世界を舞台に、よりダイナミックな変革を遂げていきます。「Indeed」の買収、そしてHRテクノロジー企業へとシフトしていくM&Aの経緯をここから紹介していきます。