フリー(freee)のM&Aの軌跡:161億円の資金調達と「統合プラットフォーム」への道

フリー

会計ソフトのスタートアップから、スモールビジネスの経営全体を支える「統合経営プラットフォーム」へ。フリー株式会社の成長の軌跡は、その時々の財務戦略に色濃く反映されています。

創業からわずか数年で161億円もの資金を調達し、それを元手に2021年以降、矢継ぎ早にM&A(企業の合併・買収)を実行。その戦略は、会計周辺のバックオフィス業務を固める第一波、そして金融や人事といった新たな価値領域へ踏み込む第二波へと、明確な段階を経て進化してきました。

本記事ではフリーが描いた構想が、いかにして計画的な資金調達とM&Aによって現実のものとなったのか、その全貌を時系列で記録します。

累計161億円の資金調達と「構想」の明文化(2013-2018)

フリーのM&A戦略を理解する上で、その前段階である大規模な資金調達の歴史は不可欠です。

2013年から2014年にかけて、同社はDCM、インフィニティ・ベンチャーズ LLP、リクルートホールディングスなどから累計17億円を調達(2013年に2.7億円2014年に8億円6.3億円)。その目的は「経理業務の自動化」から「法人向けバックオフィスの変革」へと具体化していきました。

戦略の転換点が明確になったのは2015年から2016年にかけてです。

2015年8月の35億円の増資では、資金使途として初めて「スモールビジネスを支えるプラットフォーム化」という言葉が登場。同年12月28日には、SBIインベストメントが運用する「FinTechファンド」などから10億円の追加増資を実施し、2015年の累計調達額は45億円となりました

さらに2016年12月の33.5億円の増資では、Salesforce Venturesなども加わり、目的として「『クラウドERP』コンセプトの実現」が掲げられました。この時点で累積調達額は96億円に達します。

そして2018年8月、LINEや三菱UFJ銀行などから約65億円を調達し、累積調達額は約161億円に到達。この際、新ミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」と共に、目指す姿が「業務効率化ツール」から「プラットフォーム」であると明確に宣言されました。

ここからは、その構想がいかにしてM&Aによって具現化されていったのか、その実行の軌跡を追います。バックオフィス業務を固める第一波、価値提供を多角化する第二波という、計画的な戦略を解説します。

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